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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第28章 魔大陸編 2821.撤退

 冒険者ギルドまで戻って来た私達は、一度デーモン・シールドを解散することにした。冒険者ギルドへの登録はそのまま、維持することにした。

 「私の一存で撤退することになり、申し訳ない」

 私は、改めて、デーモン・シールドの皆に謝罪した。パーティを組む時に覚悟を決めていたであろうに。

 「これで終わりではないですね?」

 タンクのアロンが私に尋ねて来た。怖いほどの視線に晒されながら、私は、ゆっくりと答えた。

 「勿論。これで終わりではない。ただ、私に勝手に次回も付き合わせるわけにはいかない」

 「いや、俺は、次も参加する。だから、必ず、連絡をして欲しい」

 アロンの決意は固いようだ。

 「わかった。次回も、デーモン・シールドに皆には、必ず、声を掛ける。参加するかどうかは、その時に決めて貰えればいい」

 「「了解」」

 デーモン・シールドの全員が、了承して貰えたようだ。ただ、サーキやビーランには、次回は、参加を遠慮して貰いたい。私一人では、守り切れない。ただ、このことは、今は、伏せておこう。

 「それじゃ、元気で!」

 私は、デーモン・シールドの皆に別れを告げた。

 「「また、会おう」」

 皆も、お互いに声を掛けて、別れて行った。

 私は、予め思念伝達でシロッコスとスピアに、私と同行するように言っておいた。冒険者ギルドの裏手にシロッコスとスピアがやって来た。

 「それじゃ、行くよ。私の手に掴って!」

 私は、シロッコスと手を繋ぎ、スピアに抱かれながら、転移魔法で、ガーベラの居る白へ移動した。

 「それじゃ、ガーベラも含めて、会議をしようか」

 「はい」

 シロッコスの返事を待ってから、私達は、城の中に入って行った。

 「テラjr様、ようこそ」

 「ガーベラに会いたい。取り次いでくれ」

 「はい」

 侍女が、2階へ急いだ。そして、暫くして、ガーベラが下りて来た。

 「テラjr、元気そうね」

 「はい。無事です。一度、戻ってきました」

 ガーベラは、侍女に指示をして、応接間に皆を案内させ、お茶の用意をさせた。

 「こちらで、話を聞きます」

 ガーベラは、応接室のソファに腰を下ろしながら、私に声を掛けた。私は、ガーベラの前のソファに腰を下ろした。

 シロッコスは、私の後ろに立っている。スピアは、私の横に座り、私に纏わり付いている。

 私は、ガーベラにこれまでの事を簡単に説明した。

 「そう。大変でしたね。それで、これから、どうするつもり?」

 「魔王の完全復活には、まだ、時間が掛かると思う。その間に、こちらの戦力を上げておきたい」

 「それで、どの程度の猶予があると思うの?」

 「今、魔大陸には、竜人軍が魔物達と戦っている。それによって、魔大陸から魔物が溢れ出すことだけは、避けれそうだ。ただ、竜人軍の本当の力は分からない。そして、本当の目的も、定かではない。だから、竜人軍をまだ、信じ切ることができないでいる」

 「分かったわ。それで、私は何をしたらいいの?」

 「デーモン・シールドと同程度のパーティをもう一つ結成して欲しい。他国へ応援を求めて欲しい」

 「そうね。簡単ではないけど、やってみるわ。テラjrは、その間どうするの?」

 「魔王軍を完全に倒す方法を考える」

 「そんなことできるの?」

 「まだ、わからない。でも、仲間を殺されるのは、厭なんだ」

 「分かったわ。私も、出来るだけの事をするわ」

 ガーベラの城で、私とスピアは、寝ることにした。シロッコスは、一度、軍に戻ると言って、帰っていった。

 私は、来客用の部屋でスピアと一緒にベッドに入った。なかなか、寝つけない。これからのことを考えていた。

 ドアが開き、ガーベラが入って来た。そして、スピアの反対側からベッドに入って来て、私を抱きしめた。私は、母に抱きしめられたように落ち着いた。

 「まだ起きてたの?」

 「なかなか、眠れない」

 「今日は、すべて忘れなさい」

 「はい」

 ガーベラに抱かれて、いつの間にか、眠ってしまったようだ。侍女が、朝食を持って来るまで、ガーベラが居なくなったことも気が付かなかった。こんなに安心して寝ることが出来たのは、いつ以来だろう。

 私は、スペアと食事を取りながら、これからやることを考えた居た。まずは、情報収集だ。魔王軍に関して、もう一度、情報を整理したい。次に、転移魔法陣の研究だ。魔大陸でも利用できるように転移魔法陣を改良したい。最後に、武器や防具の研究だ。聖剣と同様の力を持つ武器を創りたい。また、聖防具や聖盾のような防具を創りたい。

 「やらないといけない事が沢山ある。スピア、手伝ってくれる?」

 スピアは、大量の食べ物を口に法張りながら、頷いた。

 食事を終えてから、私は、魔法学院のシルバに思念伝達で連絡を取った。

 「テラjrだけど、今いいかな?」

 「大丈夫よ。アオイも、こちらに帰って来たわ。話は聞いたわ」

 「シルバにお願いしたいことが2つある。一つは、魔王軍や聖剣に関する情報収集だ。もう一つは、サーキのような白魔術師で、戦士でもある人材を探して欲しい」

 「わかったわ」

 私は、ガーベラと別れて、カタリナに会いに行くことにした。もちろん、スピアも一緒だ。

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