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もじこ塾 総合型選抜 合格報告会2021〜その2

前回→★より続く)

◆小論文の学習方法

もじこ では、小論文の勉強はどうしたかの話をしましょうか。
ちなみにもじこ塾では、大学の募集要項が出る高3の6月頃に、集団授業から個別指導に切り替えています。

◆興味のあることが見つけられたので、事前課題を書くことは全然辛くなかった

いおり もじこ塾は月1で、毎月必ず行っていました。私は志望を決めるのが遅かった方なので、一緒に集団で勉強していた人たちが個別に変わっていくのを見て「あ、そろそろやばいかな」というちょっとした焦りが生まれました。その後、志望大学が決まってからは個別に移りました。

個別になってからはまず、大学が求めている人……アドミッションポリシーを、先生と一緒に読みました。その時に受験方法も読みました。実は最初は、合格したのとは違う学科を受けようと思っていましたが、「こっちの方が合っているんじゃない?」と言われて、自分でも納得したので切り替えて。

もじこ 一緒に募集要項を1文ずつ音読していて、気づいたんですよね。

いおり 7月に事前課題が出たので、それに沿って文章を書いていきました。ある程度家で書いて、それをもじこ塾に持ってきて、そこからアドバイスをもらって修正してを繰り返しました。

もじこ 夏休み中の個別指導は週2回、1回1時間半。書いたものをLINEで送ってもらい、それをWordにコピペして、大きなモニターに表示し、一緒に見ながら修正していました。

いおり あと、自分が必要な資料もちょこちょことあったので、それも一緒に読んでもらいました。

もじこ 一緒に検索して資料を探し、それを一文ずつ交代で読むこともありました。やっぱりディスレクシアは文章を読むのが大変なので。

いおり 興味のあることが見つけられたので、事前課題を書くことは全然辛くなかった。

もじこ 夏休みの6週間は、そうやって過ぎましたよね。


◆「これで伝わるだろう」と思っていることが全然伝わっていなくて

もじこ より大変だったのは、さえちゃんの方。さえちゃんの小論対策はどうでしたか?

さえ 私も最初は集団で、その後個別に移りました。小論の大体の型を教えてもらって、その型に当てはめて書くのが効果的でした。あとは、「ですます調」と「である調」が混ざるので、直すのが大変でした。
募集要項を読んで、入試傾向に沿った質問にちゃんと答えられるよう、毎回テーマをもらって小論を書いていました。

もじこ さえちゃんは文章を書くのが速いし、いい内容を書くんだけど、話し言葉で(笑)

さえ そうですね、頭の中で考えていることをそのまま書いちゃっているんです。しゃべっているつもりで書いてるんで、それが小論文に出てしまっているのかもしれません。
あとは、話が飛び飛びで自己完結しているとよく言われました。私としては、「これで伝わるだろう」と思っていることが全然伝わっていなくて。「はたから見たら、『ここの間に何があるんだろう』と思うよ」と何度も指摘されました。

もじこ それはかなりディスレクシア的だと思いますよ。本人は「これとこれの間には関連性がある」と思っているけど、一般人には関係が遠すぎてわからない。一般世界に降りてくるには、間を埋める必要がありますね。

さえ そうですね(笑)。

もじこ 2人の入試の一番大きな違いは、文章を時間制限のなかで書くかどうかですが、その辺の話をぜひ。

さえ 私のところは大変で。特に二次試験は1200文字を45分で書くんですけど、何度書いても時間的にギリギリで。たしか当日は1分余ったか余らないかの勝負で、大変でしたね。

もじこ 45分で原稿用紙3枚って、手が止まらない勢いで書かないと。

さえ そうですね、手が止まった記憶がないですね。

もじこ 誤字も直さなきゃいけないし、飛躍も直さなきゃいけないし、かつ、時間内に書かなきゃいけないというのは、本当に大変でしたよね。

さえ 誤字脱字が多いにも関わらず、見直しができない状況だったので、よく使う漢字は専用の漢字ノートを作って、できるだけメモしました。

もじこ そうでしたね。漢字ノートで誤字は直った?

