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結構しらない傷口の手当てを詳しく説明しました。

とても久し振りに怪我をした。(想像すると怖い、って方には読むのをオススメしません。怖くないよう書いてますけど)

・・・と書いたところで「ん?」と思い出す。確か1年くらい前に自宅キッチンで誤って取り落とした刃物を踏んづけて(いたぁい💦)えっらい血が出て困ったことがあったな。おっちょこちょい選手権があったら確実に予選リーグは勝ち残れそうな私なので、そういや怪我は時々してるのかも。

まぁそれはいいとして。
今回の怪我は、いつもの如く不注意というか避けようもあったんだけど起きてしまったことなんだが、多分傷の大きさからして治るのに2週間以上は必要なのでちょっとガックリしている。
でも、もしかしたらこういう「処置」は知っていると日常に自宅で使えるものかもしれないと思うので書いておくことにした。長いですが。。。。
太字は、皆さんも怪我したらこの手順を踏んで欲しいなぁというところです。

長いので出血している傷の応急処置のキモを先に書きます。

1)傷口を確認(出血でよく見えないならまず圧迫止血。5〜10分くらい抑えておくと殆どの場合止まります)
2)傷口をキレイにする(流水でOK)
3)傷に合ったドッレッシング(被覆)をする
4)テープや包帯などをつかって、ドレッシング材を固定

自分でも青ざめた傷口(ちょっと読むの注意です)

簡単に言えば、重いものが足の上に落ち、左足の薬指の爪が剥がれた。尖った部分がぶつかったので周りの組織と一緒にとれた。

そのハプニング直後、痛みより先に周りの状況(ものが落ちて散乱していた)を把握するのを先にしていた自分をエライと思う(自画自賛)。ふらついて倒れた先に割れて尖ったものがあった、なんてことになったらシャレにならない。怪我慣れの光明ってもんがあるなら、まさにそんな感じ(まだ言うか)。

とりあえずヤバめなものは周りにない、となってから自分の状況と 携帯電話の場所を確認した。足が痛むが他は問題無い。こうやって判断してるから頭も普段くらいは動くらしい。携帯は少し離れた洗面台に置いてあったから大丈夫なはず。携帯が無事なら 貧血おこすとか、何かの拍子に失神するとかあっても、911(日本で言う119番)は電話出来るから大丈夫。
ここで改めて、痛いとおもっている足をみてびっくりした。あまりに急激におこったからか、感じる痛み(最初はじんじんする、程度だった)に反して状況はかなりグロい。すぐ横に剥がれた爪と思わしきブツがあり、一部組織もくっついている。

ヤバイ、これは痛いはずだ(痛くなるはずだ)。ついでにめっちゃ血がでるヤツだ(その時はまだ、傷口もびっくりしてるのか血は滲む程度)。

手近に転がっていたティッシュを数枚取り、怪我した足趾に当てて患部を押さえつけながら(=止血)手当ての方策を考える。だってこの家には私以外誰もいないし誰も来ない(私が娘を迎えに行かない限り)。ちなみに、大抵の傷は5分もしっかり抑えてたら出血は止まるか、落ち着いてきますから。人間の身体ってすごいよね。

周りにものがないリビングの椅子(まだ椅子は2個しかない)に腰掛けて、出血が落ち着いたらなにかを傷口に貼り付けよう。そういえば引っ越したとき家に転がってたFirst Aid Box 救急箱を持ってきてたっけ。洗面台の下にあるはずだ。

ということで、少し出血の勢いが弱まったあたりで、けんけんをしながら洗面台のところで携帯電話と救急箱を拾い、リビングまでの短い距離にあったコンビニのビニール袋(ゴミ袋用)をひっつかみ、なんとかリビングに辿りついた。

ということで、一旦おさらい。

怪我をしたり怪我したひとを見つけたらやること

1.状況の確認・・・本人と怪我の具合
        血が出ていたらとりあえず圧迫止血
        周囲の状況(二次的に怪我しないかどうか)
        他の助けが呼べる状況にあるかどうか
2.手当てできるものがあるかどうかの確認
       ・・・傷口を洗えるもの、流水でもOK
        清潔なガーゼやテープなど、傷口を覆うもの
        あると便利:局所麻酔薬のスプレーや軟膏
              抗生剤の入った傷口用の軟膏

出来たら血や体液の付いた物は触らない方がいいので、あれば手袋つけたほうがいいです。ゴミももちろん、他のものと分けて入れるかそのまま廃棄できるようにしたほうがいいです。

