小説 本好きゆめの冒険譚 第十八頁
リビングに行くと、ソファにパパとおじさんが横たわっている。
「あっ…ゆめちゃん…おはよう…。」
眠そうだ。
パパも眠そうに、大きなあくびをしながら起きてきた。
今日は「日曜日」。皆んなお休み。
「ゴメンネ、今日は何もなくて…。」
皆んなで、手作りのスコーンとサラダ、ベーコンとスクランブルエッグ、コーンポタージュを食べた。
食後のコーヒー。私はオレンジジュース。
やっと、目が覚めてきたのか、コーヒーを啜りながら、パパが言った。
「ゆめ、昨日は「ゼウス」のおじさんに会えたかい?」
「うん。」
「何か言ってたかい?」
「あのね、初めてゼウスのおじさんに会った時は、大きな城の中だったんだけど・・・」
「ゆめ、それって「あるところの部分」の豪華で大きなお城の事?」ママが聞く。
「うん。それでね、昨日はちゃんと「あるところ」って言って寝たら、大きなお城はなくて、田舎のような所に家がポツンとあって、川が流れてたの。」
「それでね、急に見えてる所が変わって、何もない所に3人のゼウスのおじさんがいたの。」
「儂らを元に戻すのが先じゃ。って言ってた。力が足らないって言ってた。」
「他には?」
「パパとママとおじさんが、いっぱい聞きたいと言ってたって教えてあげたの…。」
「ゼウスのおじさんは、何て言ってたの?」
「そうか、そうかって、言ってた。」
「他には?」
「寝る前に「ちゃんとした桃太郎の噺」を聞くようにって、言ってた。」
「他には?」
「また明日って。」
3人は顔を見合わせ、確信した。
やはり、桃太郎とゼウスは「リンク」しているのだ。
とは言え、解った所はこの1点だけだけど…。
ゼウスが言っていたという「そうか、そうか」のセリフも気になる。もしかしたら僕達も「ゼウス」に会えるかも知れない…その可能性はある。
もし、ゼウスに会えたのなら、ゆめを「普通の女の子」に戻してもらおう…何と言っても「全知全能の神」なのだから…。
「じゃあ、もう一度、寝るわ」
そう言い残して、パパとおじさんは眠りについた。
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