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分類別古単no.28:参る

28■「参る」を中心にした四語

受験生のための単語リストです。
ここでは「参るを中心にした四語」を挙げます。
全体の50音索引はこちらへ

■次の語の意味をA→Bで確認!

A 単語リスト

1・まゐる
2・まうづ
3・まかる
4・まかづ

B 語義と語感

1・まゐる
①「行く・来」の謙譲語:参上する(2・まうづ
②「与ふ」の謙譲語:差し上げる
③「す」の謙譲語:~して差し上げる
・御格子まゐる:御格子をおろし(あげ)申し上げる
・大殿油まゐる:灯火を灯して差し上げる
・御髪まゐる:御髪を結い申し上げる
④「飲む・食ふ」などの尊敬語

3・まかる
①「出づ」の謙譲語:退出する(4・まかづ
②「まかり」+動詞の形で丁寧表現
③「行く」の丁寧表現

■→まゐる・まうづ・まかる・まかづは四語をセットで覚えるといい。まうづまゐるに「づ」がついて、まかづまかるに「出づ」がついてできたとされる。基本的にまゐる・まうづは卑しい場所→貴い場所へ、まゐる・まうづは貴い場所→卑しい場所への移動を示す。ただし、この四語は上のようなき対応ではなく、例えば、平安時代での対応関係はまゐるに対してまかづであったようだ。ただ、まゐる・まうづまゐる・まうづをセットにして覚えた方が記憶の便にはなる。特にまゐるは多義語で、上に示した意味の分類が必ずしも適切とは言えないが、記憶の便のために簡略化した。
■→四語とも基本的には謙譲だが、貴人に差し上げる行為が、貴人がする主体に転化し、尊敬の意味に転用される。あるいは、まゐる・まかるも、あるいは申す・給ふ(下二)も謙譲語から丁寧語のニュアンス(話し手へのへりくだり)に傾いていったりする。
■→カテゴリ【必記憶敬語】参照

■例文で演習!

C 例文

①中納言まゐりたまひて、御扇奉らせたまふに、
②親王に馬頭、大御酒まゐる
③雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて、
④粥など少しまゐりて、臥したまひぬ。
➄御とぶらひにもまうでざりける。
➅憶良らは今はまから
⑦今井四郎兼平、生年三十三にまかりなる
⑧花見にまかれりけるに、
⑨(御息所)まかでなんとしたまふを、暇さらにゆるさせたまはず

D 例文の解釈

( )の番号はここで取り上げた四語の「B 語義と語感」の番号に対応
①中納言が参上なさって、御扇を差し上げなさるのに、(1➀)
②親王に馬頭が、大御酒を差し上げる。(1②)
③雪がたいそう高く降り積もっているのに、いつになく御格子をお下ろし申し上げて(1③)
④お粥などを少し召し上がって、横におなりになった。(1④)
➄お見舞いにも参上しなかった。(2➀)
➅私、憶良はもう退出しよう。(3➀)
⑦今井四郎兼平、三十三歳になりました。(3②)
⑧花見にまいりましたが(3③)
⑨御息所は(宮中から)退出しようとなさるが(帝は)お暇を決してお許しにならない。(4➀)

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