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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第25章 宰相ムーン編 2503.ムーン宰相の地位の確立

 私は、宰相として、ペニシリンの販売をテラ・ワールドに依頼した。これによる収益の10%を納税してもらう。

 私は、リンダに思念伝達で、連絡を取った。

 「リンダ、ペニシリンの販売は、どう?」

 「順調よ。当初予定していた価格を2倍に設定し直したわ。それでも、予定を上回る注文が来ているよ。問題は、この薬を投与する医者が少ない事ね」

 「薬を与えるのに医者でないといけないのか?」

 「いいえ、そうではないの。飲み薬ではないので、血管から薬を入れる必要があるの」

 「そうだった。うっかりしたな。これから、神具を作るよ。待って居てくれ」

 「はい、私は、神具を扱える従業員を集めておくわ」

 「よろしく、頼む」

 ペニシリンは、筋肉内注射する必要がある。その量はそんなに多くはないが、一般の人には、任せにくい。そこで、魔法で、筋肉に薬剤を流し込むことにした。そして、それを魔法陣にして、神具として、50個作った。

 私は、また、リンダに思念伝達で、連絡をした。

 「リンダ、取り敢えず、送るよ。50個だよ」

 「分かったわ。こちらも、人を集めることが出来たので、問題は、ないと思うわ」

 私は、思念伝達を切った。一度、リンダにお礼をいいに、行かないといけない。

 これまで、不治の病として知られていた梅毒が完治すると聞いて、貴族から、ペニシリンの注文が殺到した。そして、その価格は、こちらの言い値で、売買が成立した。その結果、予定していた以上の納税がテラ・ワールドから、なされた。そのため、当初、2割減と言っていた政府の支援の割合を更に下げることが出来た。このままどんどん下げることが可能だと思われたが、一気に、私の能力を議会で、認めさせるために、次の商品の販売を開始することにした。

 それは、アータキ国の都市コーリマに販売を開始した商品だ。からくり人形が動くオルゴールと、陶器の臺をこのヘノイ王国でも生産して、アータキ国で、販売することにした。これによる収益で、当初予定した灯油の価格を以前の状態にすることが可能になる。

 特に会議で、決めるようなことでもないので、国王レーモンにだけ報告して、直ぐに、開始することにした。3部会議での了承は、後日でもいいと、国王レーモンも承諾した。

 これで、私の宰相としての地位は確実なものとなった。次は、早く、カタリナを女王に就任させることだ。そして、それを実現するために、まず、今の3部会議の代表の数を減らすことを提案する予定だ。

 私は、王宮に転移魔法で移動して、国王レーモンに謁見を申し出た。

 「ムーン、何用だ」

 「はい、これまでに、当初予定していた灯油価格を元の値段にするということは、出来ました」

 「おう、もう出来たのか。よくやった」

 「つきましては、私を正式に宰相に任命していただきたく、お願いに来ました」

 「よし、それでは早速3部会議を開こう」

 「よろしく、お願いします」

 私は、王宮を出て、ミューの部屋に転移魔法で移動した。

 「ムーン、急にどうしたの?」

 私は、ミューを抱き上げて、ベッドに運びながら、声を掛けた。

 「少し、仕事をして欲しんだ」

 「いいわよ。暇にしてたから、何?」

 「一つは、今度の3部会議で、代表者の人数の削減を誰かに提案させて欲しい」

 「いいわ。それで、どの程度に削減するの?」

 「できれば、半分にしたい」

 「大丈夫だと思うわ。代表者の中には、やりたくないのに、やらされているって人が多くいるから」

 「もう一つは、私に賛同する同志を増やして欲しい。代表者の3分の2を占めたい」

 「それは、難しいわ」

 「何故だ?」

 「だって、神殿の代表は、未知数だから」

 「何とか、金で意見を変えないか?」

 「もし、するとすれば、代表の中の最高幹部を買収するしかないわ。そしたら、神殿の代表者はすべてムーンの同志になるわ」

 「それは、可能か?」

 「相手の欲望がどんなものかによるわ。取り敢えず、探ってみるわ」

 「よろしく、頼む」

 私達は、暫く、ベッドの上で、信頼関係を深めた。ミューとは、久しぶりだったが、直ぐに、以前のような関係を思い出せた。

 後日開いた、3部会議において、私の宰相の正式就任と、代表者の数を半減する提案が可決した。代表者も、仕方なくなっていた者も多く、できれば、止めたいと思っていた代表者もかなりの数に上っていたため、すんなりと、提案が了承された。

 これで、私の意見に賛成する代表者の割合を増やすことが出来た。貴族と、有権者の代表のほとんどが、私の意見に賛同する者になった。後は、神殿の代表の意見を私に寄った物にするだけだ。こちらは、ミューの報告待ちだ。

 マリーから、思念伝達で、報告があった。

 「ムーン、少し進展があったわ」

 「それは、何だい」

 「これまでは、ペニシリンだけが見つかっていたけど、新たに細菌やウィルスを殺す薬が見つかったわ。そして、それを生産することが出来る菌も見つかったの」

 「ほう、それは、凄いな。それは、どんな病気に効くのだ」

 「今の所は、結核に効くと思われています」

 「そうか、それは、ストレプトマイシンだな」

 「その名前にしますか?」

 「薬を販売する時には、ストレプトマイシンにするだけでいいよ」

 「わかりました」

 私は、思念伝達を切った。いよいよ、研究も軌道に乗ってきたようだ。これなら、もっと、多くの抗生物質が見つかるだろう。見つかった薬を大量生産できるように支援していくことにした。それは、ショーバェからの連絡後にするつもりだ。

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