見出し画像

知れなかった・知らなかった世界

個人的な好みかもしれないが、胸躍る記事を読んだ。

私の子供達は二人とも大学生になるので、「進路」についての悩みの話をリアルタイムで聞いたのはもう3ー4年前のこと。
結局娘も息子も、比較的将来がわかりやい学部に進んだ。でもそれは、親の私が世の中の面白い仕事をしている人を十分知らなくて教えてあげることができなかったからかもしれない。示してあげることができなかったからかもしれない。
実際「仕事の現場」「可能性」を知るのは簡単ではない。

私の時代、まぁ昭和最後の頃なんだけど、中学のときは点数がとれる範囲にある「狙える学校」を受験するのがフツウだったし、狙える学校の中から家からの距離やなんとなくの憧れ、世間体なんかを加味して選んでいた。学校の校風や力をいれている分野などを考えることも(多分)なかった(私は少しだけ姉達の生活からその高校の雰囲気を垣間見て、行きたい、とは思ったが)。やる気のなかった中学生だった私は、なんとなく「お姉さん達も行ったし、君もここに行きたいのか、まぁ本番で出来る問題落とさないようにね」みたいな三者面談で終わった。やりたいことも、その先にあるかもしれないやれることも何も知らず、高校は「校名」が違うだけで振り分けられていくもの、くらいにしか思っていなかった。

結婚し渡米して医者を止め、SNSやインターネットが普及したことでいろんな人に出会うチャンスに恵まれた。みんないろんな仕事をしていた、大きな会社から個人でやっている仕事まで。「環境系建築技術者」なる仕事をしていたという人(noter友でもあります)もいて、彼女の仕事の話を聞いてたら「えーーーそんな面白そうな仕事!知ってたら目指してた!!!」と本気で思った(隣の芝生は青いのかもしれないが)。
それから息子が中学から高校までやっていたロボチクス(と表記した方が正しいらしい、ネイティブ発音な息子に言わせると)がまた私にエンジニアリングの世界への興味をかき立てさせた。ラッキーなことに息子は2回世界大会へ出場している(3回目はコロナ禍で潰れた)。世界大会のあの盛り上がりはもちろん、子供と一緒になって問題解決を探ったり手を動かしながら調整するやり方を教えて行く大人達に圧倒された。ああ、こうやって「モノ作り」の醍醐味は、その面白さの真髄は、ちゃんと継承されるんだ。また私の知らない世界の、熱い大人達の生き方に胸が震えた。

学校教育が悪いだの、偏差値偏重性が悪いだの、まぁいろんな意見はあろう。だけど私は義務教育で学んだコトで無駄だったことはひとつもないと思ってる。それは私が真面目に勉強したということではなく(高校時代は気合い入れて勉強しなかったくらいだから)結局はそれらがどこで世界と繋がるかを教えてくれた先生たちに出会えたからだとも思っている。そして世界の面白さを知るには義務教育やその後の一般教育では全く足りない。世界は知らないことをどのくらいの熱意で紐解けるか、そんなものだ。

でも誰も、世の中を動かすのはこんなに沢山の、面白い仕事があるからだ、それを活用出来るひとや下支えする組織があるからだ、みたいな視点では教えてくれない。「社会に入って、見て学べ」だった。でも実際はそれでは遅いこともある。いや、学ぶのを始めるのに遅いなんてないけど、あのスポンジみたいにいろんなモノを吸収出来る時期、そして背中にはチャレンジへのエネルギー袋を背負っているような年齢にこそ知りたい!というものだってある。

この記事にある「高専」は、中学生だった私も名前は聞いていた。進路を決めるとき、実際その学校を目指した友達がいて「ふうーん、あいつ頭いいのに」なんて失礼なことを思っていた(彼は大手航空会社の整備士になった)。いや、そのくらい「知らなかった」のだ。誰も教えてくれなかった。高専ならまだしも、工業高校と聞いたら先生達もちょっと眉をしかめるような・・・
でも本当に本当のところを知らなかったんだ。偏差値偏重世代あるある。HITACHIのお膝元の工業高校に大人になって訪問したことがあるんだが、もう学校の隅から隅まで面白すぎて「どうして中学の時これを知らなかったんだ!!!」って本気で思っていた、というより実際大騒ぎしていた。我が子達にもそういう世界がある、と熱く語った覚えがある。

もし中学の時私が「工業高校」で本当に学べることを知っていたら。あのやる気のない中学生の私が「面白そう!」となっていたら。
そうしたら確かに高専は選択肢に上がっただろう。

私には2つのものがなかった。まずはエンジニアリングの世界、つまり手から生み出し問題を解決しながら1つのものを完成させるという世界が持つ面白さと可能性を知る事ができなかったこと。もうひとつは 当時の工業高校という言葉に対する間違ったイメージで、高専の可能性を知らなかったことだ。

もちろんそういうのもご縁だ。分かっている。
でも今でもいろんな職業に単純に憧れる。どんな仕事なんだろう。どうやって動いて行く組織なんだろう。私の知らない社会を、より細部までくっきり見せてくれるのが「仕事のはなし、可能性」だ。

それにしても本当、私の昭和の頭は古くて固い。
少しずつアップデートして ワカモノの活躍を応援していきたいなぁ。

サポート戴けるのはすっごくうれしいです。自分の「書くこと」を磨く励みにします。また、私からも他の素敵な作品へのサポートとして還元させてまいります。