最近の記事

死にたい気持ちを抱えて生きる

キッチンで包丁を洗っているとき、ハサミやカッターを使っているとき、横断歩道で号待ちをしているとき、駅のホームで電車が来るのを待っているとき、段差が急な階段を降りているとき、高台に登って遠くの街を見下ろしているとき。そういった瞬間に、私は決まって死を連想する。ひとつ行動を起こせば、一歩分の勇気があれば、私は簡単に死んでしまうのだと、安心と不安が入り混じった感情が胸の奥で渦を巻く。その意思さえあればいつでも死ねるんだという安心感と、意思など無くとも簡単に死んでしまう可能性があるん

    • ちゃんと幸せだったよ、わたし

      先日何年振りかに、小六の頃に半年間両想いだった男の子が夢に出てきた。夢に出てくるまでは最早その存在すら頭に無かったのに、一晩夢に見ただけで、当時の思い出や感情が鮮明に蘇って驚いた。その夢の内容だって曖昧でほとんど覚えていないし、何なら夢に出てきたとは言ってもその中でフォーカスされていたのは他の男の子だったのに、目覚めたときは彼のことで頭がいっぱいになっていた。 彼とはクラス替えで出会って、三か月後にはもう両想いの関係になっていた。お互いにシャイな性格だったから、その事実は友

      • 幸せとは星が降る夜と眩しい朝が繰り返すようなものじゃなく

        彼氏のことは好きだけど彼氏より私のことを幸せにしてくれる人はいると思う、と言った呟きを見て、だからお前はダメなんだよと内心思った。それに対してめっちゃわかると共感を示す人たちもいて、そう思ってる限りお前らが幸せになれることはないよと強めの感情を抱いたりもした。 幸せになりたいと思っているのは自分の方なのに、どうして他者に幸せにしてもらうことを前提にしているのだろうか。自分の人生なのに主導権を他人に握らせてどうするんだ。自分の人生は自分で幸せにしてこそ人生で生きることなのに、

        • 享年二十歳、生没同日

          去年の自殺者数が二年ぶりに減少したというニュース記事を見て、だからなんだという感想しか生まれなかった。自殺者数以前に人口そのものが減っているのだから、比率で見れば変わらないどころか寧ろ増えているのではないかと思う。そもそも、毎年そうやって数えてデータ化することに意味はあるのだろうか。今年はこれだけの人が自殺しましたと公表して、何を思えと言うのだろうか。悲しむことが正解だと言うなら、やはり「自殺=悪い(駄目)」という風潮があることが明らかになるし、それに対してやっぱり私は理解し

        死にたい気持ちを抱えて生きる

          「俺の付き合いたいって言うのは、触ってもいいかっていう確認だよ。」

          十七歳になるまで、付き合うことの意味を理解できないでいた。恋愛に対して批判的意見を持っていたわけではないけれど、「お互いに好き同士だったら付き合う」というごく自然で当たり前とされていることが疑問だった。どうして両想いなら付き合うのか、わざわざ名前のある関係性になる必要はあるのか、と考えては見つからない答えに頭を抱えていた。 サイトで「付き合う 意味」と検索したことのある人間がこの世にどれくらい居るだろうか。恋は理屈じゃないなんて言葉があるくらいだ、恋愛をそれほどまでに難しく

          「俺の付き合いたいって言うのは、触ってもいいかっていう確認だよ。」

          親友であり好きな人だったあの子の話

          中学生のとき、私には好きな女の子がいた。花に例えるなら向日葵以外の選択肢は思い浮かばないくらいに、明るくて前向きで真っ直ぐで、夏の季節が似合う、私とは正反対の素敵な子だった。在学中は大きなすれ違いもあったけど、私は彼女と親友という形で仲良くさせてもらっていた。 彼女への気持ちが友愛から恋愛に変わったのはいつ頃だったのか、そのキッカケさえもわからないけれど、出会って初めて迎える夏に違和感を感じていたことだけは覚えていて、もしかしたらその頃から彼女のことを好きな人として見ていた

          親友であり好きな人だったあの子の話