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あっちもこっちもにっちもさっちもスピンオフ。

書店に行くと全然知らない漫画が多数平積みになっているということが多くなった。累計50万部!とアオリがあってもよく見ると「電子版含む」だったりして、「知らないヒット作」がたくさん生まれているんだなぁ、と思う。

それは単純に自分が電子版の書籍を読まないからだが、
「見覚えのある単語は含まれてるが知らない」という作品が多くある。
いわゆるスピンオフ作品だ。

スピンオフとは人気作品の側面を描くもので、本編でのわき役を主人公にすることが多い。敵役が人気が出ているとそちらが主人公になったりもする。まあ簡単に言うと「本編じゃなくても人気が出そうなものは、可能な限り広げておけばファンがどんどん買うからやろうぜ!」ということだ。特に最近は。

画力がそれなりにある新人や、本編の絵柄をよくわかっているアシスタント出身者が起用される傾向にあるが、もう一つ「ベテラン漫画家」が起用されるパターンがある。「あぁ、昔読んでたことある!」という感じの名前。おそらく画力や構成力はあるものの近年ヒットに恵まれないとか新作の連載まではなかなかたどり着かないというポジションの人たちではないだろうか。
特に名前に驚いたのが以下の2作。

・聖闘士星矢 EPISODE.G 岡田芽武(代表作:SHADOW SKILL)
・進撃の巨人 Before the fall 士貴智志(代表作:神・風)

このあたりの人たちになると、絵柄は完全に確立しているので、安定感がある。絵は描いている限りだいたい上達するのに対し、アイデアは新しいものを出し続けるのが難しい。そこに設定の下地ができている人気作品のスピンオフとくれば、これはけっこうWIN-WINの関係かもしれない。

ただ、スピンオフ乱発の影には、「なるべくラクしてある程度当てる」という姿勢がどうにも見え隠れする。たとえば100万部売れてる作品のスピンオフが、本体の10%しか売れないとしても、10万部。新作でいきなり10万部を超えるヒットが望めるかといえば、かなり確率は低い。そのペースで10冊出れば、あっという間に「累計100万部突破!」というアオリがつくことになる。何となくだが人は「100万部」や「100万本」という言葉に弱い気がするのでこうなるとますますスピンオフ作品は増えるだろう。
とはいえ、いくら人気作品の派生だから設定などの下地があるとはいえ、調理の仕方次第ではどえらいものが生まれてくることはあるだろう。そう考えるとやはり画力や構成力はしっかり求められる。新人はまずスピンオフで鍛えて、いつかはオリジナル作品を…となるのかなとも思うが、なまじヒットしてたらそれも難しいかもしれない。編集部もとりあえず10万部見込める作品をやめて、1万部出るかどうかも怪しい新作に賭けてみよう!とはならないだろうし。

本当に面白い!と思ったものを熱意ある編集者がプッシュしてくれるなら期待は持てると思うが…。編集部トラブルもけっこう出回ってるところからすると、別に「編集者=有能」というわけではないんだろうなあ。

と、いう業界妄想はさておき、個人的に「スピンオフ王」だと思う作品を一つ紹介しておきたい。

「魁!男塾」だ。

全てWikipediaからの引用となるが、以下の作品が出ている。

・EDAJIMA -わしが江田島平八である-
・曉!!男塾 青年よ、大死を抱け
・天下無双 江田島平八伝
・大河内民明丸評伝 果てること未だ知らず(読み切り)
・拳食同源 特級厨房師 王大人(読み切り)
・極!!男塾
・真!!男塾

・男塾外伝 伊達臣人
・男塾外伝 紅!!女塾
・男塾外伝 大豪院邪鬼
・男塾外伝 赤石剛次
・僕!!男塾
・男塾外伝 死天王


率直に言って多すぎ。読み切りも数えてるからというのもあるが、それを抜いても多すぎる。伊達臣人なんかはいかにもファンが多そうだったからわからなくもないが、死天王はやりすぎだろう、どう考えても。
ちなみに「天より高く!」とか「私立極道高校2011」にも男塾キャラクターは出てくるが、スピンオフ作品というよりカメオ出演というレベルだと判断して、一応外しておいた。

そもそもこのnoteを書いたのも、「男塾外伝 死天王」の単行本をコンビニで見かけたからである。そんなのまで出てんのか、と。ちなみに上から真!男塾までは本人によるスピンオフ作品で、そこから下は別作者によるものである。紅!女塾とか完全に別漫画。そういえば「キン肉マンレディー」ってのもあったなあ。

もう宮下あきらは一生男塾で食っていくと決めているのだろうな。
キャラクターとはそれほど強い。

ちなみに画像に関しては「男塾」でも「スピンオフ」でも出てこなかった。当たり前か。


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