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今週の日記|食べるように観た。聴いた。読んだ。そしてかんがえた。

2月11日 国旗

夕方ちかくまで、きょうが祝日と気づかずに過ごす。ぼくが子どもだった頃は、まだ東京でも祝日になると軒先に国旗を掲げる家があったものだが、最近ではめっきり見かけない。

いまは取り壊されてしまったが、代官山の同潤会アパートにかつての職場の先輩が住んでいた。その同潤会アパートのベランダには錆びついた螺旋状の金具が取り付けられており、なにかと思ったら国旗を掲げるための金具とのことだった。いまは国旗を掲げる家庭のほうが少数派だろう。

ぼく自身、これまでの人生で国旗を掲げたこともなければ、振ったことすらない。外国にでも暮らしていれば気が変わったりもするかもしれないが、いまの日本にいる限り国旗を掲げようという気持ちにはなかなかなれない。そこまで無邪気でもない。

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ここのところ花粉も飛び始め、そろそろ布団を干すこともむずかしくなりそうなので、いまのうちにとたっぷり外干し。

ただでさえ花粉症はつらいのに、ニュース番組の中でことし花粉症のひとが気をつけるべき点として、目をこすることで感染リスクが高まるので痒くてもこすらないようにと云っていた。無理。

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伊藤亜紗『手の倫理』読了。「さわる」から「ふれる」へ。「手」を介した他者との「共鳴」のうちに、「倫理とはなにか?」という問いへの答えを見出そうとする示唆に富んだ論考。ときに道徳を強制することはしても、いっこうに倫理については考えてこなかったこの国にとって、それはいまいちど立ち返って熟考すべき課題を多く孕んでいる。

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夜、寝る前にプライムビデオで侯孝賢の『恋恋風塵』を視聴。いっとき、おなじ台湾のエドワード・ヤンらとともに、この「ホウシャオシェン」という名前をよく目にした時期があったのだが、じっさいに観るのははじめて。さわやかな青春ストーリーかと思いきや、せつなすぎた。ぴえん(←使い方合ってる?笑)

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24時にフィロソフィーのダンスの新曲「カップラーメン・プログラム」(?!)のMVが公開されたので、さっそく視聴。ふぃろそふぃーのだんすかっぷらあめんぷろぐらむ。知らないひとにはドラクエの復活の呪文にしかみえなそう。

メジャーデビューとなった前作同様、ガールクラッシュを意識した歌詞とヴィジュアル。アイドルとはいえ、もともと女性ファンも多いグループゆえこの路線もありだと思う。なにより、それぞれ屈折した感情を抱きながらスタートし、活動を通じて少しずつ自己肯定感を高めてきた4人がいまこれを歌うことにこそ意味がある。

K-POPに寄せてきたことも流行っているからではなく、メンバー(特にあんぬさん)が以前からK-POP好きだったこともあり制作陣の入れ替えにともなって自然とこういう音作りに変わったのだと思う。実際、MAMAMOOの名前なんかも2、3年前に彼女らのツイートで知ったのが最初だった。それだけ本人たちの意見が活動に反映されているということでは。

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2月12日 クーサモ

朝、いつものようにフィンランドのインターネットラジオをつける。イスケルマと呼ばれる、日本の昭和ムード歌謡そっくりな哀愁を帯びたメロディーが朝の室内をねっとりと包み込んでゆく。ぜんぜん爽やかじゃない。

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