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택시운전사 / A Taxi Driver(邦題:タクシー運転手)1980年 光州事件の実話を基にした韓国映画

事件当時、韓国の軍事政権により報道規制されていたため、日本ではあまりニュースにならなかったようだ。

2001年までに韓国政府が確認した光州事件での犠牲者(死者)は民間人で168人、軍人23人、警察4人、負傷者は4782人、行方不明406人に達する。

https://www.y-history.net/appendix/wh1703-053.html


映画のストーリーそのものは実話と異なるが、ドイツ人ジャーナリスト:ヒンツペーター氏が撮影した、軍による民間人への鎮圧棒による暴力や一斉射撃などの残虐行為の映像が世界に知れ渡ったことは事実。

1980年5月、民主化を求める大規模な学生・民衆デモが起こり、光州では市民を暴徒とみなした軍が厳戒態勢を敷いていた。「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」というドイツ人記者ピーターを乗せ、光州を目指すことになったソウルのタクシー運転手マンソプは、約束のタクシー代を受け取りたい一心で機転を利かせて検問を切り抜け、時間ギリギリにピーターを光州まで送り届けることに成功する。留守番をさせている11歳の娘が気になるため、危険な光州から早く立ち去りたいマンソプだったが、ピーターはデモに参加している大学生のジェシクや、現地のタクシー運転手ファンらの助けを借り、取材を続けていく。

2017年製作/137分/G/韓国
原題:A Taxi Driver
配給:クロックワークス
劇場公開日:2018年4月21日

https://eiga.com/movie/88117/
https://klockworx-asia.com/taxi-driver/about/

雑感

1980年、お隣の国でこんな事件があったことを知らなかった、が第一印象。
今もそうだが、日本のTVや新聞で欧米のニュースは毎日のように流れてきても、隣国の様子はネット等で情報を取りに行かなければ、その実情は分からない。

この映画の冒頭で、在日中の外国人記者が外国人記者クラブで、日本では国内で実際に起こっていることが何も報道されないことを皮肉っており、それは今も変わらない。

日本のマスコミが政府等の記者クラブに所属し続けようと思えば、忖度した記事を書かなければ締め出される。ちなみにフリーランス等が締め出される「記者クラブ」が存在するのは日本、ガボン、ムガベ政権下のジンバブエ等で独特のシステムと言われている。


話を映画に戻すと、ストーリー的には少し尺が長い。
監督が後半で山場にしたかったと思われる、軍用ジープとタクシーのカーチェイスはコミカルでしかない。

シリアス路線の映画に、あのシーンは不要。
物語が重くなるが、光州市民のことをもっと描いても良かったと思う。

光州事件当事者の権利が復権したのは約20年後。
1997年に国の記念日となり、2001年には事件関係者を民主化有功者とする法律が制定。韓国の近代史でもっとも大きな事件の一つ、かつ韓国における民主主義の分岐点となった1987年6月の6月民主抗争の原動力となった。

実在したドイツ人ジャーナリストの情報はこちら。

そして、この映画の主人公の元となった方。

映画の最後にドイツ人ジャーナリスト本人の映像とコメントが流れてくるが、Wikiの情報と矛盾する。
どちらが正しいのかは分からない。

Amazonプライムビデオで視聴できる。


MOH


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