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大工、飛び込み営業

 元ヤンキーと元ヤクザという愉快な先輩二人の下で働いた産廃営業部時代。主な仕事内容は飛び込み営業でした。売り物は二つ、「ゴミ捨てに来てね」の産廃受け入れの営業と「ゴミ取りに行くよ」の産廃収集運搬の営業。


 この飛び込み営業。二人のクセ強先輩はまるっきり教えてくれなかったのだ。なんかこう手取り足取りじゃないけど、せめて目の前でやって見せてくれるとかあってもよかったと思う。


 教えてくれたことは、こんな会社に飛び込め、あんな作業場に飛び込め、現場は仕事の邪魔になるからあまり行くな、とかそれくらいのざっくり情報のみ。きつくね?


 飛び込んだ後の会話のセオリーとか、マニュアルとかあった方が絶対いいって! と、後輩ができてからも僕は言い続けたのですが「産廃屋の営業にそこまでは要らない」と本部長にスパーンと一蹴。キビシ~!!


 てなわけで、最初は本当にドキドキもんでしたよ。朝、事務所で名詞と粗品のタオルと産廃料金表なんかをそろえて用意して。いざ、自分の担当地域に繰り出すわけです。


 んで、適当なコインパに車を停めたら、そっからは徒歩でその町の片っ端から建設業関連の会社に飛び込んでいく。これね~心臓鍛えられるよ~。


 唯一の救いだったのは、そもそも親父に掛けられた「おまえは大工だ」の魔法が僕は解けていないので、工務店への飛び込みがやりやすかったんです。職人とはめちゃくちゃ話しやすかった。だから僕は工務店や建築関連の業者に飛び込むところから始めたのよね。


 「こんちは~。ゴミ屋の営業で~す。あれ? いま、産廃ってどこに捨てに行ってるんですか?」


 とか言いながら、頑張ってコミュニケーションとっていく感じ。ハッキリ言って簡単じゃないっす。産廃の営業って所謂抜きの営業なので、現在お客が取引している産廃屋より、安くしないと基本的には鞍替えしてくれないんです。超当たり前。


 どんなにサービスがいいとか対応がいいとか言っても先ずは無駄。しかも僕の会社は真面目な産廃屋なので料金が地域でも比較的高めだったのよね。ま~ちびしかったよ。


 だけどね、何回も同じ会社に通ってそこの社長と話し込んで、いよいよ替えてくれたときとかは、ほんと~に嬉しかった。あと、忘れた頃に捨てに来てくれたときも嬉しかった。


 とまあ、僕の産廃営業時代の仕事は飛び込み営業が基本でした。その後、会社に届く問い合わせの応答も担当することになったのですが、これがまたおもしろかった~。いろんな意味でね。


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