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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第29章 魔王復活 2901.魔王軍討伐

 私達は、魔王軍の討伐を再開することにした。魔人族からの戦士を補強できたので、私達のパーティを2つにすることにした。

 一つは、テラjrをリーダーとする本当の勇者パーティだ。そのメンバーとしては、スピア、炎の魔人族の2人と以前のパーティから4人を入れることにした。
 もう一つのパーティは、ムーンをリーダーとする新たなパーティで、スピアの仲間2人と氷の魔人族から2人、嵐の魔人族から2人、それから白魔法が使える戦士を一人加えた。

 以前のパーティのサーキとビーランは、シロッコスの部下30名と残りの魔人族の2人と共に後方支援にあたって貰うことにした。

 そして、テラjrのパーティは、魔王軍の右腕を攻撃し、ムーンのパーティが魔王軍の左腕と第4の四天王を攻撃することにした。ただ、思い通りに戦局が進むかは、不明である。

 私達は、転移魔法で、魔大陸の入り口まで、移動した。そこは、以前と変わりなく、魔物の流出も見られなかった。念のため、私は、竜人軍に随行しているマリーに思念伝達で連絡を取った。

 「マリー、ムーンだけど、今、大丈夫かな?」

 「はい、問題ありません」

 「取り敢えず、現状報告をお願いする」

 「ここ何日も、以前と変わらず、魔物との小競り合いが続いています。そして、魔王軍の四天王とは、まだ、遭遇していません」

 「そうか。特別、変化はないということか」

 「はい」

 「私達は、再度、魔王軍討伐を開始する」

 「分かりました。私は、どのようにしたらいいですか?」

 「今と同じで、竜人軍の監視を続けてくれ。但し、前にも言ったように、危険だと思ったらすぐに、転移用の神具で、移動するように!」

 「はい」
 
 私達は、予定したように3つのグループに分かれて、進撃していくことにした。

 先頭のグループは、勇者パーティだ。テラjr(勇者)に、テラjrの従魔のスピアに、レオナルド(剣士)、アロン(弓術士)、ライオス(斧術士)、それから、シロッコスが連れて来た白魔導士(戦士)、更に、炎の魔人族の2人で、構成されている。

 もう一つのグループは、私(ムーン)とスピアの仲間2人(ラーンスとハプーン)と氷の魔人族の2人、嵐の魔人族の2人とシロッコスが連れて来た白魔導士(戦士)で、構成されている。

 最後のグループは、サーキ(白魔導士)、ビーラン(白魔導士)、シロッコスとその部下の戦士(28名)、最後に土の魔人族の2人で構成されており、最後尾で、支援を担当して貰う。

 私は、先頭で進撃を開始するテラjrと予め相談していた。

 「テラjr、申し訳ないけど、先頭で、魔王軍の四天王と戦って欲しい」

 「ムーンに言われるまでもなく、そのつもりだ」

 「その時に、少し、お願いがあるのだが、いいかな?」

 「改まって、お願いって、少し変だよ」

 「まだ、竜人族とは、別行動で動きたい。そこで、隠密魔法を使って、姿を隠して移動して欲しい」

 「何だ、そんなことか。もちろん。いいよ」

 「それから、魔王軍討伐を開始する前に、隠れた場所に転移魔法での移動用に魔法陣を描いておいて欲しい」

 「分かった。それを使って、一気に移動するつもりだな」

 「そうさせて貰いたい。サーキ達の最後尾の部隊もそれで、移動したい」

 「分かった。それぐらい、何でもないよ。それ以外は?」

 「それだけで、いいよ」

 「それじゃ、先に行くよ」

 「気をつけて」

 テラjr達のパーティは、隠密魔法で、姿を消した。

 暫くして、テラjrから、思念伝達で連絡があった。無事、敵四天王の居る階層に辿り着いたようだ。そして、魔法陣を描き終わったということだ。

 私は、まず、最後尾になるサーキ達のグループを集めた。

 「これから、敵魔王軍への攻撃を開始します。5人ほどで、手を繋いで、目を瞑っておいてください」

 「「分かりました」」

 私は、自分のグループを先に転移魔法で、移動させた。それから、サーキ達のグループを順番に移動させていった。最後にサーキとビーランと共に私も、転移魔法で移動した。

 「さあ、これで、全員の移動が完了した。ここからは、私のグループが先頭のテラjrのグループを追いかける。シロッコス達は、連絡があるまで、ここで、待機しておいてください」

 「「了解です」」

 私は、スキル探索で、現在いる階層の魔物を調べた。確かに、魔王軍の四天王らしき魔人がいる。それ以外にも、魔人が2人いた。おそらく、魔王の右腕と左腕だろう。それから、この階層には、魔火山に繋がる入り口があることが分かった。これまでは、何かの結界で、隠されていたようだが、どういう訳か、今は、探知することができる。

 その入り口は、次の階層への入り口の魔法陣とは、全く別の場所にあった。そして、そこへの移動は、魔法陣を使う必要がないようだ。目視することはできないが、はっきりと入り口だとわかる。凄い量のマナがそこから、流れ込んでいる。これほどのマナが漏れ出しているのに、まだ、魔火山が噴火するのには足らないのか。

 私が、魔火山の事を考えている間に、テラjrの魔王軍への攻撃が始まった。その様子を観察しながら、どのように支援していくのかを考えていた。

 3人の魔人を1つのグループが対処するのは、無理がある。やはり、分断を図るべきだろう。私は、戦っているテラjrと思念伝達で連絡を取りながら、これからの戦い方を決めた。

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