さえ 多少は直りました。漢字ノートには何回も間違える漢字、絶対重要なのに間違える漢字を書いて。そういうのを何回も何回もやっていくなかで、自分のできないところをちゃんと認識して、直すようにしました。

もじこ 時間測って書いて、集団討論をしてから書いて、家に帰って書いて、宿題で書き直して……と、かなりのハイペースで書いてました。しかし、コロナになってしまって……。

さえ それはどうしようもなかったのですが、エントリーシート提出の時期にダダかぶりしてしまって。タイミング的に最悪でした。

もじこ 6週間かけて練り上げた内容を最終確認して、あとは清書するだけという時期で。ディスレクシア的に清書は大変なので、ちょっとずつ書かないといけないにも関わらず。

さえ 自分で誤字脱字に注意しながら清書したのですが、提出したものにも誤字はありました。

もじこ 生徒の「徒」が何カ所か「従」になってました。でもそのまま出願に使いました。

◆合理的配慮を受けるか否か

◆結果を出すには必要だなと思ったら、大学に入ってからでも受けようかなと思っている

もじこ 受験にあたって配慮は求めましたか?

いおり 私は全く求めませんでした。配慮を取るにもいろいろしなきゃいけないことがあるので、その労力を考えたら、なくていいかなという判断で。でも、配慮を受けること自体を恥ずかしいこととは思っていないので、結果を出すには必要だなと思ったら、大学に入ってからでも受けようかなと思っています。

さえ 私も、受験の時はもらってないです。試験が小論ということもあり、特に必要ないかなと思って。どういう配慮を求めればいいのか思いつかなかったし、配慮申請するのに時間がかかるので、それなら勉強を頑張ろうかなと思いました。

もじこ AO入試は「配慮を受けなくてもディスレクシア的に戦える入試」、と位置付けられるでしょうね。
もじこ塾では、AOで配慮を受けた事例もありますし、一般入試で配慮を受けた事例も、一般入試に配慮なしで挑んだ事例もあります。配慮を受ける場合、2人が言ってくれたように時間と手間がかかるので、自分が戦いやすい方法を選ぶのが戦略的ですね。

◆Q&Aタイム(前編)

もじこ では、ここからはチャットでいただいた質問に答えていこうと思います。最初の質問です。

Q 小論文を書く時、合理的配慮でタイピングさせてもらうことはできるのでしょうか?

もじこ そうやって合格した事例があります、なのでできると思います。

ただ、入試で合理的配慮を受けるには診断書が必要ですし、現役生の場合は高校で合理的配慮を受けている実績が必要です。ですので、高校に入った段階から、策を打っていく必要はあります。

Q 小学生に戻れたら、どんな勉強方法をしたいですか?

メンタルケアが一番大事。特性理解も

いおり 漢字など、小学生の勉強はベースになっているので、今でも多少復習しなきゃなと思うことがあるほどですが、正直、イヤイヤ勉強するのはやめた方がいいと思います。メンタルケアが一番大事だと思います。

私の場合、小学校の最後の頃は、自分がおかしいことにちょっと気づいていました。でも確信にはなっていないですね。ただ、薄々気づく人は私以外にもいると思うので、その時に勉強をやめちゃわないことなんだなと思います。だからメンタルケアだと思います。

もじこ 漢字だって、必要になったらその時やればいいので。

いおり 後々取り返しがつきます。

もじこ 心が折れないことが、私も一番大事と思います。一回折れると戻るまでに時間がかかるので、折れないことが大事。

いおり 小学生に戻ったら、ゆるゆる行くかな。

もじこ さえちゃんはどう?

さえ 勉強方法は、漢字を真面目にやるくらいしか思いつかないけど、そのほかでは、ディスレクシアの知識を持っていたいですね。やっぱり、どうしてもできないことがあると、自分が努力不足だという劣等感が出てきちゃうので。「これはしょうがないことなので、とりあえず努力はしよう」という考えを持っていけたら、性格がポジティブになれるかなというのはありますね。

もじこ 努力家ですよね、ディスレクシアの人は。「努力は嫌い」と言うけれど、よくよく話を聞いてみると「努力しかしてないですよね」というケースが多いです。

小学校教員になりたい柳沢くんは、小学校に戻れたらどんな勉強をしたいですか? 教員になったら、それを実践したいんですよね。

柳沢 そうなんです。僕が小学校の時は、英語はそんなにがっつりやらなかったのですが、今は英語がカリキュラムにあるので、今もじこ塾で教えているフォニックスを徹底して教える。それが小学校で必要なことだと思っています。

もじこ 柳沢先生が、10年後にはフォニックスを小学校の現場に広げてくれることを願っています。頑張ってください!

Q AO入試というと普段の成績や評定平均などが絡んでくると思っていたのですが、どうなんでしょうか?

◆必要な場合は3.5が多いが、不問の場合も

もじこ AO入試の最高峰であるSFC、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスは評定不問です。このように、AO入試は高校での成績を問わないケースがかなりありますね。
……2人の場合はどうでしたか?