それから、今回はやってませんが皮膚が剥がれて皮膚片がある程度の大きさで残っていたら(くっついていてもいなくても)流水で洗って(皮膚片に消毒薬はいらない)、キレイにしたものを ある程度止血した傷口の上に乗せておくと良いです(必要なら抗生剤入り傷口軟膏を内側につけてから貼り付ける)。組織片は時間が経つと落ちてしまいますが、新しい組織がしたに出来てくるまでの間は止血も、傷の治りも早いです。痛み方も大分和らぎます。

当座の処置(家でやっておいたほうがいいこと)

さて、圧迫止血で勢いはおちたとはいえ、今回の傷口が大きいのでなかなかぴたっと止まらない出血。
そのへんのティッシュ(お世辞にもすごく清潔とは言い難いし、大体傷口に張りつくからだめ)から清潔なガーゼに替えてまた圧迫するのだけれど、そろそろ痛みがやってきた。うがぁぁぁ、いたーい、いたぁい!と一人で呻きながら救急箱をごそごそやると、さすがアメリカの救急箱、キレは良くないやつだが解熱鎮痛剤、つまり痛み止めが入っている。この痛みが多少でも軽減できるならそっちがいい。というわけで痛み止めを飲む。

こいうときに本人が常用している頭痛薬や痛み止めを飲むのはアリです。多少は効きます。(他の人が怪我している場合、今まで使ったことのある痛み止めが分からないときは飲ませない方がいい。身体に合わないってのもあるから)

救急箱にはガーゼと、傷口に張りつかない加工がされたガーゼがある程度の量入っている。それとテープにいろんな大きさの絆創膏。でも今回の傷口は、外科医の私ですら少し止血したときに見て「・・・ひっ」となったくらいだったので、この先数日は結構な量のガーゼと傷口に塗る抗生剤入りの軟膏がいることが予想できた。テープももっと必要だ。

ということで1時間後、応急処置をした足をスリッパにいれたまま、びっこをひきひき近所のドラッグストアへ向かう、車で。
普通にあるいても10分弱の距離なんだけど、歩くと動きで出血がひどくなるから。

店でテープやらガーゼやら軟膏なんかを見つけたらすぐ近くに、局所麻酔薬「リドカイン」の入ったスプレーやリドカイン軟膏・抗生剤入りなんかも見つけ喜ぶ。さすが医療費の高いアメリカ。受診しなくても薬局で手に入るもので ある程度の処置はできるようになってる。これは日本ではないかな・・・もし薬剤師さんにきいて店にあるようなら入手すると良いと思います(リドカインが一般的ですがカルボカインとか他の種類もあります。その辺は気にせず「外用局所麻酔薬」で手に入るならOK、濃度なんかも調整されてますから大丈夫。商品名では「キシロカイン」とか書かれてることが多いです)。痛みが1分かからず殆ど無くなるから。

で、私は何にするか迷ったが、傷口はごしごし洗わなければいけない類ではなさそう(というか出血が多いのでバイ菌はむしろ押し流されてる)だから抗生剤入りリドカイン軟膏にしておいた。洗う間の痛みが取れればOKだから。傷口を洗うための小さい生理食塩水ボトルも買っておく。(濃度さえちゃんと作れるなら水に塩を入れれば良いんですけど、面倒なんで)

帰宅して、局所麻酔薬のはいった軟膏を塗り、痛みが減ったところで沢山の水で洗う。その後一旦 圧迫止血(キレイなガーゼなんかで)して出血が落ち着いたあたりで抗生剤入りの傷口用の軟膏を塗った傷口パッドやガーゼを当てる。

傷の大きさや状態によっては、なかなか血が止まらないこともあります。完全に止血しなくても、ゆっくりじわじわと出るくらいのことは大きな傷ではどっちにしても続くので慌てないように。

血はそれほど出なくても、止血後数日は傷口から 少しの血や 浸出液とよばれる液が出続けます。(昔ひざを擦りむいたときにしばらく出たであろう黄色っぽい透明な液がそれです)
これらは病院に行っても治りません(止められません)から、しばらくは頻回に当てたパッドを変えることを続けて下さい。

それでもあまりに血が出るな、と思ったら最初に戻って、5分から10分、ガーゼ(できたら傷口にくっつかないやつ)を当てた状態で圧迫してください。殆どの場合10分もしっかり圧迫すれば血は止まるか、しみ出す程度まで落ち着きます。

病院に行った方が良い傷口

全ての傷に対して病院に行かないとダメなわけではありません。日本は受診してもそんなにお金もかからないのでいいですが、まぁまだ禍の影響はありそうだから、自分で出来るならその方が良いですよね。

