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今週の日記|おもてなし?

4月28日 客人か身内か

スウェーデン人と結婚し、ノルウェーで暮らした経験をもつ桒原さやかさんの『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)という本のなかに、北欧で友人の家を訪問した折に驚かされたことが書かれている。

それは、きまって最初に家の中をぜんぶ、トイレから納戸、お風呂場まで見せてくれること。なにを隠そう、ぼくもフィンランドでお邪魔したある家で、おなじように子供部屋から、お風呂場、地下室まですべて見せてもらった経験がある。べつに頼んだわけじゃないのに。

これは、たしかに日本人としてはとても不思議に感じられる。まず日本ではあまりないことだし、すくなくとも来客があっても自分はそんなふうにしたことはない。たとえ興味があったとしても、見せてくれと言うのは失礼な感じがするし、見せてくれと言われてもそれはそれで困る。お客さんを通さない部屋には、とりあえず見せたくないものすべて放り込んであるのだ。

ある日、夫が来客に対しておなじようにするのを目にした著者が「いろんな場所見せないでよ!」と指摘すると、夫はキョトンとした顔でこう答えたという。

「家の中のどこになにがあるかわかると、トイレだって迷わないし、家にいるみたいで居心地がいいでしょ? 家のアイデアになるかもしれないしね!」

それを聞いた著者は、どうやらスウェーデン人の夫とは「おもてなし」に対する考え方がちょっと違うらしいことに気づく。

う〜ん、たしかに、この「違い」は大きそうだ。ひとことで言うと、日本人にとっての「おもてなし」とは、「客人」として粗相のないよう迎えることであるのに対し、北欧におけるそれは「身内」のようにくつろいでもらえるよう接することであるのかもしれない。

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