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【映画】最近観た映画2023年5月

今月はちょっと映画観る本数少なかったかな〜って数えたら25本観てた。まあいつもと同じくらいか。
五月は劇場で鑑賞したのが、J005311若き仕立て屋の恋レッドロケットEOゴダールのマリアターそれでも私は生きていくアフターサンの8本。
J005311は好きか嫌いかは置いといて、初期衝動の塊みたいな映画だった。ただ上映後のトークショーは映画の余韻が打ち消された感があっていらなかったかな…。
若き仕立て屋の恋は酷評を見て俄然行きたくなって鑑賞。王家衛らしいドイルの色使いが希薄な所以外はかなり良かった。この頃の作風らしい雰囲気と退廃的な感じが短編ながら発揮されてた。
あんまり話題に上がらなかったレッドロケットはしょーもない男の話なんだけど、川崎みたいな工業地帯のライトが夕日の中で映るときの美しさも印象に残る。ジェットコースターでの出来事など、ケタケタ笑ってたけど(ただ爆笑ではない)場内は一切笑い声は上がらず。この温度差はなんなんだ。
世間的に評判はいいけど、僕は興醒めしてしまったEO。つまらなくはないし、映像の面白さや動物愛護などへの皮肉(動物虐待から守ろうとした結果、誰も保護できなくなってしまったり)は良かった。ただ悲劇が直線的で予測出来てしまうのと、何よりもロバを擬人化した表現に辟易してしまった。予告で観た映像も思いの外カットが短くて、予告以上の感慨が得られなかったのもマイナスだった。消化不良なのもあって、未見だったロベールのバルタザールどこへ行くも観たのだけど、やはりこちらの方は傑作。悲劇の連鎖は実はこっちの方が非道い。
ゴダール映画祭が行われていたので、その中でも劇場で観たかったゴダールのマリアを鑑賞。初見時はハル・ハートリーの影響元のひとつの様に感じたけど、80年代ゴダールを一通り観た後では少し印象が変わった。どこがどう受け取り方が変わったのかは、言葉にしづらいんだけど。
上半期に鑑賞した上映作品の中でも一番良かったのがター。巷では賛否分かれるのと、謎解きに必死になってる人も多いのだけど、作品としての訴求力と社会批判の鋭さ。女性が権力構造の中で生きる事を描きながら、当の女性がマチズモ全開で権力争いで落ちぶれていく転落劇を、練り上げられた脚本とケイト・ブランシェットのポテンシャルを十二分に発揮していて素晴らしかった。分かれる決心とターは今のところ今年のベスト。
ターと同じく、それでも私は生きていくもレア・セドゥのポテンシャルが最大限に発揮されてて、久しぶりに彼女の凄みを感じた。認知症を抱える父との対峙(逃げる事も含め)と、新たな家族の形を求める姿とラストの視線が心に残る。
アフターサンは多分捉えきれてない部分があるようにも感じていて、もう一度観ないと理解できていないんじゃないかと思ってる。父と娘の旅行記と、その時の父と同じ年齢になった自分との重なり合いがテーマで、大枠は理解しつつも意外と情報量が多くて掴みきれていないようにも感じた。
恐らく、前後関係を入れ替えて描いていて何が起きているのかは漠然と理解しつつも、細かな所で気づいていない部分が多そうだなと思う。ラストシーンは本当に素晴らしいと思う。
その他配信で観た中で良かったのは、エンパイア・オブ・ライト未来よ、こんにちはリトル・チルドレン息子の部屋辺りかな。
エンパイア・オブ・ライトは映画館で観なかったのを後悔してる。映像も良かったし、イギリス南部のロケーションと映画館の雰囲気が人物と同じくらい饒舌に物語を語っていた。
未来よ、こんにちははそれでも私はいきていくと同じテーマ性はありつつ、家族や父の関係から解放されながら、新たな関係と取り戻せない時間が去っていく現実への対峙が、居心地の悪い居場所として提示されていく。ロメールの緑の光線を参照しているのはそういう所かなと。
リトルチルドレンはとにかく脚本の作り込みが凄い。絶望的な映画でもあるんだけど、希望が無いわけでもなく、人生や他者を受け入れていく(別れる事も)事で次へと進んでいく。キャンセルカルチャーという点でも、ターに通じるものが既にある。
タルコフスキーのストーカーはモスフィルムのYouTubeアカウントでも字幕付きで観ることが出来るのだけど、その事をツイートしたら同じタイミングでその事が記事になっていたので記事の中の人がそのツイートを見かけたのかなと思う。というのも、何年も前にYouTubeにアップされてたので今更感がある。勿論映画は素晴らしいので、未見の方は是非。


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