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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第28章 魔大陸編 2807.勇者パーティ

 テラjrとして、私は、勇者の役割を演じることにした。その決意を固めるために、ガーベラの城へ転移魔法で移動した。

 「ガーベラ、お元気ですか?」

 「テラjrも、元気そうね。それに、すっかり、大人になったようね」

 「はい、もう、11才になりました。もうすぐ、社交界デビューだと聞いています」

 「もう、そんな年なのね。何か、プレゼントをあげないといけないわね」

 「お気持ちだけ、十分です。今日は、これからの事について、報告に来ました」

 「思念伝達で、大筋は聞いたわ」

 「勇者として、働こうと思っています」

 「そうね。仕方がない事ね」

 「はい、そう言って貰えると、助かります」

 「私に、何か、お手伝いできることがある?」

 「実は、勇者パーティを組みたいと考えています。でも、これまで、単独で、行動してきたので、どのような方が居るのか、全く、分りません。そこで、ガーベラに誰か、紹介して貰いたいと思って来ました」

 「勇者パーティには、何人参加させるの?」

 「そうですね。私は、剣士として、振舞いたいので、黒魔術師、白魔術師、遠距離物理攻撃が出来る者、タンクとして先頭で戦える者は、最低でも、欲しいですね」

 「魔法学院には、問い合わせしたの?」

 「いいえ、まだです。学生を連れ出すのは、少し、気が引けます」

 「では、教師なら、どうかしら?」

 「教師なら、問題は、ありません。でも、高齢者が多いのでは?」

 「そんなこともないわよ。それじゃ、魔法学院長のシルバに問い合わせてみるわね」

 「お願いします」

 ガーベラは、思念伝達で、シルバに連絡を取った。そして、これまでの経緯を説明して、適任者を推薦してもらった。

 「テラjr、アオイという上級教師はどうかと、言っているわ。知っている?」

 「知っています。火魔法が得意な上級教師です。魔力総量も十分です」

 「それじゃ、本人に確認して貰っておくわね」

 「はい」

 ガーベラは、シルバとの思念伝達を切った。

 「ねぇ、兵士の中から、戦士を探してはどうかしら?」

 「それは、いい考えです。シロッコスは、どうですか?」

 「シロッコスねぇ、彼には、国の重要な仕事を任せているから、できれば、避けたいわ」

 「それなら、シロッコスに推薦して貰ったらどうですか?」

 「それない良いわ。早速、シロッコスに連絡を取るわね」

 ガーベラは、思念伝達で、シロッコスに連絡をとり、交渉を始めた。暫くして、私の方を向いて、声を掛けて来た。

 「少し、待った欲しい様よ」

 「分かりました。そちらは、任せます。でも、兵士では、タンクとしての働きは期待できないと思います」

 「それらなら、タンクは、どこで探すの?」

 「冒険者ギルドが良いかと、思っています」

 「そうか、それなら、パーティの連携も慣れているし、好都合ね」

 「はい、そちらは、私の方から、連絡を取っておきます」

 「それでは、残りは、治癒魔法が使える白魔導士ね」

 「そちらは、何人か、心当たりがあるので、連絡を取ります」

 「誰を予定しているの?」

 「実は、サルビアが良いと思っているのですが、任せている仕事あが多いので、遠慮しています。そこで、部下のサーキを派遣してもらうつもりです。それと、もう一人、リザードウーマンの巫女のビーランを考えています」

 「確か、ビーランは、兵士の指導係だったわね。それなら、私が、シロッコスに連絡を取って、確認して貰うわ」
 
 「よろしく、お願いいたします」

 私は、思念伝達で、サルビアに連絡を取って、サーキの派遣の話を伝えた。それから、冒険者ギルドへ、向かうことにした。

 「ガーベラ、それじゃ、私は、冒険者ギルドに行きます」

 「気を付けてね。また、連絡するわ」

 「はい」

 私は、冒険者ギルドのローララに会うために、ヤガータ国に転移魔法で移動した。

 「すみません。ギルド長のローララはいますか?」

 「はい、少しお待ちください。呼んできます」

 受付の係の従業員が奥の部屋に入って行った。暫くして、冒険者ギルドのギルド長のローララがやって来た。

 「私に、何か用でしょうか?」

 「私は、テラjrといいます。ヘノイ王国からやって来ました」

 「えっ、あのテラ様の息子のテラjrですか?」

 「はい、そうです」

 「どうぞ、こちらにお入りください」

 ローララは、直ぐに、私を応接室に案内した。そして、ソファに座るように、勧められた。

 「実は、今日は、ローララさんにお願いがあって来ました」

 「テラjr様、私の事は、ローララと読んで下しい」

 「分かりました。それなら、私の事も、テラjrと呼んでください」

 「はい。分かりました。それで、どのような事でしょう?」

 「この度、私は、パーティを組みたいと思っています。そこで、ローララに、タンクに相応しい冒険者を小委介して貰いたいのです。できれば、Sランクの冒険者をお願い致します」

 「Sランクの冒険者は既にパーティを組んでいますよ」

 「それは、分かった居るのですが、どうも、魔王が復活する予兆があります。そこで、勇者パーティのメンバーを探しています」

 「すると、魔王討伐のパーティーを組むということですか?」

 「はい、その間だけ、今のパーティーを抜けて、勇者パーティに入って貰いたいのです」

 「魔王が復活間近だというのは、本当ですか?」

 「本当です。でも、これは、一部の人だけしか知りません。極めて、秘匿性の高いものです」

 「分かりました。他言は、しません。それと、勇者パーティと言うことですが、勇者は、召喚されたのでしょうか?」

 「はい、既に召喚されています。これも、極秘ですが、私が、勇者です」

 「えっ、本当ですか?」
 
 「本当です」

 ローララは、驚きのあまり、卒倒してしまうのではないかと思うほど、動揺していた。

 「分かりました」

 ローララは、落ち着きを取り戻し、奥の部屋に静かに消えて行った。

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