第2話 入籍!?(とある受験生のつぶやき)
翌朝、昨日図書館で彼女がノートに書いた事を思い出しながら通学路を歩いていた。
僕が図書館で大声を上げ図書館員に注意されたあと、彼女はノートにこう書き綴った。
『ゴメン、脅かすつもりはなかったの。今日は時間がないから、続きは今度❤』
そう書いて、確認するようにニッコリ(美少女スマイル)してからノートを閉じてカバンに仕舞い、出口で手のひらを小さく振り、図書館をあとにしたのであった。
アレはなんだったのか?
それまで彼女とは同じクラスにいるクラスメイト以上の接触はなく、進学校ゆえ、3年生になってから文化祭や体育祭で特に盛り上がることもなく、淡々と行事をこなして思い出に残るものもなかった。
志望校は東京の有名私立大学だから、僕以外にもあの大学を受ける生徒は他にもいるよね?なんで僕なの?
彼女からの突然の申し出に、動揺と疑問が尽きない。
同じ大学へ通う可能性があるとしても『一緒に暮らす』ってどういうこと? シェアハウス? 一人暮らしが不安だから?
とりあえず模試で志望校のA判定を受けてはいるが、受験がこれからの彼にとって東京の生活に未だ現実味は薄く、ましてや同じ高校のクラスメイトと一緒に暮らす事など想像を遙かに超える出来事で、妄想すら思い浮かばない。
一緒に暮らすということは住所も同じだよね? 住民票はどうなるの? 世帯主は僕になるの? それとも彼女? ……入籍!?
(大学受験が目の前に迫っている彼は受験勉強に手一杯で、社会生活に於ける諸事情にまで頭が回らないようだ)
そんな妄想よりも1限目にある数学の小テストのことを考えていると、学校へたどり着きクラスに入ると、昨日から僕を悩ませている彼女は他の女子生徒と楽しそうに話をしている。
チラッと自分の方を見たような気もするが、気のせいかも知れない。
1時限の授業が始まり、2限、3限と何事もなく時間が過ぎていき、お昼休みはいつもの様に学食で定食を食べて、同じ中学校で仲の良い友達のいるクラスへ行き、たわいもない話をしたあと、午後の授業をやり過ごしていた(受験に関係のない科目だからね)。
HRが終わり、終了の礼と共に教室を出て下駄箱へ向かう。
その頃には『昨日のことは夢だったのかな?』と思うくらい朧気で、ボーッとしながら下駄箱を開けると、また一通の封筒が入っている(!?)
周りに生徒がいないことを確認して、急いで封筒を開けてみると昨日と同じ彼女の名前。
『駅でお待ちしています』
[ to be continued ]
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MOH