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今週の日記|おいしそうにコーヒーを飲むひとを演じるには

4月5日 珈琲いかがでしょう

中村倫也主演のドラマ『珈琲いかがでしょう』第1話を観る。コーヒー屋が舞台となれば、とりあえずチェックしないわけにはいかない。

予備知識ゼロだったのだが、これ、監督・脚本が『かもめ食堂』の荻上直子監督なんですね。ほかにも、脇を固めるスタッフが錚々たる面々で期待が持てそう。

第1回では、夏帆と貫地谷しほりという個人的に好きな女優さんが出ていてうれしい。吉岡里帆同様、「ヤバい女」役で演技とは思えない巧さを発揮する足立梨花も出ている。キャスティングいい。

移動カフェの店主を演じる中村倫也は、都会の片隅で生きづらさを抱える女性の前に不意にあらわれ、一杯のコーヒーによってその心をすこしだけ軽くしてゆくという役どころ。ただ、そのポーカーフェイスの裏側にはなにか悪い人間に追われるような事情を隠している様子でもある。

ということで、これからの展開が楽しみではあるのだが、職業柄(カフェを17年あまりやってました)気になってしまうのはコーヒーを口にしたときの演技。これだけの実力派の女優さんでもやはりむずかしいのだなァ。

冴えない表情でコーヒーカップに口をつけ、ひと口すする。「おいしい」と言うその表情には、さっきまでとはうって変わり花が咲いている。そんな、ごくごくシンプルな演技ではあるのだけれど、目の前でコーヒーを飲む人たちの姿をたくさん見てきた立場からするとちょっとだけ違うのだ。

なにが違うのかというと、コーヒーを口にしてから「おいしい」とつぶやくまでの間合いが短すぎる。コーヒーを飲むひとは、口にした瞬間は舌はまず「熱さ」や「苦さ」を先に感じるのがふつうである。むしろ、おいしいと感じるのはコーヒーを飲み込んでから一拍あって、香りが鼻に抜けるそのときだったりする。

つまり、コーヒーのおいしさの大部分は「香り」なので、その「香り」をもっとも感じた瞬間にひとは「おいしい」とつぶやくものなのだ。間合いが短いと、舌で味わっている感じになってしまう。

そこで、おいしいコーヒーを飲んだ人のリアクションをフローチャート化すると以下のようになる。笑

コーヒーを口にふくみ、飲み込む
→一拍つく(息をかるく吸い込む)
→フーッと息を吐く(なんなら目をつむる)
→「おいしい!」

じっさいにコーヒーを飲む機会があれば、ぜひ確認してみて下さい。そして、これから「コーヒーをおいしそうに飲むひと」の演技に挑む役者のみなさまの参考にしていただければ!?

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