「合理的配慮」実践事例【前半】
皆様こんにちは。
mojoで一緒に活動している産業医の木村です。年末に向けて気忙しい日々をお過ごしかと思います。
私も日々の業務をなんとか年内に終わらせようと頑張っています。それに加えて、子どもたちのサンタクロース業務、主婦としての大掃除業務、お正月の準備。。。いつも年賀状が後回しになります。
それでも、時間を見つけて、最近ハマっているアカスリに足しげく通っております。皆様もぜひ、日々のタスクからひととき解放された、ほっとできる時間を積極的に持ってくださいね。「あー楽しかった!やあー気持ちよかった!」は業務パフォーマンス向上の一助になると思います。
さて、本題にいきましょう。
今回のテーマですが、前回までは発達障害の方の具体的な事例についてお伝えしておりましたが、今回からは、特に、障害者雇用について考えていければと思います。
法定障害者雇用率の引き上げに伴い、企業側もとうとう無視できない問題になってきました。
でも、まだ手探りな部分も多いでしょうし受け入れる現場の体制も未成熟ではないでしょうか。
障害者であっても安心して働けるような環境づくり、そして、企業側も安心して雇用できる環境づくりを、mojoの2025年のテーマの一つに挙げています。
まずは、障害者雇用における「合理的配慮」にどのようなものが挙げられるか、具体的な事例を考えてみました。そのうち、今回の記事では、前半として2つの事例をご紹介します。次回のnoteでは、後半として3つの事例をご紹介します。ぜひ楽しみにしていてください。
また、合理的配慮に対する考え方は企業によりさまざまですので、すべての企業で通じるとは限りませんが、一例として参考にしてみてください。
合理的配慮事例1:時短勤務⏰
障害者雇用では、1日4時間から8時間勤務の求人が多くなっています。ハローワークの求人票で「勤務時間応相談」と書かれているケースもよく見られますが、勤務時間の配慮は、合理的配慮の代表例といってもよいでしょう。
当事者Sさんの事例
Sさんは、発達障害により「疲れを自覚しにくい」という特性があります。加えて「会社に貢献したい」という気持ちが人一倍強い性格です。そのため、就労移行支援を利用する前は、仕事を引き受けすぎて、深夜まで残業し、疲労が重なり体調を崩してしまうことを繰り返していました。そこで、障害者枠での就職活動では、「勤務時間が長くならないようにすること」「仕事量をリーダーに調整してもらうこと」を合理的配慮事項と決めました。それを踏まえて応募した求人は、「1日6時間」の事務職でした。5日間の実習を体験したところ、後半になるにつれて疲労が出てきたため、就職後は「1日4時間」からのスタートをお願いすることにしました。企業側も、本人のスキルの高さや真面目な人柄を認めてくださったため、配慮事項も快諾され見事内定となりました。就職後は、仕事に慣れながら徐々に勤務時間を延長していき、3ヶ月後には「1日6時間」勤務をこなせるようになりました。
「時短勤務」のポイントと注意点
求人票の記載よりも短い時間での勤務を合理的配慮として希望する場合は、「ゆくゆくは企業の求める時間で働けるようになる」ことが前提となります。ずっと時短勤務のまま働きたい、勤務時間は延ばせないと考える場合は、短時間の求人を検討したほうがよいでしょう。なお、プライベートの都合など、特性や症状とは無関係の事情で時短勤務を、合理的配慮として申し入れることはできませんので注意してください。
合理的配慮事例2:担当者の固定化🙋♂️
コミュニケーションが苦手な人にとって、いろいろな人から仕事を振られたり質問する相手が分からなかったりするのは困りますよね。そこで、「担当者を決めてもらう」といった合理的配慮もよくあります。これにより、どの仕事を優先すればいいか分からない・誰に報告すればよいか分からないといった事態を防ぎやすくなります。
当事者Nさんの事例
物流業に就職したNさんは、ASDでコミュニケーションに苦手意識があります。毎日のルーティンワークが決まっているものの、通りかかった他部署の人から急に仕事を頼まれることがしばしばあり、何を優先してよいのか混乱して困っていました。そこで、同じ作業を担当している従業員Aさん・Bさんに見守りを依頼し、イレギュラーの仕事も把握できる体制を整えていただきました。担当になった方は他部署と連携し、仕事を頼んでよい時間帯やボリュームも調整してくださいました。 今では、優先順位や引き受けてよい仕事量が分からないときはAさん・Bさんに確認することで、スムーズに仕事を進められるようになっています。
「担当者の固定化」のポイントと注意点
決まった担当者をつけてもらったら、その人と信頼関係を築けるよう、自らも報連相をしっかりと行いましょう。万が一、その担当者が苦手なタイプだったとしても、「あの人は苦手だから担当者を変えてください」と選ぶことはできません。支援スタッフを通して、少しずつお互いを理解できるといいですね。
今回は、合理的配慮の事例のうち、代表的な「時短勤務」と「担当者の固定化」について、お話しました。
「どんな合理的配慮を必要とするか、またどこまでなら配慮を受け入れられるか」は、当事者と雇用主の数だけあり、本当にさまざまです。
何よりも大切なことは、その場にいる人たち全員が気持ちよく働けるように、お互いの思いを伝え合い対話をすることです。
そのためにも、第三者的な立場から、調整役をつけることが必要なケースもあるかもしれません。なるべく中立の立場でありながら、職場の特性とご本人の特性を理解した上ですり合わせができる人がいると良いと思いますmojoも今後、企業と特性を持った人との架け橋となれるように成長していきたいです。
mojoの活動に少しでもご興味がございましたら、いつでもご連絡いただければ嬉しいです。皆様にとって快適な職場作りのお手伝いをさせていただきます。
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https://www.mojoproject.co.jp/
年末になり、気忙しいと思いますが、心おだやかにお過ごしになられる事を祈念しております。
mojo 産業医 木村祐子
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