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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第26章 ガーベラの夢編 2607.ガーベラの出産

 ガーベラは、すべて、ルナに任せることにした。今は、妊娠している身なので、無事に出産が終わるまでは、表舞台から、退いて貰うつもりだ。その為にも、早く、後継者を決めて欲しい。

 私は、ルナの姿になって、ガーベラの部屋に転移魔法で、移動した。

 「そろそろ、後継者を決めておいた方がいいよ」

 「そうね。このお腹では、十分に働くことはできないわね」

 「それより、身体に負担を掛けて欲しくないよ」

 「ルナ、そんなに心配?」

 「それは、当り前だろう。初めての僕の子供だからね」

 「そうね。前は、分身だから、子供は、この子が初めてね」

 「そうだよ。だから、楽しみなんだ。ガーベラに似た子ができるといいなぁ」

 「厭よ。あなたに似て欲しいわ」

 「そうだ。二人に似ていた一番いいよね」

 「本当ね。ルナの言う通りよ」

 「それで、誰を後継者にする? 僕は、テントーウがいいと思うけど」

 「確かに、テントーウは優秀よ。でも、つい最近来たばかりだし、他国の出身だから、避けたいの」

 「そうか。それは、思ってもいなかったよ。そうしたら、昔からいる自国出身のレンゲーはどう?」

 「うーん。仕方がないわね。他に、いないわね」

  ガーベラが、ついに、後継者を決めたようだ。ガーベラの後継者として、私は、新しく採用した官吏のリーダ―であるテントーウを押していたが、どうも、ガーベラの意に添わなかったようだ。以前から務めているレンゲーを後継者として、指名したいようだ。

 暫く、考え込んでいたガーベラが、口を開いた。

 「そうね。レンゲーにするわ」

 「それじゃ、早速、レンゲーに連絡してくれる?」

 「分かったわ。伝えておくわ。それから、ルナがレンゲーを助けてね。いいでしょ?」

 「もちろんだよ」

 後継者も決まり、私は、ほっとした。これで、何か起こっても、ガーベラが、動かなくてもいいだろう。

 何事もなく、月日だけが過ぎて行った。そして、ついに、あの日がやって来た。

 漸く、ガーベラが出産した。私は、男の子の場合も少し考えていたが、何故か、今度も女の子だった。特に、拘っているわけではないので、直ぐに、忘れた。

 私は、直ぐにスキル鑑定で、ルナjrを調べて見た。すると、私の遺伝子の影響か、全属性の魔法が使える。そして、ガーベラの子供らしく、頭がよく、整理能力に長けていることが分かった。

 いよいよ、ガーベラが、ルナjrに英才教育を始めた。魔法に関することは、私に任せているので、ガーベラは、もっぱら、感性やリテラシーの方面に特化した形で、英才教育を行った。まだまだ、小さい子供に、クラシックを聞かせていた。

 私は、魔法の能力を高めるために、訓練を開始した。

 一番の訓練は、魔力総量を増やすために、魔法が使えるようになったら、直ぐに、魔力が枯渇する直前まで、魔法を使わせて、青色のポーションを飲ませて、魔力を回復させる。そして、これを何度も、繰り返す。このことによって、魔力量の総量が飛躍的に増えるのだ。

 ルナjrは、養子として引き取ったテラjrの5才下の妹となる。テラjrは、もう立派な一人の人間として育っていた。そして、今でも、時折、一体化して、魂が分離しても大丈夫なように注意をしていた。

 以前、リンダに子供の事を聞いたことがあるが、特に、いらないと言われた。一人で、生きて行くようだ。

 私は、もう一人、自分の分身となる子供が欲しくなった。そこで、ミューに無理やり、子供を産ませることにした。そして、その方法は、ガーベラの時と同じように、テラjrの精子を使って、ミューの卵子との受精卵をミューの子宮に戻す方法で行うことにした。

 私は、隠密魔法で、姿を消してから、転移魔法で、ミューの部屋に移動した。そして、闇魔法で、ミューの意識を完全にを奪った。そして、私は、ミューを抱いて、転移魔法で、マリーの研究所に移動した。

 「マリー、前の時と同じように、テラjrの精子を使って、この女性を妊娠させろ」

 「はい、分りました」

 「それから、出産するまで、誰にも、知られないようにするように。もちろん、本人にも、気づかせるな」

 「了解」

 マリーは、ムーンの言ったように、ミューを妊娠させた。そして、眠らせ続けた。

 私は、時折、ミューの様子を見に行った。お腹の子供は、順調に成長していた。そして、ミューは、気分良さそうに、眠っていた。私は、ミューのベッドに入って、お腹をさすってみた。少しずつ大きくなっている自分の子供が愛おしい。そして、道具としてしか見ていなかったミューも、愛おしく感じ始めていた。

 出産が終わるまで、このような感じで、たびたび、ミューに接していた。何故か、ミューと離れられない。

 ミューのお腹が多きる成るたびに、私のミューへの愛着は、増大していくようだ。余り、ミューに感情移入するのは、良くないのだが、旨く、自分の気持ちをコントロールすることが出来ないでいた。

 そして、ついに、ミューが男の子を生んだ。私は、直ぐに、抱き上げて、スキル鑑定で、調べた。そして、その内容は、誰にも、伝えなかった。ミューにも、マリーにも、誰にも、言わなかった。

 ミューは、出産するまでの記憶がない。そこで、嘘の記憶を植え付けて、出産の痕跡を完全に、ミューの中から消した。これで、ミューから生まれたこの男の子を知る者はいなくなった。私は、こっそりと、孤児院の前に置き、孤児として育つようにした。

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