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錬金術師の召喚魔法 ゴーレム擬きで世界征服?  第I部 第5章 ソーロン帝国編 508.ソーロン帝国の見学

 商業ギルドのセーロンから、ベルーナ大佐の紹介状が届いたと連絡があった。

 私達は、紹介状を受け取って、すぐに、転移魔法で、ソーロン帝国の国境付近にやって来た。

 「すみません。お願いします」

 「何用だ」

 私は、ベルーナ大佐の紹介状を見せた。

 「よろしい、通りなさい」

 今回は、あっさりと、通して貰えた。

 「さあ、リーベンに行くよ」

 「うん。行こう」

 私達は、リーベンの街に向かった。ベルーナ大佐は、リーベンの中にある基地で勤務している。

 国境から、リーベンの街までは、森の中を通り、少し険しい山を抜けて行かないといけない。

 特に、途中で、魔物が出るわけではないが、普通は、警備用の冒険者を雇って、大人数で街まで行くようだ。

 国境で、乗合馬車を待たずに、出発しようとした時、後ろから、声を掛けられた。

 「そこの人、2人だけでは、この先は危険ですよ。盗賊が頻繁に出るので、馬車に乗って行きなさい」

 「馬車に乗って行きなさい」

 「あれ、何か、言ってるね。盗賊だって。どうしようかな?」

 「うん。どうしよう」

 「不審がられても、困るし。馬車に乗ろうか?」

 「うん。テラ、馬車に乗ろう」

 私達は、馬車に乗っている人の忠告に従って、馬車に乗る事にした。

 「すみません。この馬車は、リーベンまで行きますか?」

 「はい、リーベン行です。お乗りになりますか?」

 「はい、乗ります」

 「料金は、先払いです。1人金貨10枚です」

 私は、料金をアイテムボックスから、金貨を出して渡した。ここで、商業IDを見せない方が良さそうだ。なんだか、不吉の気がした。

 「はい、金貨20枚ですね。どうぞ、好きな席に座ってください。まもなく、出発します」

 私達は、一番奥の狭苦しそうな席に座った。
 
 「お若いの、リーベンで、何をするのかね」
 
 「どうして、聞くのですか?」
 
 「いや、あの街には、めったに観光客が行かないから」

 「私達は、基地の見学です」

 「ほぉ、基地に行くのか。将来は、軍人かな?」

 「いいえ、考えていません」

 「そうか、まだまだ、先の話だからな」

 「ところで、あなたは、何をしに行くのですか?」

 「私か、私は、あの街で店を開いて、商売をしながら暮らしているんだ。
 今回は、仕入れのために、出国していたんだ。漸く、帰れる」

 「こちらの2人は、私の付き人で、荷物を運んで貰っている」

 「そうですか。商売は、繁盛していますか?」

 「まあ、少しは、儲けているが、食べていける程度だな」

 馬車には、私達2人、商人と付き人2人、若い冒険者風の3人、軍人2人が乗っていた。

 「それでは、出発します。少し、揺れますが、ご勘弁ください」

 「おぉ、やっと、出発か。結構待たされたな」

 「何か、荷物を積んでいましたよ。そこの軍人の物ですね」

 「そうかね。普通は、軍関係の馬車を出すはずだが、何故、民間の馬車を使うのかなぁ」

 商人の老人が付き人と話をしていた。その他の客は、黙ったままだ。冒険者風の3人は、パーティーと思っていたのだが、全く話をしていない。それどころか、お互いを見ることもない。

 「これから、森の中に入ります。窓から、外を覗かないでください。動物が入ってくることがあります。注意して下さい」

 御者が、声を掛けてくる。馬車には、御者が2人乗っており、途中で、交代するのだろう。それと、馬に乗った警備用の冒険者が5人、馬車を取り囲んでいた。

 森の中で、馬車は、急に止まった。外で、警備用の冒険者たちが、騒いでいる。

 「盗賊団だ。結構な人数だ」

 私は、スキル探索で、周りの状況を調べてみた。

 私達の馬車関係の人以外に、馬車を取り囲んで、23人が、攻撃態勢に入っていた。

 ほとんどが、レベル20程度の弱い人だ。ただ、5人だけ、飛びぬけて高レベルの人がいた。

 1人がレベル50で、残りは、レベル45だ。魔法も使えるようだが、軍人ではない。だが、冒険者でも、盗賊でもなさそうだ。

 まあ、問題なさそうなので、それ以上は調べなかった。でも、こちらの警備用の冒険者達は、相手の数の多さに圧倒されたようだ。5人とも、逃げてしまった。

 「あれれ、警備の冒険者が逃げていくよ」

 「本当だ、もう、荷物は諦めないとだめだなぁ」

 「何言ってんだ。命もないよ」

 不思議な事に、軍人2人も、若い冒険者風の3人も、先ほどと変わらず、黙って座っていた。

 「助けてくれ! すべて、あげるから」

 御者が、命乞いをしている。

 警備用の冒険者達が逃げたので、安心したように、盗賊たちは、馬車を取り囲んで範囲網を縮めた。

 「馬車に乗っている者は、荷物を置いて、出てこい」

 盗賊の一人が叫んでいる。御者2人は、既に、馬車を下りている。

 商人達3人もすぐに下りて行った。続いて、軍人2人が下りた。若い冒険者風の3人は、依然として、座ったままだ。私達も、様子を見ることにした。

 「おい、そこの若いやつ、早く降りてこい」

 痺れを切らした盗賊の2人が馬車に乗り込んで、無理やり降ろそうとした。

 私達は、動かずに、様子見をしていた。これから、どうなるのか?

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