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大学院受験と生活の話

こんにちは.前回に引き続き,沖縄で心理系大学院(その他大学院)に受験の際に直面する問題をお話しさせていただきます.

受験に関する情報は数あれど,地域地域で直面する問題は異なり,必ずしもそれらの情報が直接的に役立つことは稀です.

今回は,大学院受験を志す方が気になる??かもしれない,税金について,とりわけ,国民年金,国民健康保険,市県民税についてお話しさせていただきます.


いつ辞めるのかよりも??

この問題は,多くの方が頭を悩ませる問題だと思います.試験日までの期間を考慮するだけなら,早く辞めることに越したことはないと思いますが,例えば20〜30代で年収が300万程度の人であれば,なかなか決断に勇気がいるものではないでしょうか.

大学院の受験のため,計画的に受験勉強と貯金を並行的に多なっていることが望ましいのではありますが,必ずしも例外はあります.かくいう私がその類の人間でした.

沖縄においては,年収の中央値が200〜250万だと言われており,この年収帯に20〜30代の人は含まれると考えられます.この年収は,沖縄において高年収職とされる一般行政職の年収(手当なしの場合)とほぼ同じです.

税金は,前年の所得が今年の課税になることが多く,修士1年次には,生活費と合わせて税金も納めないといけない場面に直面します.これは,年度の途中で退職した場合も同じです.つまり,いつ辞めるか?と合わせて,税金を支払いながら,当分の生活費は賄えるのか?を考えないといけません。

そう考えると,そもそも社会人→大学院というキャリアほど,コスパの悪いものはないかもしれません.

税金(国民年金,国保,市県民税)

税金にもいろいろあり,免除制度が存在するもの,存在せず必ず支払う必要があるもの,減額制度などなど.受験だけで頭が痛いのに,,,,という気分になりますが,大切なことなので必ず各自治体に相談しましょう.私のお話は日記の域を出ませんので鵜呑みにしないよう,必ずご自身でお調べください.

国民年金

現在,国民年金の金額は16,980円です.また,免除制度や納付猶予制度が存在し,承認されれば額の減額や,支払いの猶予などが受けられます.詳しくは年金機構のホームページをご覧ください.また,猶予された納付期間は追納することが望ましいです.

国民健康保険

国民健康保険は前年の所得に応じて課税されるため,個々によって納付額は異なります.そして,国民年金と大きく異なるのが,免除制度や猶予制度が存在しないことです.つまり.無所得だとしても前年所得の課税に応じた国保税を支払う義務が発生する上に,前年が無所得でも最低課税というものが存在します.つまり,どんな状況であっても必ず支払う義務が発生します.国保には減免制度というものが存在しますが,それに該当するかどうかは,各自治体に問い合わせることが手っ取り早いと思います.

また,国保は40歳以上であれば介護保険料が上乗せされ,世帯の収入も加算されるため(社保加入なら関係なし),無収入なのにこんなに取られた!!という事態に遭遇しかねません.

1番厄介な税金かもしれません.

市県民税

市県民税も前年の所得に応じて課税されます.イメージとしては国保と同じかもしれませんが,詳しくは各自治体に聞きましょう.ただ,こちらは前年収入が0の場合,課税はされませんので,その点では国保と異なります.


まずはイメージをしましょう

沖縄の平均的な収入状況(250万)を例に考えると,大学院入学時点で毎月かかる生活コストはだいたい以下の通りではないでしょうか.

生活費:約10万(家賃光熱費食費などを合算して)
税金:年金1.7万 国保2万 

概算で合計13.7万です.

心理系大学院は2年間就労できないと考えると,2年間で約330万の生活コストが発生する計算になります.加えて家族がいる場合,さらなるコスト増は容易に想像できます.

エスカレーター式で大学院受験をする人,社会人をリタイアした人,以外の社会人が大学院を進学するのをためらう理由はここですね.低年収地域であれば尚更でしょう.

沖縄では,退職金はおろかボーナスすらない企業で手取り15万という求人はザラにあり,そういった人たちが大学院とりわけ心理系大学院を目指すのはお勧めしません.少ない貯金があっという間になくなりますし,そのコストに対してリターンがあるとも思えません.

これは面接でも聞かれることかもしれませんが,なぜ社会人から大学院を目指すのか?を自問する必要があるでしょう.

沖縄で心理職が得られる唯一まともな就職先は心理系公務員でしょう.実務経験が問われるわけでもなく,なんなら資格も必要としないことも多いです.行政職の性質上,現場スキルよりは統括する能力を求めているのかもしれませんが.

余談

心理職の正規非正規問題については思うことがあり,待遇の改善という点で言えば,もっと時給などを上げるべきだと考えますが,組織を経営するという点で考えると,ジェネラリストではない専門職を正規で雇うメリットが一歳ない現実があると思います.

アメリカでは〜という意見を耳にしますが,企業によってさまざまですし,専門職はその道のプロで,一人で生きていく能力があるから,別に企業に置く必要なくね??と考える人も多くいます.そもそも,博士後期課程まで必須のアメリカですら,心理職は飽和状態と聞きます.

どこも直面する課題は似たようなものかもしれません.

つまるところ,心理職はその道のプロであるが故に,正規として長期雇用するメリットがないんですね.特に民間はそのように感じます.色々な分野で活躍が期待される一方,診療報酬に引っかからない分野では生きていける収入が得られない.

しかし,離職率の高い業界と生産性の低さに相関を見出す研究もあり,今後は産業分野で心理職のニーズが高まり,臨床心理士,公認心理師,学会,認定団体の派閥を超えた協力関係がより一層大切だと感じます.

ですが,現状夢のまた夢かなと.

そういった業界の現状,自身の生活能力,コスパも考慮した上で大学院は受験した方が良いのでしょう.それは,大学の指導陣も思うことなのでしょう.

もっと明るい話がしたいものです.

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