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P2Pレンディング狂想曲「中国ユニコーン列伝」

中国ユニコーン列伝―シェアリングエコノミーの盛衰 の紹介第3弾。昨日と一昨日の記事はマガジンにまとめてあるので、最初から読みたい方はこちらをご覧ください。

金融改革からフィンテックへ

今日のお話は第4章「金融改革からフィンテックへ」。シェアリングファイナンスという、インターネット上で人にお金を貸す仕組みの話。

日本では、クラウドファンディングとして事業者が見返りを掲示して投資を募る(といってもあれは日本の法律上は投資じゃなくて商品の購入なのですが)システムが一般的になりました。

中国でも同様のクラウドファンディングが普及しているのですが、それとは別に、P2Pレンディングという仕組みも普及しています。

車を買いたい、家をリフォームしたい、そういう「ちょっとした」資金需要に対して、インターネット上で借金を募集するのです。日本だとカードローンや消費者金融の出番ですが、中国ではそういう仕組みが普及していないので、「クレジットカードの枠より大きく、銀行に融資を受けるほどでもない」金額の資金調達に需要があります。

一方貸す方も、銀行に預けるより高い利率で利子をもらえるので、お金を貸すメリットがあります。

聞くだにヤバそうなこの仕組ですが、経済イケイケ状態の中国では人気を集め、2014年上半期だけで20億元(約300億円)の投資を集めました。銀行に預けるより高い利率が得られるのだから、投資しない理由はないでしょ!

そして予想通り、様々な事件を引き起こします。運営会社が破綻して貸したお金が帰ってこなくなったり、最初から破綻を前提に高利率でお金を集めた詐欺会社が逃げてしまったり。

そんな中、良心を発揮して堅実な運営を続けていたのが老舗P2Pレンディングの人人貸(renrendai)でした。人人貸では、「いつ会社を閉めてもユーザーに損をさせないこと」をモットーに、堅実な運営を続けます。熱狂の中、「投資案件がないじゃないか!」とユーザーに文句を言われても、人人貸は「まともな」案件だけを掲載する姿勢を崩しませんでした。

状況を問題視した政府が様々な規制を発表した結果、P2Pレンディングは徐々に利益率が低下して普通の投資に近くなっていきます。一方投資家の方でも、お金が帰ってこなくて痛い目を見るということを学習した結果、より安定した投資が見込める大手にユーザーが集まるようになった結果、人人貸が最大手のP2Pレンディングプラットフォームとして生き残ることが出来ました。人人貸のホームページのトップには、誇らしそうに、累積売上高の累計が掲げられています。

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(累積成約金額 11760億元、累積貸し出し人数1,044,564人、これまでに貸した人の累積利益は1,383,351万元! )

この記事は

この記事は、中国ユニコーン列伝―シェアリングエコノミーの盛衰 という本の宣伝のために書いてます。

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本の中では、中国が発表した規制の具体的な内容や、P2Pレンディング業界の今後について、クラウドファンディングについてなども書かれています。急成長の中国らしい無茶な取り組みも含めて、日本でマーケティングする上でもなかなか参考になるのではないかなと思うので、よかったら買ってください。




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