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錬金術師の召喚魔法 第Ⅳ部 サルビア編 第28章 魔大陸編 2810.勇者パーティのランクアップ
上級ダンジョンも、いよいよ最下層に近づいて来た。デーモン・シールドも、すっかり、パーティらしくなってきた。もう、Sランク冒険者の指示がなくても、うまく連携が取れるようになっている。
私達は、ダンジョンマスターと対峙する前に、一度、冒険者ギルドに戻って、ランク上げをすることにした。これまでに、多くの魔物を狩り、魔石や証拠品を得ていた。これを冒険者ギルドに買い取って貰い、個々ランク上げに使おうと考えた。私は、ダンジョンの壁に横穴を開けて、そこに、転移魔法用の魔法陣を描き、入り口を闇魔法で、シールドして、他の者が入れないようにした。これで、すぐに、ここから、再チャレンジできる。
私達は、転移魔法で、冒険者ギルドの裏手に移動してから、冒険者ギルドに入って行った。
「すみません。買い取って欲しいのですが?」
受付の女性が、必要な道具を揃えて、私達の前に出した。私は、魔石や証拠品をアイテムボックスから取り出して、トレイの中に入れて行った。
「対価は、IDに入れておきますか?」
「それで、お願いします。それから、ランクアップは、できますか?」
「これらは、パーティで、得たものですね」
「はい、そうです」
「それでは、パーティに経験値が加算されます。その後で、パーティの各自に配分されます」
「それは、均等配分ですか?」
「基本的には、そうですが、変更することもできますよ」
「それは、どのように、するのですか?」
「デーモン・シールドの皆さんの中には、Sランクの冒険者が居ます。彼らは、今回の経験値は、ほとんど加算がありません。ですから、今回は、残りの5人にほぼ均等に配分されます」
「今回は、白魔導士の2人に重点的に配分することって、できますか?」
「できますよ。でも、パーティの経験値の半分までが、上限です。それで、いいですか?」
「はい、それでいいです」
私達は、経験値を配分して貰った。その結果、サーキ、ビーランは、共に、Dランクにランクアップした。
そして、私と、アオイと、シロッコスがEランクにランクアップした。
「それじゃ、もう一度、ダンジョンに潜るよ。いいかな?」
私は、パーティの皆に声を掛けた。
「「OK、了解」」
全員、反対はないようだ。私達は、素早く、単位魔法で、ダンジョンの中に描いておいた転移用魔法陣の場所に移動した。
「それじゃ、行くよ」
「「はい」」
一度、潜ったダンジョンでは、直ぐには、魔物が修復できていないようなので、他のダンジョンに潜り直すことにした。そして、結局、4カ所のダンジョンに潜って、魔物を狩り続けた。
その結果、漸くサーキとビーランは、Cランク冒険者にランクアップした。そして、私・アオイ・シロッコスがDランクにランクアップした。
「パーティのランクアップは、もう少し必要だけど、連携はもう十分だと思う。そこで、魔大陸へ侵攻したいと思うけど、どうかな?」
私は、パーティの皆に、問いかけた。
「魔王の復活は、どうなったの?」
サーキが、現在の状況を知りたいようだ。そこで、私は、マリーに思念伝達で、連絡を取った。
「マリー、テラjrだけど、現状を報告してくれるかな?」
「はい、今も、まだ、膠着状態です。低レベルの魔物の数が、余りにも多くて、先に進めていません。倒しても直ぐに、それと同程度の数の魔物が出てきます」
「魔王の復活はどうかな?」
「大気の魔力の濃度が徐々に高くなっていますが、以前と比べて、極端に増えることはありません。それに、危惧していた四天王もまだ、現れていません」
「わかった。引き続き監視の方を頼む。危険な状態の場合は、転移用の神具で、撤退すること。いいな」
「はい」
私は、マリーとの思念伝達を切って、パーティの皆に状況を説明した。
「まだ、魔王は、完全復活していないようだね」
シロッコスが、推測を話した。
「竜人族とは、別行動で、魔大陸に突入したらどうかな?」
ライオスが、待ちきれないように発言した。
「そうだね。完全復活する前に、倒せたら、その方が、いいのではないかな」
