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一九八四年【新訳版】

ジョージ・オーウェル 著
高橋 和久 訳
早川書房

英国で読んでいないのに読んだふりをしてしまう、という「読んだふり本」第一位がこの「一九八四年」らしい。

現代社会を語るにあたってよく「ジョージ・オーウェルの描く世界になって来た」と恐ろし気に言われて、自身もそうだなあ・・・なんて思っていたがよく考えたら、私もきちんと読んでいなかったような気がしてきて、改めて読んでみた。

この「一九八四年」についてはありとあらゆるところで語られている。だから今更語るまでもない。まさしく現代の日本であり、中国であり、ソ連であり、アメリカでもあり・・・過去の・・・おそらく未来の・・・
キリがないがとにかく全ての国家の、いや権力者のイデオロギーそのものでありぞっとする。私たちの生きる世界そのものがまさに「一九八四年」なのだからまったく気が滅入る。

徹底的な監視社会
簡略化されて、改変されていく言語
権力者に都合よく書き直される統計数字
権力者の都合で作り変えられる歴史
権力者への憎悪をそらすために作られる仮想敵国
消費のための戦争

「一九八四年」で描かれている世界は信じられないほど悲惨な世界だが、なんということはない、全部現代にある。
いや、昔からある。ジョージ・オーウェルの時代からあったのだ。社会の構造は基本的には変わらない。

・・・というわけですっかり落ち込んでしまった。
あまりに落ち込み過ぎて生きているのが嫌になるくらいに・・・

人生を変える本というのが世の中にはいくつかあって、間違いなくこの本もその一つだ。
今の年齢で読んだからおそらく私の人生は、あまり大きく変わらないと思うが、若い人が読んだら人生がかわる。

まあ、今更私が語るまでもないけどね。

・・・というわけで、本当はこの中の監視社会についてとか、簡略化されていく言語とか書き直される統計とか、いろいろ言いたいことはたくさんあって、その中のいくつかを書こうかな・・・と思ったのであるが。
ここで政治批判を繰り広げても仕方がないのでやっぱりやめておくことにした。政治を語るにはあまりにも私の人生は薄っぺらすぎる。

なので、今回はもしまだ読んでいない人がいるのであれば、是非読んだ方がよい、とおススメして終わることにする。
(・・・なんのこっちゃ。これじゃnoteに書く意味がないと言われそうだが・・・これから呑みに行ってきます。「一九八四年」でもたびたび呑むシーンが描かれていますが、それよりは楽しい酒になると思います・・・)





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