見出し画像

私子育て『そんな息子をリスペクト』

「うちの息子の夢を嘲笑う奴は、きっと幸せになれないぜ」

息子の夢は「ダンゴムシになる」
ダンゴムシはかじったりしないし触っても痒くなったりしない。嫌なことや怖いことがあれば丸くなってジーッとしているから自分はダンゴムシになりたいのだと熱弁する。
争い事が嫌いな息子らしい考えだなと納得して、息子の夢を叶えるべく母はせっせとボーダーの服を買い揃えてきた。せめて気分だけでもと思うのだけどいつの間にか息子=ボーダーになって、他の子の服でも「これ、息子くんのものですか?」と聞かれることしばしば。
現実的になれるとかなれないとか、そうゆうことではなくて、息子がどうゆう人間になりたいのかとしっかり考えている証と捉えて応援しようと思った。

ショッピングセンターに行った時、ダイオウグソクムシのミニぬいぐるみガチャガチャを発見。息子にとってはダンゴムシなので大喜びしながらチャレンジし、息子が宣言した青のダンゴムシをゲットしてきた。もうここまできたらダイオウグソクムシとか云々は有耶無耶にしよう。
家に帰り、保育園用のリュックにつけてあげるととても喜んでくれてそれから毎日ダンゴムシくんと保育園に通っていた。

ある日、迎えに行き帰りの準備をしているとそこにいた男の子が
「なんでダンゴムシなんかリュックにつけてるの?」
とニヤニヤしながら寄ってきた。私も息子も聞かなかったふりをする。その子はなおもニヤニヤしながら
「息子くんさーダンゴムシになりたいんでしょ?ねえ、なんで?ダンゴムシなんかなれないじゃん」
と言い出した。
まあね、いいんですよ。子供の言うことですから。おばちゃんねぜーんぜん気にしないから。
反応しないと鉄の心で支度をしていたら別の子がいきなり
「こんなのつけてきちゃだめなんだよー」
と言い出す。
この時、息子は呆然としながら靴下を履いていた。母はひたすら「そっかー、ごめんねー」を繰り返した。ちなみに、沢山つけてはいけないという明確な決まりはないし、息子はダンゴムシとネームプレートのみでジャラジャラつけているわけではない。
息子はいつもなら名残惜しそうにするのに、速攻で挨拶をして部屋を出た。

車に乗った瞬間
「母ちゃん、ダンゴムシ外してくれない?お守りにするよ」
外してあげたダンゴムシを大事そうに握る息子を抱きしめて心の中に浮かんだ言葉が

「うちの息子の夢を嘲笑う奴は、きっと幸せになれないぜ」

子供の頃、息子が言われたような言葉を私も言われてきた。その度に自分の心が固くなって、人の顔色をうかがいながら誰かと同じに右ならえすることを望むようになった。
それが心地よいならそれもよしだけど、ダンゴムシになりたいと思った息子の気持ちを私は大事にしてあげたいし、私が思ったあの心の哀しさを味わっては欲しくないなと思っている。

あのダンゴムシは息子と娘が交互に可愛がっている。息子は変わらずボーダーのシャツを着て1人ダンゴムシごっこを楽しんでいる様子。
嗚呼…息子は私よりずっと上手に自分の心を守っているんだろうな。反抗期とはいえ、この生き方は見ていてすごく尊敬。

そういえば、私が髪を切って一番に褒めてくれるのは息子なんだよね。
何故か今回は褒めてくれない。そっか、六角さんだからかな?

いただいたサポートはみなさんによりときめくエッセイを届けるため、作業机周辺に配置するときめきアイテム(主にコーヒーとお菓子)購入代にさせていただいております! もっとみなさんに楽しんでいただけるエッセイを目指していきます。ありがとうございます♡