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『方丈記』 を読んでみる (今読むと最先端な生き方)

日経新聞の書評で、新しい『方丈記』の書評を読み、改めてオーソドックスな「方丈記」と漫画を読んでみました。

読んだのはこちら

「方丈記」本は、定型のフォーマットがあるのか、日経の書評に載っているものも含め、本の構成は同じです。

1 方丈記(それぞれ著者が訳したもの)
 「フツーに方丈記」 著者の超訳らしい(書評から)
 「方丈記 (光文社古典新訳文庫)」著者の現代語訳
 「漫画方丈記 日本最古の災害文学」漫画家がマンガに
2 著者のエッセイ
3 方丈記 原文

読書感想文

初めて読んだのは、高校古文の授業時間。
有名な最初の部分とその近辺ではなかったかと。
『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。』

改めて読むと、現代訳→ エッセイ(解説・著者の解釈)→原文 の順番なので、原文をすんなりと(内容が分かっているので)読むことが出来ます。

ちなみに原文は1万字ほど。
随筆なので長い書物ではありません。

鴨長明は無常・諦観を表したかっただけなのか?

の郊外・日野山(日野岳とも表記、京都市伏見区日野)に一四方(方丈)の小庵をむすび隠棲した。庵に住みつつ当時の世間を観察し書き記した記録であることから、自ら「方丈記」と名づけた。
(中略)
隠棲文学の祖や、無常観の文学とも言われ、乱世をいかに生きるかという自伝的な人生論ともされる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/方丈記

鴨長明は生涯独身で50歳を過ぎて出家し、60歳過ぎに亡くなるまで自然豊かな小庵で過ごしています。

時々、京の様子が伝わって来る都会から程よい田舎で、琵琶や琴を鳴らし、和歌を考え随筆をし、仏教の勉強をしたりしなかったり、近くに住む少年と散歩したりと、当時、男性の平均寿命が30歳の時代に、充実した余生を過ごしています。

電気ガス水道は無く冷暖房も無い小庵生活で、現代のそれと比べるとなかなか厳しい生活環境だとは思いますが、小庵での四季折々の様子や近辺の自然描写を読んでいると鴨長明の生活がとても豊かに見えてしまい、それを自慢しているようにも思えます(隣の芝生効果?)。

彼が捨ててきた京は、大規模火災、地震、竜巻、飢饉、無理な遷都で多くの人が亡くなっており、それと比べると小庵は極楽に近いところです。
食生活は雑穀が主食のようですが、いわゆるベジタリアン。
どの様に生計を立てていたのか、少し気になります。

800年も前に「地球にやさしい生活」を実践した鴨長明。
本人は運の無い人生だと愚痴をこぼしますが、才能のある歌人ゆえ周囲が気を遣っても、自由気ままに生きていた様にも感じられます。

こんな風に「方丈記」を読んでしまうのは、3年目に入った自粛生活と、世界が平和からますます遠ざかる今に生きているからでしょうか?

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。
MOH

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