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正しいとは?知的しなやかさとは何か?〜「新型コロナとワクチン わたしたちは正しかったのか」〜

全力で推したい本でした。科学に興味があってもなくても、いや、興味が無い人にこそ是非ぜひ読んで欲しい本です。

峰宗太郎先生、新型コロナウイルスが話題になった頃からわかりやすい説明で有名ですが、どんなヒトかと言えば

病理専門医、薬剤師、医学博士。 京都大学薬学部・名古屋大学医学部・東京大学大学院医学系研究科卒業。 国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所等を経て、アメリカ合衆国の国立研究機関で博士研究員を務める。 専門は病理学・ウイルス学・免疫学。

Fujitsu デジタルスタイルより

スゴいですね 笑 いや、こういうのは権威好きなひとにお目にかけるものとして、
本当に峰先生のすごいところは「専門的で難しいところを 誰にでもわかる言葉にして伝えてくれる」だけではなく、「どうして陰謀論やデマになり得るか」の根っこのことや「どうして世の中にトンデモ専門家が生まれるか」というところまで、本当にわかりやすく説明して下さるところだと思います。

この本は8章にわたって 科学のそもそもの考え方、クスリとワクチンのこと、ウイルスが常に変異するものだということ、感染対策から これからも続くであろうインフォデミックにどう対処していくべきか、の心構えを伝えてくれています。

この本で展開される「言葉の定義」はとてもとても大切なところだと思います。そこでの認識の齟齬が結果的に「何を言っているかわからない」「あっちではこう言ったのにこっちではこう言う、結局嘘じゃないのか」のような誤認を生むのが 読み進めるうちに自然と明らかになります。

特に今回の禍では急ぎの情報収集と研究が求められたために 根拠とされるべき沢山の論文に問題が出たことも、もしかしたらニュースの一角で見たことがある方もいるかもしれません。あるいはpublish(正式にピアレビューなどを超えて専門家・専門誌の編集の人たちに認められて公開されること)「されていない」論文を引っ張ったニュースが世の中に出回ってしまって・・・ということもあったようです。

編集者の山中浩之さんと峰先生の対談記録の形で進むこの本は、「分かった気になる」ことの危険を優しく諭してくれるようです。人間の疑う心、個々人のもつバイアスや「価値観」への理解を示してくれながらも、「本当の科学者は常に疑う心をもつ」という、当たり前で大切なコトをしっかりと伝えてくれます。

2022年3月、アメリカではオミクロン株の大流行が落ち着きつつあり、再び屋外なら(ときには「屋内でも」)マスクなしでもいい、という州が増えましたが、この本の中で指摘されるように「あの国はこうで日本はこうだ」と単純に比較できるものではないというのも大事なことと思います。実際、アメリカでもその急なマスクなしという変化に懐疑的で かわらずマスク着用を続ける人たちも沢山います。

そしてもうひとつ、皆さんに噛みしめながら読んで欲しいなと思ったのですが、この感染対策のこれまでの結果について、です。日本でも文句を言いたい気持ちはみんながもっているでしょうが、この本に書かれているように日本のコロナ感染死亡者が少ないのは日々ちいさな心がけを続けている人々のお陰でしょう。ほんと、日本のひとはもっと自分達の成してきた2年間の努力を、褒めて褒めて「すごいじゃん、私たち」と思ってほしいです。


コロナ禍の2年に続いて進攻のニュースとか、気が滅入る情報ばかりですが、せっかくなので「喉元過ぎる」前に おちついてこういう本を読んでみるのもいいのではないかな、と思うのです。
この本は 病気に対しての事だけでは無く、きっと世界からの増え続ける情報を「どうやって受け止め考えるか」にも繋がっていくだろう、と思うから。「正しい」を探した結果が今の進攻にも繋がっているのでは、という視点もきっと生まれてくると思うから。


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