病院に行くかどうかの境目は以下の2点。
1)縫って貰ったら止血もできて傷の治りも早い場合(刃物で切った場合などはこちら。今回私のは組織が取れていたので縫い合わせるのは無理)
2)汚れが酷くて自分では十分に傷口を洗えない場合(病院ではスプレーの麻酔薬などを使って、痛みを抑えた上でゴシゴシとブラシで洗えます)

あとは、今回の私みたいに「一人でいて、助けてくれるひとがいなさそうで、自分ではとても(キズを見ることからして)できそうにない」みたいなときは勿論病院は助けてくれる場所です。

でも逆に言えば、それ以外は自分で出来るということ。くどいですが止血は時間をかけたら大体できます。でも翌日とか翌々日とか、赤味と痛み(大抵拍動する感じにどっくんどっくんと痛む)が急激に拡がるのはバイ菌に感染してるということなので、そこは慌てて受診して下さい。

傷口の毎日の処置

さて、そんなわけで大抵の傷は自宅でなんとかできる、というところまではOKでしょうか。
つぎは傷口を覆っておくこと、ドレッシングといいますが、そのポイントです。

基本的に皮膚で覆われていない傷は痛むし感染しやすいし感染すると治りが遅いです。だから感染を起こさないように(酷くしないように)しながら早く新しい皮膚がつくられるようにするのが大事です。
感染しないためには「洗い流す」がとても大事で、でも大抵の傷は洗うと痛いから「よく洗わない(洗えない)」→感染してウミが出る(白〜黄白色のものが表面に出る)→じくじくしてなかなか治らない、という経過を辿るのは 皆さんご存知じゃないでしょうか。

なので積極的に痛み止めを使っていい、というのが前述した「局所麻酔薬スプレーなどは活用してください」です。常用の鎮痛剤も(多少ですが)効果があると思います。

そして「消毒」ですが、消毒液の種類によってはむき出しの組織を傷める(細胞を壊す=感染しやすくなる)こともあります。経験上一般の人には消毒液よりも物理的に「流水で流す」が最強と感じています。水道水でも良いんです。局所麻酔スプレーなどが手に入るならそれを使って、その後ゴシゴシしながら徹底的に洗い流す(その後止血へ)、麻酔スプレーが手に入らない時は諦める(病院へお願いする)か、出来たら「生理食塩水」で洗う(痛みを感じにくいです)。アメリカなら手で握れば細い口先から勢いをつけて出るような容器にはいった生理食塩水があるし、それが売ってないなら家にある使っていない、洗ってキレイなケチャップ容器みたいなものに移し替えても。空いたペットボトルの底に穴をあけて、そこから水(生理食塩水)を勢いつけて出して洗うなど。

今はいろんなドレッシング材が薬局なんかで手に入ると思います。是非活用してください。今回大きめの傷をつくった私に 役に立ったのは以下。

A)non-stick(貼り付かない)加工のされたパッド
B)抗生剤入り傷口軟膏 
C)手当て用ガーゼ

A)non-stick(貼り付かない)加工のされたパッド

表面に傷口に貼り付かない加工がされています。多くの絆創膏が今そうなっていると思いますが、今回は「しばらく血と血漿液が出るな」という大きさだったので厚みのあるパッドを購入。

くっつかない加工がほどこされたパッド。絆創膏の内側にも見られるものです。

個包装されていて、表面がテカテカつるつるなのがわかるでしょうか。
厚みは1mmほど、ある程度なら水分も吸収もしてくれます。

当然ですが、治っている最中の傷口をこすったり動かしたりしたら、皮膚や細胞が一生懸命治ろうと増えているのにそれらをむしり取るような形になります。だから貼り付かないものを使う。
それから、このパッドの表面にあらかじめ抗生剤入り傷口軟膏をつけておいて貼り付け、固定すると軟膏も使いやすいです。ジワジワ出血していたり血漿液が滲み出す傷口では軟膏はそのままつけても滑ってしまいつきませんから。
あとは周り(衣服や床など)を汚さないようにガーゼや大きめ絆創膏などで覆います。

B)抗生剤入り傷口軟膏

こちらの薬剤師さんが説明されているのが分かり易いのでご紹介しておきますが、日本でも抗生剤入り傷口軟膏は薬局で買えるようです。

基本は「化膿しているかどうかを見てから」なんですが、すいません、多分みんなそんなにヒマじゃない。なので外科医的には感染を起こさない対策を最初にして(洗って洗って、抗生剤入り軟膏をつかって)傷口が落ち着いてきたら特別なドレッシング剤(上記のページで紹介されている、湿潤療法が行えるもの)に切り替えるのをオススメします。

