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エスケープ オブ 内履き

無事終業式を終え、春休みに入った息子。
荷物を大体持ち帰っていたのだけど、何故か内履きだけなかった。
1週間後に離任式があるからそれまで置いているのかなくらいの気持ちでそのままにしていた。

そして、離任式当日。
帰ってきた息子は内履きを持っていない。
「内履きは?」と聞く私に息子は「知らない」一言。

知らないってことはないだろ…
学校に問い合わせると「内履きは修了式の日に全員持ち帰っています」と言うではないか。
しかし、家にはない。

どこだ?

息子に聞いても「知らない。分からない」しか言わない。
だから!知らないってことは!ない!
次第に口調も強くなる。
それでも息子は微動だにせず、記憶から内履きの存在を完全に消し去っていた。

ここで「じゃあ、新しいのを買おう!」と言うのが正しかったのかもしれない。
しかし、息子は自分の持ち物に対して無頓着すぎるところがあってそこはどうにかしたいと思っていた。

まず、1週間前の修了式にどこを歩いてどこに立ち寄ったのかを出来る自限り思い出すように伝えると
「わかんない!!」
もう既にサジを投げている。ここで母も
「分からないって言わないで考えるんだよ」
と伝えたが…息子は思い出す素振りもない。

心の中ではほとんど諦めていて、週末に買いに行こうと思っていた。
しかし、息子に「もう一回探しに行くよ」と伝えて一緒に車に乗った。

近所の公園について「ここには寄った?」と聞くと「寄ってないよ」と息子。
ならば別の公園にと車を走らせた瞬間…目の前に見たことがある巾着袋が!!

「あれは…なに?」と私が言うと
「あぁ…僕の靴だね…」と気まずそうな息子。

原因としては”公園でブランコに乗ってから帰ろうと思い内履き入れを公園の入り口に置いて、そのまま帰った“とのこと。
寄ったやんけ。全然寄ってるやんけ!!
しかもこの公園には出入口が2か所あって、普段私達がレオン(ワンコ)の散歩で通らない方の入り口に置いてあったため気が付くのが遅れた。

まぁ見つかったから良かったのだなとは思うけれど、今後こうゆうことが無いように「とにかくまっすぐ帰ってきてね」と伝えた。
笑顔で「分かった!」と答える息子。多分だけど全然分かってない。
とりあえず、内履きを持ち帰る日は厳重注意ということが私の中にインプットされた。

息子の生きづらさには理解や寄り添いを続けていくけれど、出来ることまで諦めて放棄してほしくない。
吃音症と分かってから、吃音が出ないように今まで自分なりに工夫してきたことを考えれば、他の事にも工夫をしながら出来ることがあると思っている。
可能性を信じることだって無駄じゃない。

とりあえず、2年生になってからの約束として“翌日の連絡を自分で書いてくる”にした。
怪文書でもいいから自分の生活を自分で管理する力を少しだけつけて欲しい。

これからも日々の出来事を息子と相談しながら、息子にとっての最善を考えていく。
例えば卒業とか進学とかのタイミングもそうだけど、もっと先の未来を見て出来ることを増やしていけたらいい。
息子の未来は希望だらけ。そのことを彼が実感し幸せに生きて行ってくれたらと思って、母のサポートはまだまだ続く。

いただいたサポートはみなさんによりときめくエッセイを届けるため、作業机周辺に配置するときめきアイテム(主にコーヒーとお菓子)購入代にさせていただいております! もっとみなさんに楽しんでいただけるエッセイを目指していきます。ありがとうございます♡