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分類別古単no.50:語尾「ゆ」

50■語尾「ゆ」・評判


受験生のための単語リストです。
ここでは「ゆ」を語尾に持つ語を採りあげてみました。
全体の50音索引はこちらへ

■次の語の意味をA→Bで確認!

A 単語リスト

1・おぼゆ→おぼえ
2・きこゆ→きこえ
3・みゆ

B 語義と語感

1・おぼゆおぼえ
①自然と思われる・他人から思われる
②思い出される
③そっくりだと感じられる・似る
おぼえ→① 評判・➄寵愛

2・きこゆきこえ
きこゆ
①耳に入る
②「言ふ」の謙譲語
③謙譲の補助動詞
きこえ→評判

3・みゆ
➀見える
②見られる
③目に入る

■→「ゆ」は上代の受身・可能・自発の助動詞
「思ふ」に対して「おぼゆ」→思われる、「聞く」に対して「聞こゆ」→聞こえる・耳に入る、「見る」に対して「見ゆ」→見られる・見える・目に入るというニュアンスを持つので解釈の際には注意したい。自発のニュアンスの用例が多い。「おもほゆ・しのはゆ」など多くの例がある。
→評判
「人から思われる(受身)」のニュアンスで名詞化された「おぼえ」は評判・目上の人からの信望、女性の場合文脈で寵愛という意味に、同じく「きこえ」も「耳に入って来る」ことから評判・噂という意味で用いられる。これに関連して「ののしる・ときめく・音に聞く」なども覚えるとよい→カテゴリー【評判】参照。


■例文で演習!

C 例文

  1. この木なからましかばおぼえしか。

  2. (若紫の顔が)尼君の見上げたるに、すこしおぼえたるところあれば、子なめりと見たまふ。

  3. 親うち具し、さしあたりて世のおぼえはなやかなる御方々にもにもいたう劣ら

  4. いとまばゆき人の御おぼえなり。

  5. さばかり日本国にきこえさせたまひつる木曾殿をば

  6. このこと、世にきこえ高くなりてけり。

  7. 月あかければ、いとよくありさま見ゆ

  8. 人にもの思ふ気色をみえんを恥づかしきものにしたまひて、

D 例文の解釈

  1. この木がなければよかったのに思われた。→文法:ましか・ば=反実仮想※「よからまし」の省略

  2. 若紫の顔が尼君が見上げた顔に少し似ているところがあるので(尼君の)子であるようだと御覧になる。→文法:なめり=なんめり(断定なる+推定めり)の撥音便無表記

  3. 親がそろっていて、さしあたり世間での評判がはなやかな御方々にもたいして劣ら

  4. まったく正視に耐えないほどの帝からの御寵愛のされようである。

  5. あれほど日本国で評判でいらっしゃった木曾殿を

  6. このこと(女の子の美しさ)が世間の評判になってしまった。

  7. 月が明るいので、実によく様子が見える

  8. 人にもの思いをしている様子を見られるのを恥ずかしいこととしなさって

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