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【実話】覗き込む何か【怪談】

4〜5歳くらいの頃の話。
自分は割としっかり幼少期の記憶があって、その中でも結構印象に残っているエピソードです。

当時は色々あった家ではなく、一軒家形式のアパートに住んでいました。

色々あった家の話たち

当時住んでいたアパートは、でっかい敷地に2DKの一軒家が何軒も並ぶちょっと変わった造りで、後にも先にもこういう物件に出会ったことがないのですが、田舎特有のものだったのか、そのアパートが特殊だったのかはわかりません。同志求む。

そのすぐ近所(一本道ダッシュ30秒)に祖父宅があったのですが、母と一緒に自分が生まれてから預けられている犬のラムちゃんにご飯をあげに行ったり、採れすぎた野菜を貰いに行ったり、ほぼ毎日のように祖父宅に通っていました。

ある日のこと、自分が風邪かなにかをひいて寝込んでいた時のことです。
例の如く一瞬祖父宅に用事があった母は、すぐ戻ってくるからと家を空けた時がありました。
今思うと氷枕なんかを借りに行ったのかもしれません。
自分も祖父宅の場所を分かっていましたし(ゲロ叱られて泣きながらダッシュで逃げ込んだことがある)、そこまで動き回る気も起きなかったので、そのまま寝てしまったのだと思います。

どれくらい時間が経ったのか分かりません。
いつの間にか誰かが布団の横にいて、自分を覗きんでいる気配がありました。

母一択也。

そう確信した自分は、寝たふりをして「実は起きてましたイェーイ✌️」みたいなことをやろうと目を閉じたまま隙を窺っていました。
これ今同じようなことを2歳の姪が一生やってるんですが、今思うと絶対バレてる。なぜなら笑いを堪えるために顔の全パーツが中央に寄るから。

そんな幼児のしょーもない狸寝入りが続いているにも関わらず、横にいる母(仮)はノーリアクションでこちらを覗き込んだままです。
いい加減飽きてきた頃、玄関の引き戸がガラガラと開く音と共に母が「ただいまー」と言いながら足音を立てて家に上がる音が聞こえました。

隣にいる人が母でなかったことや、いつの間にかそんな人はいなかったことに疑問を感じる間も無く母が声をかけてきたので、その後は全て忘れてすりおろしたりんごを与えられたりしていたのですが、何年か後に何かの拍子に思い出して「いや意味わかんねーし」と思った出来事です。

仮にその時気づいたとしても、危機感とか知らない人が家にいるヤバさとかペラペラの年齢だったので、結局何とも思わなかったかもしれないですね。ガラスケースに収まっている鬼の置物の方が当時は怖かったです。

寝ている幼児の夢を鮮明に覚えてるだけだとは思うのですが、ネタとしては美味しかったのでまとめてみました。

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