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小説 本好きゆめの冒険譚 第十七頁

「いい?解らない事は、全部、ゼウスさんに聞くのよ?」

 ママが、そう言って寝かしつけてくれる

「今日は「桃太郎」のお噺はしてくれないの?」

「そうね。今日は、ゆめちゃんに話してもらおうかな?」

「うん!じゃあ、始めるね。」

・・・むか〜しむかし、ある所に、
お爺さんとお婆さんがいました・・・

 ゆめは眠りについた・・・


・・・来たか、来たか。

 目を開けると田舎の風景に茅葺き屋根の建物があった。
 すると、場面転換をして…今度は何もない所にテーブルがあり、3人が座っていた…。

「儂等の事を信じてくれたかの?」

「はい。パパとママが、「ゼウスって、神様だよ」って、教えてくれたよ。」

「そうか、そうか!では、儂らを元に戻してくれるかの?」

「どうやって?」

「え?」

「・・・・・・」

「え〜、どうして分かってくれないかな〜、ねぇ、これ、何かの嫌がらせ?儂、君を怒らせるような事したぁ〜?」

 また、「全知全能の神」は駄々を捏ねた。

「と、取り乱してしまった・・・スマン。」

「あの、ママが解らない事はゼウスさんに聞くようにと言ってました。」

 すると、ゼウスは顔を上げ

「なぁんだ、それ早く言ってよ〜、何でも答えちゃう!質問、カモーン!」

「私は何もないのだけど…。」

 ゼウスの顔が引きつる…。

「でも、パパやママ、おじさんが、いっぱい知りたいって言ってた。」

「そうか、そうか、でも、その前に儂らを元に戻すのが先じゃ。力が足りんからな。」

「今度は寝る前に「ちゃんとした桃太郎の噺」を聞いてから、眠るんじゃ。そう、パパとママに伝えるんじゃ。分かったの?」

「はい。わかりました。」

「では、また明日の〜。」

 暗闇の中を「彷徨う」と言うよりも「浮いている」と、

「ゆめ、朝よ。」

 ママの笑顔が見えた。


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