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読書感想文「砂漠/伊坂幸太郎」青春物語の中のサン・テグジュペリ

おそらく紙の本で読み、Kindle購入時も読んだはずだが、内容を忘れているので再々読。
扉絵のKindle版は、現在販売されていない(購入者は読むことはできる)。
 
主人公が大学生なので時代背景が気になり、確認すると2005年の出版。
学生の持ち物(最初は一部の学生しか携帯を持っていない)、消費税値上げの話など時代を確認して納得。

仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。麻雀に勤しみ合コンに励み、犯罪者だって追いかける。一瞬で過ぎる日常は、光と痛みと、小さな奇跡でできていた。明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語。

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感想とかいろいろ(ネタバレもあり)

読み始めのうちは「伊坂幸太郎氏も最初の頃はこういう文章を書いていたんだ」と思ってみたり、小説の舞台が著者卒業の東北大学法学部なので「仙台で学生生活を送ると、こんな感じだったのかな」と思ったり。
 
物語のパラグラフは「春」「夏」「秋」「冬」。
合間合間に読んでいて、最後の段になって違和感を感じていると、主人公たちの1年分の生活を読んでいると勝手に勘違いしていた。
(春夏秋冬って普通、1年ですよね?)
春夏秋冬で4年分。物語は入学式から卒業式までの設定であった。
 
青春日常系の小説だが、(女子)が普通にスプーンを曲げたり、4年に一度は乗用車を浮上させることも出来る超能力者。鳥井(男子)は事件に巻き込まれ片腕を無くすが、キックボクシングで鍛えてチンピラをやっつける。大学のミスコンに請われて出場する程の美人東堂(女子)は、変人西嶋(男子)を好きになるが振られて、キャバクラ勤めをしてX’masでひと騒動起こし、西嶋と付き合うようになる。
全員、東北大学法学部の学生で、西嶋は最後に留年する。

物語を面白く進めるための、刺激的な人物を揃えている。

主人公の北村だけがフツーで、彼の一人称で物語が進み、彼の事を「鳥瞰的」と最初に鳥井に言わしめているのは、分かりやすい。
フツーな大学生の北村は、一つ年上のアパレル店員と付き合うこととなり、彼女を物語のなかで、主人公の補助的な役割に収めている。
 
伊坂幸太郎氏の小説の多くが舞台となる仙台市。
何度か訪れたことがあるが、小説の舞台にするには良い場所だと思う。

今回主人公たちが通う東北大学法学部から仙台駅までは徒歩で30分程度。
2キロ強の距離なので、青春モノに出てくる徒歩や自転車での移動も不自然ではなく、県庁所在地なので交通の便も良い。
 
東京を舞台にすると、そうはならない。
地下鉄、クルマの移動となり、物語の中で登場人物たちの動きの自由度が減る。
(その不自由さを物語に使うこともできるが…)

そんなことを思いながら、自分が書く小説の舞台のほとんどが東京を中心としているので、今後の展開をふと考える。
物語の中だからこそ、リアリティは欲しい。
SFであれば何とでもなるのだが。
(『安定を重視して〜』の『エアクラフト』は地球上何処へでも3時間以内😊)
 
話の中に格言としてやたら「サン・テグジュペリ」が出てくる(気がする)。
残念ながらサン・テグジュペリは「星の王子さま」しか知らないので、引用に出てきた本も含め何冊かKindleのライブラリに追加した(全部Unlimited )


(もしも)読み終えることがあれば、感想を書きたいと思う。
Kindle Unlimitedは、途中まで読んで、返却してしまうことがしばしば😅

MOH

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