錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第28章 魔大陸編 2816.更なる四天王
更に、3度の転移を行ったとき、ついに、強大な魔力反応があった。それも、1匹や2匹ではなかった。レベル60以上の魔物の群れが、5カ所存在した。そして、その群れの中に特に魔力量の高い者が、存在した。おそらく、四天王レベルの魔人だろう。
つまり、5カ所にレベル60以上の魔物の群れがあり、その一つずつに四天王レベルの魔人がいるということだ。しかし、四天王がそんなに多くいるわけはない。おそらく、その中のいくつかは、四天王の部下だろう。
私達3人では、到底対抗できないので、急いで、デーモン・シールドの居る所に戻り、ここまで、連れてくる必要があった。そして、最も大切な事は、これらの敵を我々のデーモン・シールドのパーティーだけで、倒せるのか、ということだ。
私は、いそいで、思念伝達で、現在の状況をシロッコスに伝えた。
「一度にすべての敵を相手にするのは、得策ではないでしょう」
「それなら、どうする?」
私は、シロッコスに尋ねた。
「1カ所ずつ、倒して行きましょう」
「そううまく、いくかなぁ?」
「1カ所ぐらいなら、気づかれずに倒せるでしょう」
「そうだな。その後の事は、また、考え直そう」
「それでは、我々を迎えに来てください」
「分かった」
私は、今いる場所に転移用の魔法陣を描き、直ぐに、シロッコス達のいるところに転移魔法で、移動した。
「それじゃ、私に掴ってくれ」
「「はい」」
全員が、私に掴っていることを確認してから、転移魔法で、敵のいる階層に移動した。
「それじゃ、一番手前の群れから狩ろうか」
私がデーモン・シールドの皆に声を掛けると、一斉に飛び掛かって行った。特に、ライオスは、これまで、自分を抑えて来た反動か、真っ先に飛び出していった。
アオイやアロンは、遠隔攻撃で、敵を1体ずつ狩って行った。30ほどいた魔物の群れがあっという間に、半減した。レベルの高い魔物は、四天王ではなく、その部下のようだ。レベルが高く、HPも多いが、こちらが複数で対応したので、問題なく、倒すことが出来た。特別な魔物でなくて、良かった。
「うまく、倒せましたね」
シロッコスが、安堵して、私に声を掛けて来た。
「そうだね。他の群れに気付かれているだろうか?」
「どうも、大丈夫なようですね。お互いに連絡を取っている節はないようです」
「念のため、調べて見るよ」
私は、シロッコスを待たせて、スキル探索で、この階層の魔物の状態を調べた。すると、シロッコスが言ったように、他の群れは、以前のままで、特に動きはなかった。
「これなら、もう一つぐらい、群れを狩っても大丈夫だな」
「そうですね。でも、用心した方がいいですよ。必ずしも、すべての群れが同じ状態とは限らないですから」
「シロッコスの言う通りだ。用心するべきだね」
「はい」
私は、分断してしまっても、転移魔法で、退却ができるように、転移魔法用の神具を作って、デーモン・シールドの各自に渡した。これで、一人ずつでも、一つ前の階層に移動できる。
「スピアは、サーキとビーランを守ってくれ。いいかな」
「いいよ」
サーキとビーランも、頷いている。
「それじゃ、行こうか」
「「はい」」
今回も、ライオスが、真っ先に突っ込んで行った。私やアオイは、範囲魔法で、少し遠い敵を中心に狩って行った。アロンとレオナルドは、ライオスやシロッコスの援護を行っている。うまく、連携がとれているようだ。
しかし、もう少しで、全滅させることができると思ったとき、敵のリーダー格の魔物が、戦うのを止めて、逃げてしまった。おそらく、他の群れに連絡をするために、逃げたのだろう。
「シロッコス、我々の事が知られてしまったようだな」
「そうですね。逃がしてしまいました」
「少し、作戦を立て直さないとだめだね」
「そうですね。おそらく、以前戦った四天王の一人が居ると思います」
「確か、ディアブス・ルーチス、光の魔人と言っていたな。光の矢のような攻撃が厄介だったな。目をやられてしまうから」
「そうですね。でも、素早い動きを土魔法で、制限すれば、問題ないと思います」
「新たな四天王が、どのような攻撃をしてくるのかが、問題だな」
「そうですね。事前に知ることができれば、いいのですが」
私は、もう一度、スキル探索で、敵の状況を調べた。そして、今回は、特にリーダー格の魔物の状態を中心に市レベルことにした。
「少し、レベルが高い魔物が4人いる。そして、その中にディアブス・ルーチスが居ることは、分かった。光魔法が扱える魔物は、珍しいからな」
私は、魔力の違いを感じることが出来た。単にレベルが高いだけの魔物と違い、四天王は、特別な魔法を使うことが出来る。それは、特定の魔法属性に特化していることになる。つまり、他の魔物と比べて、魔法属性が顕著に出てくるということだ。火魔法に特化しておれば、その属性の特徴が色濃く表に現れるということだ。それを調べることによって、四天王か、どうかが判断できる。そして、どのような攻撃をしてくるのかの予測が立つ。
私は、スキル探索で得られた詳細な情報をシロッコスと共有して、次の攻撃作戦を立てることにした。
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