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"ただ好き"になれなくて

こうゆうのを、クズって言うらしい。

君の目が好き。

雰囲気がすき。

昔好きだった菅田将暉みたいな子になんとなく似てたから、

なんとなく好きだなって、

単純にかわいいなって、

触りたいな、

首筋にキスしたいなって、

思っただけ。

おまけになんだか上手くやれてない哀愁があったから、
吸い寄せられただけ。

でも、「好き」ってやつじゃない。

それなのに、「すき」って言った。

ごめんね。

きっと「好き」って、

もっと純粋に、単純に、

"この人の笑ってる顔がもっと見たい"

とか、

"この人を苦しめる奴はわたしが許さない"

とか、

"もっとこの人のことを私だけが知りたい"

とか、

なんかそうゆう感じなんだと思う。

淡い桃色みたいな、クリーム色みたいな、
上等な白桃みたいな、
そんな色をした気持ちなんだと勝手に思ってる。

でも、自分のいまのあの人への気持ちは

言うならば、グレーがかった紺色とか、
紫とか、

なんとなく、どんよりとした歪んだ空気をまとった色だと思う。

ごめんね、

あんまり悪いと思ってないけど、
あんまり悪いと思ってなくて、ごめんね。

あんまり悪いと思ってないのに、
他人の尺度で考えたら、明らかにクズだったし、
きっと本当のことを包み隠さず言ったなら、
君は殺意にも似た思いを僕に抱くかもしれない。

怒った君に、冷たく呆れられるか、
その場でキレられて乱暴されるか、
でも一番ありそうなのは、

その場では「…そう、。…わかった」
とだけ言われて、
後で連絡すら取らない関係に落ち着いたかと思った頃に、実は相手の内側だけで沸々と恨みや執念が育って大きくなって、
時間差で執拗に付き纏われたり、
ストーカーじみたことをされる泥沼の関係に陥って、何年もびくびくしながら過ごさなきゃならなくなる、
じわじわ仕返しされるパターン。

前に付き合ってた相手にも、
同じことをした。

ほんとは相手のことなんて大して好きでも大事でもないのに、
自分の心の苦しさを紛らわしたり、
自分の心のリハビリをするのに丁度いいから、
自分が辛い状況を脱するために利用した。

「最低」

ってやつだろうか。

純粋に誰かを好きになったり、
純粋に好きな趣味を見つけたり、
純粋にやりたいことを見つけたり、
純粋に好きな音楽を見つけたり、

そうゆうことが、中々できない。

いつも、「〜のために、役立つから」とか、なにか、それを「好き」でいていい理由、意味付けをしてしまう習慣が染み付いている。

たぶん"それを好きでいていい理由"がないと、
それを説明できないと、
自分の好きなものを「好き」でいちゃいけないような、
「それを好きでいることによるメリット」みたいなものを説明できないと、
それを好きでいることが許されないような、

だから、
「好きでいることでもたらされるメリットを常に説明できる状況に用意してないと、
なにかを"ただ好き"でいちゃいけない」

みたいな強迫観念みたいな、思い込みみたいな、
そんな切迫した思いで、今まで無意識に自分自身を縛り付けて来たのかもしれない。

だから、"ただ好き"でいること、自分の中の
"ただ好き"を見つけることが、
難しくなってしまっているのかもしれない。


"ただ好き"


それは、ぼくが一番欲しくて、

どこにも売ってないし、
努力で手に入れるとかでもない、

本来は自分の手の中にあって、

だからこそ、外から捕まえようとして空中を握っても全然手に入らない、

一番捕まえるのが難しいものなのかもしれない。

まるで、
「自分の掌を自分の手で掴んでごらん」

なんて言われてるかのような。

難しい。

いつも掌は空っぽで、寂しいから、
不安になって掴んでしまった、
君の服の袖。

「なんだよ、しっかりしろよ、知らないよ」

って、
振り払ってくれれば、よかったのに。

振り払ってあげるのが、
君のためだったのに、

僕は君の手を振り払えなくて、

自分の掌が空っぽな空虚な苦痛に負けて、

僕はあの時、
僕の右手の上にただそっと重ねただけだった君の左手を、
自分から握ってしまった。

君の手が僕の頭を撫でる。

僕の手が君の頬を撫でる。

君は僕のことが好きで、

僕はそれが分からないふりをして、

寂しさを忘れるために、
自分自身の空虚な現実と向き合うことから逃げるために、

きみの好意を利用した。

最低なんだろうけど、最低だってピンとこない。

そうゆうところが最低なんだよねきっと。

ごめんね。

ぼくは君に謝罪して、君の前から消えないといけないんだろうか。

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