見出し画像

日銀の金融政策決定会合と質疑応答の内容


日銀の金融政策決定会合と市場の反応

 日本銀行の金融政策決定会合についての報告です。この会合の後、為替市場ではドル円が一時的に156円まで円安ドル高となりました。事前の予想では、日本銀行が国債の買入れ額を減らすのではないか、または追加の利上げに向けて何らかの手があるのではないかと言われていました。

金融政策の時系列

 日銀は3月の会合でマイナス金利を解除しました。しかし、その後も緩和的な金融政策を継続する姿勢を示しました。加えて、アメリカの長期金利の上昇などから、為替相場では4月に入ってから再び円安ドル高が進みました。
 円安が進む中で、4月10日に日銀総裁が市場動向をよく見ながら国債の買入れ縮小を検討していくと発言しました。市場では、日銀総裁が円安を抑制したかったのではないかと見る向きが多かったですが、それでも円安は止まりませんでした。
 4月26日には155円台後半まで円安ドル高が進みました。

金融政策決定会合の前日

 4月25日時点、政策の決定が発表される前日に、新聞社が日銀の国債買入れの縮小の方法を検討し、事実上の量的引き締めを行うという記事を出しました。これにより、国債買入れの縮小が発表されるだろうと多くの市場参加者が待ち構える形で4月26日を迎えました。

金融政策決定会合の内容

 これまでは、当面の国債買入れ方針や長期国債の市場操作方針などを政策発表のタイミングでホームページに公表してきました。その中で記載されている金額が今回減らされるのではないかという見方が強まっていました。しかし、4月26日12時過ぎに政策決定のステートメントが発表されたところ、これまでA4数枚にわたって記載されていた内容がほとんどなく、無担保コールレート(無担保コールオーバーナイト)を0から0.1%で推移するよう促すということと、国債と短期金融市場の操作については3月に決めた方針に沿って行うということだけが書かれていました。
 今回の展望レポートでは、日本経済は持ち直しつつも、これまで通り非常に慎重な見方を崩していませんでした。物価の見通しについては、2025年の見通しを+1.8%から+1.9%に上方修正しましたが、引き続き2%を超えないという見通しにしています。そして、2026年は1.9%で据え置き、2%を安定的に超えるまで緩和的な金融政策を続けると日銀はこれまでにもずっと言ってきています。

日銀総裁の会見と質疑応答

 3時30分から行われた日銀総裁の会見では、「円安が続いていますがどういう対応をしますか」という質問に対し、 「2024年の物価見通しについて、+2.4から+2.8に引き上げている。これは原油価格の上昇による部分が大きい。円安の影響もないわけではないが決して大きくはない」としました。
 更に「円安の影響は無視できるレベルだという判断か」と重ねて質問した記者がいましたが、「物価目標2%に与える影響という意味ではそうだ」と日銀総裁は明言しました。また、今後この影響が大きくなれば金融政策で対応する可能性もあるとしましたが、今はその可能性が低いことを示唆しました。

私の考え

 為替については大きく動かない方がいいという立場です。円安で儲かる人円高で儲かるある人、それぞれいるのでどっちがいいとは必ずしも言えないと思っていますが、あまりに価格変動が大きすぎるとどの業界も事業計画を立てるのが難しいというのがあると思います。
 これだけ円安が進んでも多くの製造業が国内回帰しない背景には、2010年前後の民主党政権での急激な円高を経験して、また急激な円高になったらという警戒感 がどこかにあるからだと思います。また逆も同じで、円安に苦しんでいる人たちはまたトラウマになるほどの円安になりつつあるのではないかと思っています。
 為替についてはもう少し安定的な推移を目指していった方がいいのではないかと私は思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?