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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第28章 魔大陸編 2815.新たな敵
マリーから、思念伝達で、連絡が入った。
「テラjr様、今いいでしょうか?」
「どうした。何か、動きがあったのか?」
「はい。今、竜人軍が、魔王軍の魔物を圧倒しています。地上の魔物をほぼ駆逐して、転移魔法陣から入って行くところです。私達はどうしたらいいでしょうか?」
「そうだな。まだ、暫くは、監視して貰いたいが、危険ではないか?」
「隠密魔法で、姿を隠しているので、危険は低いと思います。でも、テラjr様は、今、どこに居られるのですか?」
「今は、勇者パーティに参加している。マリー達より、先行して、進撃している」
「えっ、何時の間に、私達を追い越したのですか?」
「前回、膠着状態だと報告して貰ったときに、進撃を開始した」
「そうでしたか。それなら、私達も、一緒に行った方が良かったのではないですか? 少しでも、数が多い方が、安心だと思いますが?」
「いや、まだ、竜人族を信用していない。だから、マリー達には、申し訳ないが、そのまま、監視をしてくれ」
「分かりました。それでは、私達は、少し時間を置いてから、転移魔法陣を使うことにします」
「危険を感じたら、直ぐに、転移魔法の神具を使って、撤退するように!」
「はい、分っております。テラjr様も、御無事で!」
「ありがとう」
マリーが無事でいることが分かって、少し、安心した。
私は、マリーからの報告をデーモン・シールドの皆に伝えた。
「そうですか。いよいよ、竜人軍が進撃を開始したのですか」
シロッコスが、何か、考え事をするかのように、私に報告に反応した。
「テラjrさん、竜人軍と一緒に進撃していくということはダメですか?」
サーキが、私に、遠慮がちに進言した。
「実は、まだ、寮人族を信用していないのだ。その為に、離れて行動している」
「そうですか。仕方ないですね」
サーキは、それでも、まだ、何か言いたそうにしている。
デーモン・シールドの他の者も、一緒に進撃した方が良いと思っているようだ。幾人かは、私の方に疑念の目を向けている。
私も、どれだけ、情報を共有すべきか、迷っている。生死を共にする仲間だが、私には、秘密が多すぎる。それらをすべて語ることは、無理だ。
私は、スキル探索で、この階層の状態をもう一度調べて見た。やはり、この階層には、もう、強い魔物はいない。このまま、ここに止まっても仕方がないので、出発することにした。
「そろそろ、出発したいが、準備はできているか?」
「問題ない」
ライオスが、即答した。他の者も、頷いた。
「それでは、出発だ!」
ディアブス・ルーチスが、どこに消えたのかわからないので、用心しながら進むしかない。そして、私達デーモン・シールドの力を知っているので、次は、単独では現れないだろう。
これまでと同様に、転移魔法用の魔法陣が設置された遺跡を利用して、階層を進んで行った。私は、その都度、スキル探索で、その階層の状況を調べて行った。数階層を移動しているが、未だに用心すべき魔物の存在は探知することが出来ないでいた。
「テラjr、このまま全員で進行しても、時間が掛かりすぎる」
ライオスが、戦闘が始まらないことにいら立ちながら、私に言った。確かに、デーモン・シールド全員で、用心しながら進んでいくのは、時間が掛かる。
「先行して数人で、調査を進めるのはどうかな?」
アロンは、遠慮しながら私に提案した。確かに、スピアと一緒に一気に進むべきかもしれない。
「スピア、何人ぐらいなら背負えるかな?」
「背中に乗れるなら、何人でも大丈夫だよ」
スピアにとって、背負う人数は背中のスペース分だということだ。それなら、2人か3人だ。
「それでは、誰が一緒に行く? 私は、スピアと共に行くつもりだ」
デーモン・シールドの顔色を見ると、ライオスが、自分を指名しろという顔を向けてくる。だが、ライオスが、私の指示通り動いてくれるとは思えない。敵を見つけると他の事はそっちのけで突き進んで行きそうだ。
「探索が中心なので、接近戦は避けるつもりだ。だから、遠距離攻撃が出来る者にしたい」
私は、弓が使えるアロンか、アオイがいいと思っている。私は、そっと、2人の様子を見てみた。アオイは、下を向いて、黙っているが、アロンは、私の方を直視して、声を掛けられるのを待って居るかのようだ。
「それでは、アロン、遺書に調査に付いて行ってくれないか?」
「わかりました」
アロンは、即答だった。私達3人は、出発の準備が終わると、直ぐに動いた。最後にシロッコスに、留守を頼んだ。
「凄いスピードですね」
スピアの背に乗って移動しながら、アロンが驚いたようだ。
私達3人は、隠密魔法で、姿を消している。そして、闇魔法のシールドで、守っている。その為、途中で、魔物の群れに遭遇しても、スピードを落とさずに、移動し続けることが出来た。
もう既に、5度の転移を行っているが、まだ、脅威になるような魔物との遭遇はない。もちろん、四天王との遭遇もなかった。私は、転移魔法用の魔法陣で、階層を転移する度に、スキル探索で、移動先の階層を調査していた。
更に、3度の転移を行ったとき、ついに、強大な魔力反応があった。それも、1匹や2匹ではなかった。レベル60以上の魔物の群れが、5カ所存在した。そして、その群れの中に特に魔力量の高い者が、存在した。おそらく、四天王レベルの魔人だろう。
つまり、5カ所にレベル60以上の魔物の群れがあり、その一つずつに四天王レベルの魔人がいるということだ。しかし、四天王がそんなに多くいるわけはない。おそらく、その中のいくつかは、四天王の部下だろう。
私達3人では、到底対抗できないので、急いで、デーモン・シールドの居る所に戻り、ここまで、連れてくる必要があった。そして、最も大切な事は、これらの敵を我々のデーモン・シールドのパーティーだけで、倒せるのか、ということだ。
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