さえ 一次試験にのみ少しだけ関係があって。110点中、小論文が100点、エントリーシートが5点、評定平均が5点だったので、ほぼ無関係でした。

もじこ ただ、最初に選んだ学科は評定が足りなくて、変えざるを得なかった。

さえ そうですね、だから本当に条件によると思います。
あと、評定平均で高い数字がほしいなら、やっぱり、あまりランクの高くない高校に行ったほうがいいかなという気がするんですけど……

もじこ あ、それは大事。つまり、評定が取れるように高校のランクをあえて下げて、それによって評定を上げる戦略に出る。実際にそうしている生徒が、もじこ塾には何人かいます。

さえ 私は、行きたくてレベルの低い高校に行ったわけじゃないんですけど(笑)。

もじこ いおりちゃんは、評定は関係あった?

いおり 私の入試には関係なかったです。

もじこ ちなみに評定平均は?

いおり 4.2です。

もじこ すごい! でも、結果的には使わなかった。

いおり 同じ学科で1回目、2回目というように何回か試験があって。私が合格した1回目は評定は関係なかったのですが、2回目の方は評定が問われましたね。

もじこ いおりちゃんは評定が高いから、どちらでも大丈夫でしたね。

いおり 1回目で落ちたら、2回目も受けようと思っていました。実は1回目の試験が終わった瞬間に「やばいかもしれない」って思って、その日のうちに2回目の試験対策をはじめました。

もじこ 2回目の入試に、評定は必要だった?

いおり 3.5とか3.6だったので、余裕ではありました。
受験方法を調べる時に、評定が必要かどうかは、調べる必要があります。あと、受験方法が何種類かある場合、その中で評定が必要だったり、不必要だったりするかもしれないので、そこも調べる必要があります。

もじこ 必要な場合、AOだと3.5のところが多いです。

さえ 推薦もだいたい3.5からなんですよね。

もじこ ここで解説。推薦には「指定校推薦」と「公募推薦」の2種類があります。親世代は推薦といえば指定校推薦を思い浮かべると思います。指定校推薦だと、かなり高い評定が必要です。一方で、今回のテーマであるAOや公募推薦の場合、要求される評定は低いです。

Q 受けたい大学は、いつ頃決めればいいでしょうか?

もじこ 受けたい学部は、できれば高1の冬には決めてほしいです。受けたい大学はギリギリでOKです。高3に入ってからでも間に合います。学部を決めるほうが大事です。

いおり 決めればいいというよりは、本当にしたいことがあると、自然と決まってくるという感じでした。

さえ 私は完全に、自分が行けるレベルの大学に受かることが目的になっていて、それで頑張れました。でも、いおりちゃんみたいに、「ここの学部がいいから受けたい」というのだったら、早めに決めた方がいいのかな、と。勉強へのモチベーションにもつながるのでいいのかな、と思います。

もじこ ディスレクシア的には、理想は『やりたいことがあること』。それをモチベーションに使うのが、いちばん力が出ます。
でも境遇によっては「普通になる」というのが、すごく強いモチベーションになるケースもあるかもしれないですね。
柳沢くんはいつ、受けたい大学や学部を決めましたか?

柳沢 学部については早くて、高2には決まっていました。

もじこ 教員志望?

柳沢 教員になろうという気持ちは最初からあったんですけど、体育にするか、小学校にするかなどいろいろあって、最終的に小学校に決めたのは高3の夏。

もじこ 私の記憶では、最初は体育教師になりたいって言っていたかと。
手前味噌かもしれないけれど、もじこ塾に来て特性を理解して、自分はバカじゃないんだと分かった時に、体育ではなく教科指導をしてみたいと思ったのでは?

柳沢 そうですね。その頃、小学生と関わることもあって。こっちの方が面白そうだな、と思ったのが決め手です。

Q うちの子は英語だけではなく、漢字も書けません。いま中学生で配慮を受けてタイピングをさせてもらっています。諸事情で通信制や高卒認定を受ける可能性もあり、配慮実績を積み上げるのが難しいと思うのですが、その場合はどうなるのでしょうか。

◆持てる資源は限られているので、それを「できること」に集中投下するのが大事

もじこ いま中学生ですよね。まだ大学入試まで5年あるので、配慮をめぐる状況はさらに変わると思います。5年前と比べて、大学入試はかなり変わったので……。みんなも中2の頃、このような方法で大学に入るとは思ってなかったですよね。

いおり 思ってなかった。「一般受験、ヤバいな」くらいに考えていました。

さえ 私もそうですね。もじこ塾に来たのも、一般受験を頑張りたいからでした。今の形はまったく考えてなかったのですが、AOを知ってそちらでいけるかな、と。

もじこ つまり、できない英語を一般受験向けにどうにかしたいと思って来た?

