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電気自動車EVの話をしよう

7/7追記。本当に伝えたい事を遠慮して書いてなかったのが気になり直しました。有料部分ですが。

日本の多くの人はもしかしたら全く興味のない、もしくは「海の向こうだけの話」と思っている事かも知れないけれど、今日は電気自動車EVの話をします。

私の日本の家族だけかもしれませんが、みんなEVなんて、というし、あるいは高すぎるとか充電するところがないから、と全く興味を持っていません。多分ほとんどの日本の人はそうなんだろうと思うんですね。

トヨタがああ言ってるんで(最近かなり充電速度のはやいEVを2026年までに出す、と方向を少し変えましたけど)世界から日本はEVに消極的と思われていると思います。もちろん自動車メーカー各社でEVを出し始めていますけれどイマイチ話題にならない。何故か。

初期からのEV使用者の一人として、私個人の意見だということは前置きしますが、EV市場ではユーザーが絶対外せないと思っているポイントがあって、それを日本車はまだクリアしてないんです。(値段はここでは横に置きます、車そのもの以外の問題という側面が大きいため。)

EVユーザーから見た「EV選びで外せないポイント」

まず乗り物として日常使いを考えた時の外せないポイントがあります。

1)航続距離、1回のフル充電で十分に走ること
2)充電時間
3)充電方法

当たり前の様だけれど、EVを知らないと何のことやら、ですよね。

1)航続距離ですが、アメリカ環境保護庁(EPA)はアメリカ国内で販売される電気自動車の航続距離(レンジrange)を算定していて、2023年第一四半期の時点で多くのユーザーが日常の色々な場面に使えると感じているのは300マイル(500km)前後のレンジがあるものです。

1-2年前まで多くのEVが150マイル(240km)前後のレンジでした。街乗りなら確かに問題無いのですが、ちょっと遠出・・・というのが出来ない。
しかしこの記事にもありますが現在レンジが300マイルを超えるのはまだ20種もありません。

2)充電速度は各社で「充電レベルが10%から80%になるまで○分!」のように宣伝していますが、ここでユーザーは慎重にならないといけません。宣伝にあるものは各社の開発で使った「高圧充電器」だったりします。でも一般にある(だれもが日常に使う)充電ステーション全てがその高圧を出せるわけではないのです。(これは次の3)で触れます)

3)充電方法
EV充電には①AC(交流電流)と②DC(直流)の2つの充電方法があります。EVのバッテリーは基本はDC(直流)で充電され、そのために車にはAC→DCの変換機(コンバーター)がついています。

①AC(交流)は一般の家庭などのコンセントからの電流と同じ、なので基本的に家庭などで安く充電できるものです。この場合、車の変換機が重要で、電圧(V)・電流(A)の数値とともにこの変換機の性能でどんなスピードで充電出来るかが決まります。
一方長距離ドライブなどをするときは②DC(直流)充電機が利用されます。この場合車の変換機は使わないので安定して高速で充電出来ます。しかし「充電機」のほうに大容量のAC→DCの変換機能が必要で、変換機自体に使われる技術はもちろん機械自体も高くなり、当然電力の値段も上がります。

ただ現実的に長距離ドライブのときDC急速充電機の数が少ない、あるいは安定して高速充電できないとなればとても問題です。ガソリン車でのこととして考えてもらえたらわかるのですが、長距離運転するときガソリンスタンドがない、あるいはガソリンスタンドがあっても満タンにするまで1時間も2時間もかかる、という状況だからです。

私の個人的な知り合いでテスラ以外のEVに乗っている日本のご家族は1家族しかいないので現状の正確なところは分からないのですが、少なくとも彼らは「充電場所がなくて」「充電時間がかかりすぎて」長距離移動が本当にストレスだと言っていました。いやぁ、それじゃぁ・・・EVでの生活はやってられないですよねぇ。


バッテリーの大きさと充電速度

当たり前ですが電池が2本のオモチャの車と4本、8本のオモチャの車とでは、電池が多いほど力がつよく、おそらく電池も長く持ちますよね。
車もほぼ同じです。搭載のバッテリー(電池)の大きさが航行距離(レンジ)を左右します。でもバッテリーが大きくなれば当然値段も上がりますし、車メーカーはジレンマを抱える部分かも知れません。(ただし、中国とインドのEVの会社は300マイル(500km)レンジで300万円ほどの車を量産し始めています。)

ただ大きなバッテリーはやはり充電を早くしようとすれば電圧・電流ともに大きくならないと上手く充電されないので、前出の「DC高速充電機(DFC)」の性能がまず、問題となります。
さらに「車のバッテリー側の性能」が問題です。充電時バッテリーは熱くなるので、それをどのように抑えるかが技術です。

充電と熱の問題は、車側の技術開発も難しい部分で、大きなバッテリーを乗せているのに充電時間がかかりすぎるという問題を抱える車メーカーは今も多いです。ゼネラルモーターズGMのボルトの出火問題はまだ記憶に新しいところです。今もEVベンチャーの倒産理由がこの温度管理ができなかったから、ということはアメリカで起きています。

