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にんげんだもの

322.にんげんだもの

3通ほど手紙を書いた。ふだんあまり手紙を書くことがないため、達成感がすごい。結果、書いたことで満足して投函するのを忘れた。

玄関に置き去りになったままの手紙に驚き、あわてて部屋着にコートを引っ掛けた恰好で近所のポストまで出かける。とてもじゃないが、他人には見せられないような恰好である。自分基準では。

案の定というべきか、出るなり階下の住人と鉢合わせした。あるある、である。というよりも、もはや人智を超えた事象と言っていい。

おそらくこれは、人間の動物的本能のなせる業なのだ。「群れ」でしか生きられなかった時代の遠い遠い記憶が、ヒトの気配を呼び起こし、団地の階段へと引き寄せるのにちがいない。

いや、そんなふうにでも考えないと、平日の白昼に「たまたま」出くわす確率なんて説明できないではないか。だいたい、そんなところで「あたり」を引き当てないで、年末ジャンボとか有馬記念で引き当てたいところである。

しかし、「群れる」ことが人間のDNAに刻まれたふるまいであるとすれば、コロナ禍によって「群れる」ことを禁じられたこの2020年は「ヒト」にとって本当にしんどい一年であったことは想像に難くない。

動物的本能を抑えられた人たちが、ストレスを抱え込んだり、またヒステリックになってみたり、これはもうどうしようもないのではないかと思えてくる。

すぐ派閥をつくって群れたがったり、うっかり8人で会食してしまったりする政治家と呼ばれる人びとだって、そのように考えるとみずからの動物的本能に素直に生きている「珍獣」の群れと思えなくもない。まあ、理解はできなくもない。

にんげんだもの(みつを)

いや、そういう話ではなかった。感染拡大の防止に努めるとともに、外出する際にはかならず誰かと会ってしまうものと思って行動しましょう。

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