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大工と蚊

 僕が大工として仕事をしていて、嫌になっちゃうことの第一位は蚊です。二位はグラスウールで三位は怪我。


 大工は蚊にめちゃくちゃ刺されます。


 四月の半ばくらいから汗ばむ季節に入ると、プイ~ンとまとわりついてくる奴ら。新築なんて現場のどこに居たって刺されます。


 他の業種の方にこの話をすると、大げさに聞こえるかもしれないのですが、日に十か所くらい普通に刺されます。これが現場の工事期間中、毎日続くのでたまったもんじゃない。


 しかも、一般的に蚊の季節って夏の間だと思われているじゃないですか。ノン! 少なくとも、神奈川では4月から11月のアタマくらいまで確認できます。実際に僕が刺されてるので本当よ。


 あ、僕の血液型はO型です。はじめまして。


 「お前は若いから刺されるんだよ」


 「○○の血は美味しいんだ、はっはっは」


 なんてさ、十代二十代の時はよく言われましたよ、ええ。親父を含め、年配の大工や職人はあまり蚊に刺されないらしく、僕ばっかり蚊にやられてピーピー鳴いてたからね。


 ところがだ、四十を過ぎた今でもめちゃくちゃ蚊に刺される体質は変わらないのよ! ちゃんと肌は劣化して、加齢臭も出てるのに・・・神よ。


 ただの蚊に刺されやすいおっさんとなった今、誰も「若くて血が美味しいから」なんて言ってくれなくなったよね。


 神よ! なぜ私にこのような試練をお与えになるのですかっ!


 って、蚊のことを考えてたら、つい叫びたくなりました。


 蚊、ブヨ、ヨブ。


 今年の夏は『ヨブ記』を読んで、身に降りかかる不幸と信仰について考えたいと思います。


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