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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編第 22章 ショーバェ編 2205.ソーロン帝国の陰謀

 これまで、何故、メルーロ達がソーロン帝国に反逆していたかを、詳しく聞いたことがなかった。

 私は、それを確かめることにした。

 「メルーロ、改めて聞きたいことがある」

 「ムーン、何が知りたい?」

 「以前、メルーロ達は、軍に反抗していたけど、それは、何故なの?」

 「確かに、反抗か。そうかもしれない。私は、国民のための軍になって欲しかった。それだけだ」

 「メルーロは、中将までになっていたが、それでも、軍を変えることは、出来なかったのか?」

 「俺は、失敗した。だが、出来ない事は、無いと思う」

 「それは、何故だ?」

 「軍隊は、元帥を頂上に、大将がそれに続いている。その大将の下に中将や少将がいる」

 「それは、知っている」

 「元帥は、ただのお人好しだ。もう年だし、何かを変えようとは思っていない。その下に、3人の大将がいる。だが、どの大将も、官僚出身の者たちで、現場を知らない。机の上で、事が起こっていると思っている。報告書が全てだ。自分の足で、情報を得ることをしない。単なるお飾りだ。だから、実質は、中将とその下の少将によって、軍全体が動かされている」

 「それなら、その中将の一人のメルーロにも、変える力はあったのでは?」

 「そうだね。俺が、もっとうまくやっていれば。でも、俺は、若かった。待てなかった」

 「そうか、脱走とされたが、結局、追い出されたっていう訳か」

 「そういうことだ。俺は、まんまと、罠にかかってしまった。愚かだったよ」

 「メルーロと志を同じくする者は、居なかったの?」

 「俺には、見つけることが出来なかった。でも、金で動く奴はいるぞ」

 「金で動くなら、動かしたらいいよ。それは、誰?」

 「ベルーナだ。あいつは、金で動く。今は、中将にでも、なっているかもな?」

 「わかった。そちらは、何とか考えることにするよ」

 「俺でよかったら、手伝うよ」

 「ありがとう。また、相談するよ。軍のことは、僕には分からないから」

 「そうしてくれ。いつでも言ってくれ」

 私達は、取り敢えず、港の基地やその他の基地をそのまま、置いておくことにした。ただ、攻撃されるまで、こちらからは、侵攻しないようにと、部下に指示して貰った。

 最低限の軍隊を残して、残りは、ヤガータ国に戻すことにした。

 私は、スピアと共に、もう一仕事をした。それは、ソーロン帝国が竜人族を襲わないようにするためだ。

 ソーロン帝国が建てた城壁は、3カ所に大きな門があり、そこから、攻撃を仕掛けることが出来る。そこで、その大きな門の前に、新たな門をつくり、闇魔法で、結界を張ることにした。これによって、ソーロン帝国が竜人族を襲うことがないようにした。そして、竜人族や魔物もソーロン帝国に侵入できないようにした。

 「スピア、ご苦労様。我々も、帰ろうか」

 「うん。帰ろう。テラjrが待って居る」

 「おぃ、スピア。僕より、テラjrの方がいいのか?」

 「そうだよ。テラjrは、勝手なことしないから」

 「そうだね。僕は、自分勝手だから、って、コラ!」

 私は、スピアの頭を優しく、撫でてあげた。そして、しっかりと、抱きしめた。

 「スピア、テラjrとレイカを頼む」

 「ムーン、大丈夫だよ。しっかり、守るよ」

 「それじゃ、バイバイ」

 私は、スピアと別れて、新しい隠れ家のミューの部屋に転移魔法で移動した。そして、スピアは、仲間をヤガータ国の港に基地に移動させてから、テラjrのいる城に移動した。

 ミューは、相変わらず気怠そうに、ベッドで休んでいる。目を閉じている。私は、ミューの上にのり、そっと、唇を重ねた。そして、ミューのラベンダの香りを楽しんだ。

 「あら、ムーン、来てたの」

 「起こしてしまったかい」

 「いいのよ。ムーンなら」

 ミューは、目を輝かせて、私に抱き付いてきた。そして、やわらかな身体を押し付けてきた。そして、両足で、私の胴を挟み込んだ。

 「食事は?」

 「そんな物いらないでしょ。私を食べてよ」

 「わかったよ」

 私達は、久しぶりを埋める様に、楽しんだ。ミューも、満足したようだ。

 「少し、相談したいんだが、いいかな?」

 「そうね。着替えるから、外で、何か食べない?」

 「いいよ。待ってる」

 ミューは、シャワーを浴びに裸のまま、部屋を移動した。私は、その姿を眺めながら、先ほどのことを思い出していた。

 暫くして、ミューが声を掛けて来た。

 「ムーン、行きましょう?」

 「うん」

 近くに、密室のような食事処があるようだ。そこでなら、食事をしながら、密談ができる。ミューは、変な場所をよく知っている。

 私は、用心のため、スキル探索で、部屋を調べた。特に、問題は、無いようだ。でも、大事な時期なので、用心のため、闇魔法で、結界を張って、私達の様子が外部に漏れないようにした。

 ミューに、カネーダを篭絡させて貰うことを依頼した。そして、私をカネーダに紹介して貰うことにした。それも、すぐに実行に移して貰うことにした。ミューは、美味しそうに食事をしながら、私の計画を受け入れた。

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