アロンも、ライオスに賛成のようだ。確かに、今が、好機かも知れない。
「反対の人は?」
誰も、手を上げない。どうやら、皆も、賛成のようだ。
「それでは、魔大陸に侵攻することにします。でも、竜人族とは、別行動とりますが、いいですか?」
「「はい」」
私達は、長期に渡るかも知れないので、アイテムボックスの中に、食料やポーションなどを詰めて、万全の態勢で、向かうことにした。テラ・ワールドの支店から、必要な物を送って貰い、直ぐに準備が整った。
「それでは、まず、ソーロン帝国の遺跡に向かいます。そこから、魔大陸に転移して、侵攻していきます。用意は、いいですか?」
皆が頷いているのを確認してから、私達は、転移魔法で、ソーロン帝国の遺跡まで、移動した。転移が完了してから、隠密魔法で、パーティの姿を消して、遺跡の魔法陣に近づいて行った。
竜人族の見張りがいると思っていたのだが、誰もいなかった。それでも、用心のために、隠密魔法を持続したまま、転移を開始した。
うまく、移動が完了した。移動先には、見張りもいない。どうやら、全員で、魔物に対処しているようだ。私は、パーティの全員に対して、思念伝達で、連絡を取った。
「暫く、ここで、待って居て欲しい。私とスピアで、この先の状況を把握してくる」
「「OK」」
私は、地面に転用の魔法陣を描き、闇魔法で、シールドして隠しておいた。それから、スピアの背に乗って、竜人族と魔物との戦闘場所まで、移動していった。竜人族の魔人と魔物が密集しており、身動きが取れないような状態なので、少し、先の魔物に範囲攻撃で、スピアのジャンプ先を確保することにした。
「火壁」
私の魔法の掛け声と共に、スピアがジャンプした。着地前に次の魔法を繰り出した。
「火壁」
これを暫く、繰り返しているうちに、少しずつ、魔物の密度が減って来た。元の位置から5kmぐらいは、離れただろうか、魔物がまばらになって来た。
更に、10kmぐらい前方に建物が見えた。古ぼけた城のようだ。どうも、そこから、魔物が湧き出ているようだ。
「スピア、あの城の中に入ってくれ」
スピアは、魔物を蹴り倒しながら、城の中に入って行った。城の地下室から、魔物が出てくるようだ。だが、思ったより、出てくる数が少ない。これと同じような場所が複数あるのだろう。そうでなければ、あの膠着状態を説明できない。他の場所を探すのは、後回しにして、どのような構造で、魔物が出てくるのかを確認することにした。
地下に降りて行くと、広間のような場所に出た。そして、その床には、大きな魔方陣が書かれており、魔物が召喚されているようだ。だが、魔力を注いでいる魔物が見当たらない。他の場所から、遠隔で、魔力を注いでいるようだ。
まずは、それを探すことにした。魔法陣を詳しく調べて見ると、端が延長されており、奥の部屋に繋がっていた。スピアの背に乗って奥の部屋に入って行った。すると、それまでの魔物とは格段に差がある魔物がいた。それは、魔人だと思われた。かなりの魔力量を持っているようだ。その魔人が、魔力を注ぎ続けている。それで、魔物が召喚されているようだ。
他には、同等の魔人はいないようなので、闇魔法で、拘束することにした。
「うっ、誰だ。身体が、動かない。魔力も吸い取られている」
私は、魔人の声に耳を貸さずに、どんどん魔力を吸い取って行った。ついには、立っていられないほどに衰弱したところで、声を掛けることにした。
「お前は、誰の指示で、魔物を召喚しているのだ」
「誰だ、俺に声を掛けているのは、姿を現せ!」
「私の問いに答えよ。さもなくば、ここで、死んで貰う」
「俺が死んでも、代わりはいくらでもいる」
「そうか。「火柱《ファイア・ポール》」
魔人は、炎に包まれて、消えて行った。それほど、強い魔人ではなかったが、魔力総量だけはやけに多く、限りなく、魔物を召喚出来ていた。魔物の出現は、止まったが、念のために、床の魔法陣は、消しておいた。
スキル探知で、城の中を調べたが、他に魔人はいないようだ。そこで、次の城を探して、移動することにした。
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