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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第26章 ガーベラの夢編 2601.ガーベラの希望

 マリーからの報告で、リンドウとショーバェの研究の人間への応用が完成したと分かった。

 そこで、いよいよ、テラjrのESチェユラES細胞を作ることにした。リンドウとショーバェの研究と同じことは、マリーの研究所でも行うことが出来る。更に、マリーの所では、人間の治験者を使って、既に、実験を開始していた。そのため、こと人間に関しては、マリーの研究所の方が、安定してESチェユラES細胞を作ることができる。

 私は、テラjrに思念伝達で、連絡を取った。

 「いよいよ、ガーベラの望みをかなえることが出来るよ」

 「もう一度、ガーベラの気持ちを確かめてね。レイカの時のように、黙って、行動しては、だめだよ」

 「もちろん、分かっているよ」

 「それならいいわ」

 「それじゃ、ガーベラの意思が確認出来たら、実験することにするね。」
 
 「いいよ」

 「でも、準備は、しておきたいの。だから、テラjrの子供を送ってね」

 「分かったよ。それじゃ、私の卵子をおくるね」

 「ありがとう。大切に扱うよ」

 「よろしく」

 「バイバイ」

 テラjrから送って来られた複数の卵子を用いて、マリーにESチェユラES細胞を作らせた。

 暫くして、マリーから報告が来た。うまくできたようだ。そして、次に段階へ移ったようだ。

 つまり、テラjrのESチェユラES細胞から精子を作るということだ。ESチェユラES細胞から始原生殖細胞に誘導してから、精子にする。

 その為、こちらも、人間の童貞の男性を治験者として雇っている。その精巣を利用して、始原生殖細胞からから精子を作る。

 ついに、テラjrの精子が完成した。直ぐに、私は、転移魔法で、ガーベラの所に移動した。

 「ガーベラ、前に言っていたことがいたことができるようになったよ。どうする?」

 「どういうこと?」

 「テラの子供が欲しいって言っていただろう」

 「そうね。レイカの子供を見て、そう思ったわ。でも、今は、やっと、諦めることが出来たわ」

 「ごめんね。長い間待たせてしまった。でも、今は、テラjrの子供を作ることができるよ。どうする?」

 「うん。欲しいわ。でも、テラjrって、まだ、子供だし、それに、女の子よ」

 「分かっているよ。でも、それが出来る様に研究が進んだ」

 「本当の事なのね。騙していないわね」

 「当たり前だよ。僕が、ガーベラを騙すわけがないよ」

 「でも、色々と考えないといけないわ」

 「何を考えるの」

 「私は、今、未亡人のよ。それが、子供を産むって、だめよ」

 「そうか。だめか」

 「まず、再婚するわ。それから、子供を産むわ」

 「一つだけ、了解して欲しいのだけど、正確にはテラの子供ではなくて、テラjrの子供を産むということだよ」

 「分かっているわ。それでも、欲しいの」

 「それじゃ、この計画を進めるよ」

 私は、マリーに思念伝達で、連絡を取った。そして、テラjrの卵子から、ESチェユラES細胞を作るように指示を出した。そして、出来たESチェユラES細胞から、始原生殖細胞をつくり、それからそれを元に、精子を作るように伝えておいた。

 「お願いね。それから、テラjrの20才の身体を創ってくれる?」

 「いいよ。少し待ってね」

 私は、ガーベラの見ている前で、土魔法で、テラjrの20才の身体を予想して、土人形を作った。

 「これで、どうかな?」

 「うん、いいわ。名前は?」

 ガーベラは、満足したようだ。以前、私、ムーンの身体は、厭そうにしていた。でも、こんどのテラjrの20才の身体は、気に入ったようだ。直ぐに、満足して、返事を返してくれた。

 「そうだね。ルナって、どうかな?」

 「ルナ、いい名前ね」

 「それじゃ、研究所に行って、子供を授かろうか」

 「はい」

 私は、ガーベラを連れて、転移魔法で、マリーの研究所に移動した。

 「マリー、頼む」

 「はい」

 マリーと助手の何人かがガーベラから、卵子を取り、保存した。後日、テラjrの精子と体外受精させて、また、ガーベラの子宮に戻す予定だ。暫くして、マリー達が手術室から、出て来た。

 「ガーベラ、大丈夫?」

 「うん。大丈夫よ」

 「暫くは、安静にしてね」

 「ムーン、分かったわ」

 私は、少しガーベラを休ませてから、王宮に送ることにした。

 「ムーン、もう大丈夫よ。送ってくれる?」

 「分かった」

 私は、ガーベラを抱いて、転移魔法で、王宮のガーベラの部屋に移動した。そして、ベッドに寝かした。

 後日、テラjrの精子が出来たとの連絡が入った。そこで、再度、ガーベラを連れて、マリーの研究所に移動した。そして、受精卵をガーベラの子宮に入れて、着床するのを待った。

 暫くして、マリーが出て来た。

 「ムーン、成功よ」

 「暫くは、安静にさせるよ」

 「そうしてね。もし、何か、異常があったら、直ぐに連絡してね」

 「分かった」

 私は、寝ているガーベラを抱いて、ガーベラの部屋に転移魔法で、移動した。それから、ベッドに寝かして、先ほど作ったルナの身体に移った。そして、前のムーンの身体を隠密魔法で、隠しておいた。

 私は、ガーベラの寝姿を見ながら、これからの事を考えていた。今度は、本当の意味での初めての子供だ。つまり、ガーベラの遺伝子とテラjrの遺伝子の結合した新しい生命が誕生するのだ。

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