さえ そうですね。

もじこ さえちゃんレベルの重度のディスレクシアだと、英語で戦うのは無理ですよね。早めにそこを諦めることが大切。撤退する勇気、と言いたいです。

さえ そうですね。ただ、なかなか踏ん切りがつかなくて、ちょっと未練もありました。

もじこ でも、捨てる勇気ですよ。持てる資源は限られているので、それを「できること」に集中投下するのが大事です。
……質問に戻ると、通信制なら配慮の実績は積み上がるんですか?

いおり 私はしませんでしたが、通信制高校ではボランティアを勧めてきましたね。あとは検定。英検や漢検にこだわらなくても、数検だったり、あと私が心理系を目指していたときに見つけたこころ検定とか。やりたい分野によっては検定があるので、それを受けるのもいいのでは。
それと、私のような受験方法だと、事前課題を家や塾で書いたりできるので。受験方法を選べば、配慮はあまり関係ないかもしれません。

もじこ 質問者の方の場合、漢字も書けないということですが……書字が苦手であれば、いおりちゃんの言った通り、事前課題かつ時間勝負でない方法に持ち込めば、戦い方はたくさんありますよね。
実はもじこ塾では、配慮を受けて受験を突破した人は少ないです。配慮を回避しているわけではまったくないのですが……配慮なしでも大丈夫な入試、つまりAO入試を、普通の人と同じ方法で突破する方法を模索することが多いです。

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◆ご案内〜もじこ塾 小論文クラスについて

今回は、どのようにしてAO入試を闘うのかという具体的な話は散発的に少し入っただけでしたが、それに関しては、noteというサイトで去年の一年間かけてかなり詳しく書いています。https://note.com/mojiko_shinjuku/n/n5182319b3bfb
AO入試に興味がある方はそちらをご覧ください。

タイムスケジュールについてはこの回に一番詳しく書いています(100円)。
https://note.com/mojiko_shinjuku/n/n1ad80ece00a3
かなり具体的に「このような手順で戦ってください」ということを書いています。

小論クラス案内

もじこ塾は基本的には英語塾なのですが、ディスレクシアで、最難関大学を目指すのでなければ、大学に行きたい人はぜひAOで戦いましょうということを、今後は強く打ち出していこうと思っています。塾には、今の段階で高2の方が来ているのですが、高1でも来たかったらどうぞと考えています。今年の4月からの新高1の方、来たかったらどうぞ来てください。

月一回、土曜の午後にクラスを行っています。
内容は、純粋書字練習、スピーチ、話す練習、音読する練習、それを要約する練習、そして最後に文章を書きます。私と助手とで文章を読み、添削もその場でたくさんします。また、言葉が出ない人には、言葉を出す手伝いもします。

特性理解と文章力の向上は相互に関連していると、私は思っています。
自分のディスレクシアが理解できると「こういうふうに戦えばいいんだな」と文章力が上がるし、文章力が上がれば特性理解も進むという、螺旋のような関係になります。

実際には、ゆるゆると学んでもらって、高3のゴールデンウィーク明けに、各大学の募集要項が出ますので、その頃から個別指導に入っていきます。
個別指導の内容は各大学によって変わりますが、基本的に、ディスレクシアはやはり読むのが大変なので、志望校選定からお手伝いします。

志望理由書の作成、課題文作成、面接対策と、ここでは一例を出しましたが、それも各大学に合わせて対策をします。

あと、合理的配慮申請のお手伝いもさせていただいています。一緒に病院を探すところから、あるいは、状況報告書に何を書くのかというところまでサポートします。ここもノウハウが蓄積しておりまして、そのあたりのことはnoteに5回にわたり書きました。ご興味のある方はぜひご覧になってください。
第1回 https://note.com/mojiko_shinjuku/n/n6ee5a9b63d09
第2回 https://note.com/mojiko_shinjuku/n/nb9360d359120
第3回 https://note.com/mojiko_shinjuku/n/n224ad192a55f
第4回 https://note.com/mojiko_shinjuku/n/nd2ec55b22b64
第5回 https://note.com/mojiko_shinjuku/n/nc1fb182ffcec


お問い合わせはmojikojuku@gmail.comまでお願いします。
https://www.mojikojuku.com


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