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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第26章 ガーベラの夢編 2603.新居の城

 私は、アンジに思念伝達で、連絡を取った。

 「アンジ、ムーンだけど、今、いいかな?」

 「はい、大丈夫です」

 「ガーベラの再婚用の城を探して欲しいんだ。ヤガータ国 の中であれば、何処でもいいよ」

 「はい、分かりました」

 私は、アンジとの思念伝達を切って、新たに採用した官吏に仕事を与えることにした。それは、オリハルコンを使った武器や防具の販売だ。これまで、少しずつではあるが、テラ・ワールドの支店で、販売してきたが、その量は、鉱山から得られるオリハルコンの量に比べると僅かだった。それを、他国に積極的に売っていくことにした。その為の販売ルートの確保に新しく採用した官吏を当てることにした。

 110名の官吏を一堂に集めて、私は、仕事内容を説明した。

 「これから、他国に向けてオリハルコンの商品の販売ルートを確保して貰いたい。そのためには、組織的に動く必要がある。ここに、110名の新規採用された官吏がいる。リーダーとして、働きたいものは、前に出て来てくれ」

 「はい」

 何人かの官吏が前に出て来た。

 「それでは、話し合いで、代表を決めてくれ」

 暫く、話し合いが行われて、一人の若者がリーダーに選ばれた。それは、ゲンゴーと名乗った。

 「それじゃ、ゲンゴー、よろしく頼む」

 「はい」

 ゲンゴーは、アータキ国の都市コーリマ向けに商品を販売することにした。それは、アータキ国が豊かな国で、高価な物でも購入して貰えそうだからだ。

 それから、イーデン王国の都市ロンデンに対しても、商品を販売していくことにした。イーデン王国は、軍事国家で、ソーロン帝国と隣接しているので、常に、戦争を意識している。その為、多少高価でも、有益な物を購入すると考えられるからだ。

 ゲンゴーは、一人だけでは、110人もの官吏をまとめることが出来ないと考えて、サブリーダーを作ることにした。リーダー希望として、前に出て来た中から、オーサムとホータルをサブリーダーとして選んだ。

 オーサムをアータキ国へ、ホータルをイーデン王国へ派遣して、市場調査をするように依頼した。それから、ゲンゴーは、住まいとして、与えられた地上4階、地下10階の建物の一部を事務室として利用することにした。

 1部屋に5人ずつ、22部屋に分けて、それぞれの部屋で、仕事をさせることにした。それは、オリハルコンの鉱山の情報を整理するグループや、鍛冶屋への依頼を行うグループなどに分けて、作業をさせて行った。そして、作業内容をゲンゴーがリストに整理していった。

 作業を開始してから、1週間が経った。ゲンゴーから、連絡があったので、転移魔法で、会いに行った。

 「ゲンゴー、どうした?」

 「現在は、商品をテラ・ワールドの支店を通して販売しています。それを、継続しますか?」

 「それは、継続して、テラ・ワールドの支店で販売して貰う方がいいだろう。その代わり、テラ・ワールドからは、コンサルタント料として、商品の販売価格の5%を徴収して、販売方法や、商品の生産過程などの提案をして欲しい」

 「分かりました。それでは、私どもは、この国にとどまって、作業をしていくことにします。ただし、市場調査は、現地に行く必要があるので、この国の事務所を作ってもいいですか? そして、そこに官吏を何人か、常駐させたいと思います」

 「それは、構わない。直ぐに、実行に移してくれ。それから、役に立たない物がいれば、直ぐに、首を切るように。ただし、その月の給料は、支払ってあげてくれ」

 「分かりました。早速、調査します」

 「それから、新しい官吏を採用し続けているので、そちらの方のリーダーとしても、働いてくれ」

 「分かりました」

 私は、新しく採用された官吏に対しても、最初に挨拶をしていった。その時、一人の優秀な官吏に出会うことが出来た。それは、テントーウと言う名の者で、ガーベラの後継者として、役に立つように思った。そこで、一度、ガーベラに会って貰うことにした。

 「テントーウ、これから、この国の宰相ガーベラに会って貰う。いいかな?」

 「はい」

 私とテントーウは、転移用の魔法陣で、ガーベラの居る城に移動した。この城は、アンジが探してくれた物で、私が、ガーベラの要求に従って改築した物だ。

 「ガーベラ、少し、いいかな?」

 「はい。あら、ムーンなの?」

 「悪い。ルナじゃないんだ」

 「それで、どうしたの?」

 「実は、会って貰いたいものがいるんだ。テントーウという者で、最近、官吏として雇った」

 テントーウは、ガーベラの前に出て来た。

 「ガーベラ宰相、テントーウと言います。よろしくお願いいたします」

 「よろしく」
 
 「私が、認めた者なんだ。ガーベラの後継者として、使ってくれないかな?」

 「いいわ。それじゃ、暫く預かるね」

 ガーベラは、テントーウを王宮に派遣して、そこで、仕事をするように指示をした。そして、ガーベラとは、思念伝達で、連絡を取ることになった。そして、私が、連絡係として、ガーベラとテントーウの間に入ることになった。

 ガーベラによると、暫く、様子を見てから、後継者として使うかどうかを決めるということらしい。まあ、少しでも、ガーベラに楽して貰えれば、それで、私は、満足だ。

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