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チューニング不全

大人数の飲み会が苦手だ。
どこにチューニングしたらいいか分からなくなってしまうから。

私にはある一定の自分像がない。
相手の色に合わせた自分になってしまう。
前世はカメレオンかもしれない。
相手が望んでいるであろう自分になろうとしてしまう。
例えば、おとなしい女の子には大体2タイプいて、柔らかくゆっくりとした口調で喋る人が落ち着くタイプ、姉貴肌の人に引っ張っていってほしいタイプ。目の前にいるこの女の子はどちらのタイプなのだろうか。常に相手に心地いいタイプを探してチューニングをしてしまう。

時々、自分を見失いかける。他人の色に溺れそうになる。
そうやって他人の色に身をまかせることが心地よくもあるけど、溺れて息苦しくもなってしまう。

大人数の飲み会は、元気な赤色、大人しい水色、妖艶な紫、みんなの色が色濃く出る。そしてぐるぐると入れ替わっていく。
目まぐるしく変わる色にチャンネルを合わせるのはとてもとても困難で、私は隅の方でおし黙るか、曖昧な笑みを浮かべてハハハということしかできなくなる。「ああ。まただ。また今日もチューニング不全を起こしてしまった」と思いながら。


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