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弁当店に現れる強烈キャラ達

人間生きていれば色んなドラマに出会うものだ。
普段は「ドラマみたいな毎日なんて…」って思うけど、気が付くとドラマの中で生きている時がある。

夫とお弁当屋さんへ行き夕飯を調達することにした。
さすが夕飯時というくらいお弁当屋さんは混雑している。ここのお弁当屋さんはいつも何か商品が売切れていて、とりあえず店員さんに「今日ないお弁当はなんですか?」と聞くのが当たり前になってきた。大体サバはない。

その日もオススメと書いてある商品が軒並み売り切れ。
いつになったら私達はオススメのお弁当に出会えるのだろうか。
残っている商品の中からお弁当を2人分注文して出来上がりを待つ。

しばらくして赤ちゃんを連れたご夫婦がやってきた。
まだ寒い中歩いてきたらしく、お母さんは赤ちゃんを抱っこしていてお父さんはベビーカーを押している。
店に入って、注文をするのは…お母さん。
お父さんは座っている。

は?


赤ちゃんをあやしながら列に並ぶお母さん。
全然他人のタカチセはお父さんの頭しばいて並ばせ八日と思った。
でも夫婦それぞれに役割分担があるだろうから、お母さんがちょっと大変そうなときは手伝う覚悟で見守った。

このお母さんの2人前にいた男性。
注文し始めたはずが、一向に進まない。レジの表示には”〇〇弁当1000円”と表示されたまま。
レジを打つ店長も立ったまま。男性はずっとスマホを見て何かポチポチしている。

お前、誰かにLINEで注文確認してるな?


多分「頼まれた弁当がない」ということをLINEして代わりの注文の返事を待っている。
返事がないままずっとスマホ画面を見ている男性。ずっと1000円の表示。
いよいよ店長が「あの、他のご注文は…」と切り出したのはもう15分くらい経っていたと思う。
男性は「じゃあ後で言いです」と列から外れた。

…遅くない?


しかもさっきのお母さんの前、つまり一つ後ろに下がったのみ。
そこは一番後ろに行けよと思ったけど、男性には伝わらない。
お母さんの順番は回ってこない。お父さんはずっと座っている。

…叫んでもいいでしょうか?


お母さんが無事注文を終えて、出来上がりを待っている矢先。

店長が激しくせき込む。

止まらない咳をどうすることもできず、店長は店の裏に下がっていった。
代わりにレジに入ったバイトくんの手際の良さに心を少し救われる。
このご時世、咳は嫌煙されがち。多分店長はしゃべりすぎだったんだと思うけど、ただならぬ咳を目の前にして外に避難するお客もいた。
あのお母さんも外に出ていく。
あの男性は…まだスマホ見てた。

夫と自分たちのお弁当をもらって車に乗り込む。
車のドアを閉めた時、夫と二人同時に言った。

「あれはないわ!お父さんと男性!」


帰り道、それぞれが心に残った弁当店キャラを言い合う。
いつもメニューが売り切れているので足が遠のきがちなこの弁当店だけど
「時々行ってみるもんだね」と夫が笑った。

残り少ないメニューから選んだ弁当は美味しかった。

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