C)手当て用ガーゼ

アメリカの薬局で簡単に手に入る手当て用ガーゼ・滅菌済み。

とにかく傷が大きければ大きいほど、しばらく薄赤〜黄色の透明な浸出液が出ます。この透明な浸出液は傷の治りを促すものが沢山入っていて、悪者ではありません(服は汚れますが・・・)
白〜黄白色のウミが出ない限り、浸出液は身体が治ろうとしているサインです。

とはいえ、これであちこちを汚しては・・・ね。ということで手当て用ガーゼが役立ちます。滅菌されているから感染を予防できます。私は受傷後24時間はかなり頻回に交換していました(それでもスリッパ二足を汚してしまった。100均のスリッパにお世話になりました)。その後浸出液が減ってきたら(出てくる液が透明だというのが大事!)先ほどのサイトで紹介されていた湿潤療法用のドレッシング材が役立ちますが、それまではひたすらにこの手当て用ガーゼ。
そして傷周りに使う紙テープや包帯・ネットなどで固定してください。当初私はそのテープが足りなくて、DIYで使うテープ(壁材などを傷めず剥がせるテープ)を使ってましたが 爆笑 必要な所にくっついて、かつ皮膚を痛めなければOKなんです。

傷口が治るのを手助けするドレッシング材

さて、傷は「健常な組織や皮膚の細胞が増え・盛り上がるようにして傷口をカバーして治っていく」のですが、難しい事はおいといて大事なのは「浸出液」を活用することです。くどいですが良い浸出液というのはウミの出てない状態、透明で薄赤〜黄色な浸出液のことです。

浸出液のなかには傷口が治るのに必要な材料、その材料をさらに全身から呼び込む役割をするもの(サイトカイン)、およびバイ菌に目を光らせる免疫系細胞などが入っています。壊れた組織を治しながら感染にも目を光らせているわけです。これを傷口の表面に保つことで治りを早くする、というのが市販のドレッシング材が目指す「湿潤療法」。

一昔前は傷口は「乾かせ」と言っていたと思いますが、実際は感染をコントロールした上で乾かさない方が治りは早いのです。
傷口を乾かさない(究極的には生理食塩水で濡らしている状態でも)方法を湿潤療法と呼びます。20年前にはまだ医療界のひとでもこの考えをしらないひとが結構いたのですが、さすがに最近は違うのではないかな? ただし絶対条件は感染をコントロールした(感染の起きていない)状態、ということ。

さて、私のひっどい(笑)傷ですが、3日目あたりから浸出液の量が減ってきました。まだ染み出てはいますが、パッドは1日1回変えるくらいで外にしみ出してくることもないです。

このくらいになったら先ほどのウェブサイトで紹介されていた「リペアパッド®」「キズパワーパッド®」などを使い始めることができます。(最初に紹介されていた透明フィルムは切り傷にいいですが、今回の私の様に欠損が大きいなどの場合はオススメできません)

いずれも多少の浸出液は内側で保ってくれます。浸出液の量が多くなければ、そのまま数日〜一週間など、つけっぱなしでOK。キズの治りもかなり早くなります。
これらのドレッシング材は値段は高めですが、治りがとても早いのでそれを考えたら高すぎることはないと思います。

余談ですが「取れたり剥がれた皮膚片は洗って貼り付けておくと良い」と書きましたが、この湿潤療法を自分の組織で早めに行う、ということです。最初はキズをカバーして傷みを感じにくくさせますし、ついでに自分の組織なのでその後の傷口の反応もマイルドです。かさぶたと一緒でそのうち勝手に落ちますし。くどいですが十分に洗ったものでやって下さいね。標準治療ではありません、当然ですが。

まとめ:応急処置は

・・・という7000字近い情報をまとめると、やっぱりこうなります。

1)傷口を確認(出血でよく見えないならまず圧迫止血。5〜10分くらい抑えておくと殆どの場合止まります)
2)傷口をキレイにする(流水でOK)
3)傷に合ったドッレッシング(被覆)をする
4)テープや包帯などをつかって、ドレッシング材を固定

もちろんキズってどういう状態・場所で出来たかとか、どれくらい洗い流せたかとか、皮膚がどれくらい剥がれてしまっているか、で手当ては少しずつ変わります。病院ではその状態をみてドレッシング材を変えたり、薬を変えたりしますが、自宅でできることを前提に考えて今回は書きました。

皮膚って、人間の組織を感染だけじゃなくいろんな刺激から守ってくれるスーパーマンみたいなものです。だからスーパーマンが怪我したときは、自分に出来るお手伝いをしておくと、痛みとか不自由さから早めに逃れられると思います。
お役にたつといいなと願いながら。(そんな場面、ないほうが良いんですけどね。)


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