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映画めも。

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観た映画のはなし。 ネタバレするぞー!
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2024年9月の記事一覧

【映画】アニエスvによるジェーンb Jane B. par Agnès V./アニエス・ヴァルダ

【映画】アニエスvによるジェーンb Jane B. par Agnès V./アニエス・ヴァルダ

タイトル:アニエスvによるジェーンb Jane B. par Agnès V. 1988年
監督:アニエス・ヴァルダ

ドキュメンタリーとフィクションが合わさった不思議な作品で、ジェーン・バーキンの生い立ちやパーソナリティをベースに、様々な役柄の物語が挿入される。絵画を模した画作りはゴダールのパッション辺りを彷彿とさせるが、こちらはドラマというよりもアイコンとしてのジェーンを絵画的に映し出している

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【映画】ぼくのお日さま/奥山大史

【映画】ぼくのお日さま/奥山大史

タイトル:ぼくのお日さま 2024年
監督:奥山大史

シンプルなストーリーの中に三人の居場所が示されていて、それは真っさらな状態から作る場所であり、築き上げてきたものを磨き上げる場所であり、終わった後の先の新たな場所である。
一見シンプルなようで、三者三様の場所を分かち合う時柔らかな光が差す場所になる。スケートリンクに差し込む光が生み出す陰影は、ひとりとふたりと三人では映し出される心の模様は不思

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【映画】エイリアン ロムルス Alien Romulus/フェデ・アルヴァス

【映画】エイリアン ロムルス Alien Romulus/フェデ・アルヴァス

タイトル:エイリアン ロムルス Alien Romulus 2024年
監督:フェデ・アルヴァス

久しぶりにダラダラとエイリアン4を観た。ジャン・ピエール・ジュネらしい雰囲気とエグさが同居している部分は今みても良かったが、後半のタイムリミットとその後が示唆されない(クローンリプリーが地球に着いたら人体実験が繰り返されるだけ)部分が腹落ちしなかった。
それにしても本作ロムルスは蛇足以外の何者でもな

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【映画】ナミビアの砂漠/山中瑤子

【映画】ナミビアの砂漠/山中瑤子

タイトル:ナミビアの砂漠
監督:山中瑤子

正直なところ山中監督の「あみこ」はうまく消化出来ず、この十年観た映画の中でも一番言葉にしづらい感覚があった印象が強く残っている。拗らせた主人公の突っ走った生々しさと勢いだけは体の中に残っているものの、どうも心に引っ掛かりが残る感じでは無かった。とはいえ、その印象が残ってるだけでも、引っ掛かりと言えるのだろうけど、どうもそれを言葉にできる感覚を持ち合わせて

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【映画】カンフーマスター Kung,Fu master!/アニエス・ヴァルダ

【映画】カンフーマスター Kung,Fu master!/アニエス・ヴァルダ

タイトル:カンフーマスター Kung,Fu master!
監督:アニエス・ヴァルダ

いわゆるショタものと片付けてしまうのは忍びない。しかしながら倫理観を揺さぶりつつ、その衝動への希求は突き進めば進むほど破滅へと導かれる。思いのまま生きなさいと諭す母の助言の通り行動すれば、自ずと当然の結果に陥る。
「幸福」のような倫理観を揺さぶる歪んだ家族観を描いたヴァルダだけに、彼女が作り出したものかと思って

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【映画】ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024

【映画】ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024

昨年に続いてファスビンダーの作品三作の特集上映がル・シネマで開催。今回は自由の暴力、エフィ・ブリースト、リリー・マルレーンの三作で、70年代中盤のまだ20代の頃の作品と、晩年に差し掛かる1980年の作品という前回とはまた違ったラインナップでの上映となった。37歳という若さで亡くなったにも関わらず、40作品もの映画を残した多作な監督にも関わらず作品のクオリティや、内容の濃さ、人生観には驚かされる。今

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