トートタロット・Cup7 自分を世界にきちんと表現すること

今の出店先に、オニユリが綺麗に咲いていて、ついついカップの7のカードを思い浮かべた。

これは一見華麗だけれど、内部に循環しているものは堕落している。という状態です。

カップのカードなので、ドロドロと循環しているものは一言で言えば「感情」になります。

クロウリーは、トートの書におけるこのカードの記述で、『最高者ケテルとの直接的接触を失ったり、中央の柱からの微妙な均衡から少しでも離れたりすれば、あっという間に〈自然〉の至聖の密儀が罪悪感という淫らな恥ずべき秘密となるだろう』などと述べています。なんかエロめですね（笑）

…とまあ冗談はさておき。

リーディングのお仕事の経験上、これが出てくる方は、そのまんまですが自分の中の感情がどろどろしています。言いたいことが、言うべき人に、言えていない。という感じ。

だから、その相対する相手や、状況の中では、表面上は良好な関係を保っていたりします。

ですが、精神的に何かつっかかりを感じている。それは、循環している感情が、自分にとって不健全だからです。

※『魔術師のトートタロット』より引用

7というカードは、生命の樹では、物質界への存在の準備をしている、「ネツァク」というセフィロートにあたります。引用したクロウリーの記述も、この図のことを言っているのですが、後半はチョット意味が分かりづらいですよね。

カップのカード全体の課題は、自分を愛すること、そしてその愛を他者と分かち合うことです。まずは自分を満たすところから。それをなくしては、愛を他者に与えることはできません。（この辺の基本はCUP1〜3あたりで語られる）

その分かち合いを具現化するにあたり、他者に自分の真の思いをさらけ出すというのは、避けられない道です。

ですが、「真の思い」や「自分自身の在り方」に罪悪感があると、それが怖くて言えないのです。本当の思いが表現できない。それは正にクロウリーが言う、『最高者ケテルとの接触を失った状態』であると言えるでしょう。そして、自分がドロドロの水(感情)でまみれ、身動きが取れなくなっていきます…。

で。ここからが大事なところなのですが、タロットは、常に、問題提起と、その状態からの変化の方法をセットで教えてくれます。

最近の個人的な見解では、トートタロットの数札においては、カードに記載された占星記号が、その指針を示しているように思います。

カップの7の占星記号は、

蠍座の金星。

蠍座はエロスとタナトスを司るサインで、金星は快楽の享受を意味する感受点です。

エロス(生・性)とタナトス(死)を司る…というのはすなわち、このサインでのテーマは、つまりはエゴの壁（エヴァンゲリオンで言うところのATフィールド）を溶かして他者と深く深く繋がる、ということなのだと思います。

（人間は、他者と一体化したい願望と、「わたし」という意識を保持したい分離願望、その矛盾した両方を持ち合わせているのですが、そんな私たちにとって、蠍座の世界はとても魅惑的なのです）

そこで解釈するに、ここの『蠍座の金星』の意味するところは、『一体化の悦びを感じる』ことなのだと思います。それが、このカップ7のカードのドロドロの感情を浄化する手立てです。

一体化の悦びってなんだ？と言えば、それは簡単に言えば気持ちを伝えること。本当の自分をさらけ出すこと。駆け引きではなくて、心から、自分が関わりたい相手（もしくは世界）と溶け合うのです。

相手が心を開いてくれないから無理、状況が許してくれないから無理、…と思う方もいるかもしれないけれど、その思いの本質は、他者や環境の状況によるものではなく、自分の中の恐れであると知りましょう。

自分をさらけ出さないというのは、実は相手や世界への思いやりではなくて、自分の保身が理由です。自分が傷つかないように、無難なことしか表現せずに自分を守っている。

それは文字通り、難が無くて楽なのかもしれませんが、それと引き換えに、本当の意味で心が満たされる状況というのも、作ることはできないのでしょう。

愛するって、勇気がいることなんだなと、つくづく思います。

今日書いたことは、いま正に私が直面しているテーマでもあります。愛するために、生きている実感を感じるために、勇気を出して生きたいなあと、思っているところです。

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