ウィークエンド Weekend/アンドリュー・ヘイ Andrew Haigh
アンドリュー・ヘイ監督のウィークエンドを観てきた。ほろ苦さが心に残る映画だった。
出会ってから別れまで、たった二日間の恋愛を描いたものだったけれど、短い期間で濃密な会話劇が繰り広げられていた。主人公のラッセルとグレンの生き様をお互いの環境を会話で描き、対照的なふたりの考え方や行動を淡々と描いている。気丈で自信に溢れるグレンの行動に、一見気弱そうなラッセルが振り回されてるように見えながら、彼らがひと言ひと言発するたびにお互いのベールが剥がれていき、より素の状態が露わになっていく。ドラスティックでその場限りの関係に見えながら、わずかな時間の中でお互いを阻む心のガードが紐解かれて行くことで、徐々に画面一杯にふたりの親密さが溢れてくる。グレンが抱えた不信感と、ラッセルが抱えた両親不在の環境をベットの上で許し合う様子はドラスティックだった始まりから、お互いの心の穴を埋めていくことで、お互いが代え難い存在として変わりゆく様を丁寧に描いていた。官能的なセックスシーンは終局へと向かう時間の中でお互いの存在を体で感じながらも、その後のベッドで語り合うシーンにお互いの想いが全て描かれていた。
グレンが駅で渡したアレは彼にとってラッセルと言う人が、いかに大切な人だったのかがよくわかるエピソードだった。ふたりだけのものとしてラッセルに渡された意味は、送別のパーティでのラッセルとジルの会話でよく分かると思う。
世の中でゲイとして生きていく生きづらさは、冒頭とラスト近くでヘテロの人々に囲まれたラッセルの心ここに在らずな状況かつ、家族というものを持てず、カミングアウト出来ない自分のセクシャリティをまざまざと見せつけられていた。彼は愛する人と結婚する権利を勝ち取りたいと願い、方や十代のうちにゲイである事を暴露され、あっけらかんとした体裁と取りながらも、イギリスの閉鎖的なセクシャリティから逃げ出したいというグレンの考え方と衝突するけれども、結果的に想いが強かったのはどちらだったのかは別れのシーンではっきりとわかる。
始まりの高揚感と、終わりの虚無感をしっかりと描き切ったラストに思わず涙してしまった。
あー切ない!
ひとつ気になったのはラッセルもグレンもパーカー着てたけど、「きのう何食べた?」でケンジがいつもパーカーを着ていたのは、そういうファッションが世界共通なのかな?なんて思ったり。
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