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【詩】相似形

適当な死を選びとろう 真夜中の深刻に歌を唱おう 張り巡らされた口角に預言など要らぬ もう一度春を殺そう 至る所で両手を広げ 一切を肯定せねばならぬ 巴里に堕ちる相好を崩せ 大地を愛し 大海に焦がれよう 先週の戦争は過ぎ去り 来週の大会に備えよう 誰よりも愛を捧げ 誰よりも愛を求めよう 怒りを忘れたことを笑い 笑いながら死を迎えよう 物象に舌を出して待つときは終わる 現象のみを認めよう 唄うように呼吸して 踊るように眠ろう 横にいる人に与えよう 側にいる人に与えよう 起床を人一倍に愛でよう 太陽の嘲笑いに耐え 夜の安心に甘えるのも悪くない あなたは悪くない 憚った恋をしよう もう一度試みよう この現象世界にありがとうを言えるか? 憎しみは目の前にはない 掃除洗濯炊事は素敵 丁寧に死のう 丁寧に生きよう 鳥に言葉を教わり 雲に自分を教えよう 夕焼けに泣いたら終わりにしよう 明日はきっと心に落ちると信じよう そこでは太陽が輝き 眩しくて目を閉じるだろう 苦しみに自信を持とう 憎むべきは無窮の期待だった 恐ろしいほどにぼくとあなたは似ているのだ


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