もちろん、充電機メーカー、充電ネットワークの会社もともに苦労しています。充電速度を上げるには電圧・電流を高くしなくてはいけない。しかし変換機・変圧機の性能がついていかない。(これには端末の問題もあるようですが、それは次の項で)熱のコントロールが難しい。
車メーカーも充電器メーカーも新しい技術開発に躍起になっている分野です。

充電の端末戦争が起きている

北米ではエレクトリファイ・アメリカ(EA)という高速充電ネットワークがかなりの充電ポイント・充電機数を揃えていますが、実際は多くの充電ポイントでいくつもの充電機が壊れていたり、機械は新しいのに何かの問題で使えなかったりということがかなり問題となっています。数があっても半分以上が使えない、のでは役にたちません。
北米の多くの高速充電ネットワークの会社は 車への接続端末がCCS1(ヨーロッパはCCS2)もしくはJ-1772となっています。一部に日本で開発されたCHAdeMOもありますが現時点でCHAdeMOの24kWでは多くの大容量電池を積んだ車を素早く充電出来ません(2023年6月現在〜200kWでの充電が高速充電のレベルです)。いずれにしてもCCS1・J-1772プラグ(端末)を使う高速充電機は EAの問題のように機械が安定して動かず結局役に立たないという問題を抱えています。充電機そのものが熱を持ってしまい止まる、充電接続部分が熱を持ってしまい充電レベルに制限がかかる、ひどいと充電機そのものが壊れてしまうという悪循環。

私は詳しいエンジニアリングの違いを知りませんが、ヨーロッパのCCS2端末は多くの大容量バッテリーを積んだ車の高速充電に問題がないそうなので、CCS1とそれを扱う充電機とのなにかの問題なのでしょう。なんにせよ、北米のEV市場でCCS1・J-1772は北米認可の端末ですが事実上これが充電時間がかかりすぎて使いにくい、機械が壊れていて使えない、という認識がユーザーのなかにできました。

一方でテスラ車開発のNACSという端末を使ったスーパーチャージャーのネットワークは世界中に拡がり、設置されたスーパーチャージャーはほぼ9割以上がきちんと稼働し、かつ高速充電が「いつも」できるという事実が、その他の充電端末を使うEVを持っているオーナー達の間から「なんとかならないのか」という大きな声を生みました。

このため、2023年5月25日フォード社がテスラ社の高速充電ネットワークを利用出来るようにする(NACSという車への接続端末を使う)と発表、1週間後にゼネラルモーターズGMが、さらに1週間後に大手EVベンチャーの1つリビアンRivianもNACSを使えるようにすると発表しました。充電の接続端子といえばUSBポートにA端末、C端末、ライトニング端末などいくつもの端末がでてきていることを皆さんご存知でしょうけれど、車の充電ポートにも同じ様なことが起きているわけです。

そうそう、中国は独自の充電ポートと端末でEV市場が大きくなっていますが、中国でもテスラ車はNACSを使っています。


ちなみに・・・現在一番性能のよい電池を作っているといわれるのはパナソニックです。はい、日本の。生産量では中国CATL、韓国LGといった企業がありますが、その性能を評価しパナソニックと組んで大躍進したのはテスラ社です。テスラはパナソニックの高性能電池を効率的に利用する充電方法も独自に開発(熱のコントロールにも成功しました)、これが現時点(2023年6月まで)で恐らく世界で一番信頼される充電ネットワークとNACSをつくるもととなっています。


日本独自で行ってもいいかもしれないが

EVナード(オタク)といわれる人たちが口を揃えて「あんなに良い車をつくる日本の車メーカーはどうしているんだ」といいます。やはりアメリカにいてEVを5年ほど使っていると、日本のメーカーのスタートが大きく遅れているようにしか見えません。とても人気のあったNISSANリーフは、最初のバージョンから大きく変わった次のバージョンまで10年ちかく「ほぼそのまま」だったところも、EVナードの人たちが理解できないというところです。

日本はEV化はない、と思っていたのでしょうか。今でもそう思っているのでしょうか。中には「電池の寿命が短いからEVにはのらない」なんて、いつの時代の話だ、なことを話す人もいます。EV大手となったテスラは 最初のモデルSという量産車を10年前に出していますが、電池を替えなければ使えないほどの車はごく一部で、多くはいまだにちゃんと走っているそうですよ。8年間のバッテリー保証(バッテリー能力が2割以上減ったら交換してくれる)がついていて、それを使わなければいけなかったのはごくごく一部だったという話です。

私はこれまで、ソーラーパネルやバッテリーはゴミにできない、という、どこからの情報か分からないことを力説する人達にも会ってきました。日本は分からないですがアメリカでは当然リサイクルがばんばん進んでいますし、中古バッテリーは足りないくらい(そんなに痛まないから当然ですが)です。

そういうことを考えると、日本がガラパゴスなのかその分野にお金を投じたくない誰かがいるのか、と考えてしまいます。もちろん日本独自のやり方で日本が進むのは、それはそれでいいとおもうんですよ。島国ですし。
でも根拠のない噂でEVなんて・・・というのはどうかなぁ、と思います。

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