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幸せなオフィスのデザインについて

昔に日経BP社「小さな企業の未来学」というメディアに掲載していた連載記事を加筆転載しています。メディアが閉鎖しちゃっていたので、ずっとnoteなどどこかに書いておきたいなあと思って、最近働く場所について考えることも増えてきたので、ここで公開しておきます↓↓↓

どんな場所で働きたい?

北欧のインテリアデザイン、と聞いてどういったものを思い浮かべますか?ムーミンの舞台から飛び出したような、可愛い部屋、イケアに代表されるようなカラフルで楽しいビビッドな家具で彩られたアパルトマン、それとも、アルヴァ・アアルトのような木をふんだんに使ったやわらかな空間…
 
それでは、働く場所は?上に出たどの空間もそこで暮らすのにとても快適そうですが、オフィスという名の戦場にはちょっと気が抜けているというか、ふにゃりとしすぎているような気もします。いったい、北欧のひとびとはどんな場所で働いているのか?


海辺のボートハウスをリノベーションしたオフィス群

インテリアデザインとマインドセット

デンマークは緯度の高い場所にあり、12月のコペンハーゲンでは10時に日が昇り、4時には日が沈み真っ暗になります。寒くて暗い、長い冬をいかに楽しく、気持ちよく暮らせるか試行錯誤の結果、美しく、そしてカラフルで遊び心のあるテキスタイルやお洒落なインテリアデザインが発展しました。
 
バウハウスのモダニズム思想が世界に影響を与える中、ドイツと陸続きのお隣であるデンマークにも勿論、その大きな波は届きました。もともと石油・鉱物がとれるわけでもなく、資材の少ないデンマーク。わずかな材料の中、過度な装飾を除いた、シンプルな線を使う合理的なデザインが主流となりました。
 
気持ちよく、シンプルで、合理的。それでは働く場所は?家にいる時間と同じくらいの時を過ごすオフィスも、合理的・効率的に、気持ちよく仕事に取り組むために最適なこの考え方が息づいています。


デンマークのはたらくはいま

デンマークの企業は近年、多くのイノベーションを生み出し世界から注目されています。最近では電気機器でおなじみの日立製作所がビッグデータ活用の研究所を郊外に設立したり、グーグルはデータセンターを2カ所建設していたり、マイクロソフトのR&D部門がコペンハーゲンにあったり…。海外の会社がその頭脳やR&Dの部分だけをデンマークへ置くケースが増えています。その理由は、人材の豊富さ、高い教育水準・自然エネルギーの活用・社会の仕組みのサポートはもちろんありますが、効率的で高い生産性を誇る人々の働き方、それを支えるオフィスにもあります。
 
所得税・人件費のとても高いこの国で、経営者はそれぞれ一人一人に効率よく働いてもらい、人件費をカットしたい。労働者は家族とゆっくりしたいから、仕事を一刻も早く終わらせたい。そしてお互い、良い仕事がしたい。そのお互いの希望を、オフィスインテリアのデザインは影で支えています。新しい素敵な人材に、ここで働きたいと思ってもらえることも大切です。

魅力的なオフィス環境の為に家具のデザイナー、メーカーは毎年新しい商品を発表し、企業側も設備投資を盛んに行います。オフィスインテリアデザインの発展のサイクルが確立しているのです。

昔はたらいていたオフィスの会議室、Yチェアがずらり、窓の向こうには荘厳な教会

幸せなオフィス環境とは

暮らしの一部であるオフィスには、気持ちよくて、シンプルで、合理的であるための工夫が随所にみられます。例えば、いつも新鮮な空気がはいること。適切な明るさで、体にあった椅子と机に向かえること。集中するために静かでありながら、会議・打ち合わせなどのコミュニケーションが取りやすい環境。並べていくと、人の五感にとって気持ちの良い状態が、仕事に集中できる、幸せなオフィス環境であることがわかります。

どんなオフィス環境でデンマークの人々は仕事しているのか。それぞれの工夫だけにとどまらず、労働環境は国の規制・制度などによってコントロールされてもいるのです。次からいくつかご紹介します◎


前職のオフィスにはよく犬が落ちていました

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